最近の“とっておき”を見立てて遊ぶ
自宅の中で、特に気に入っている場所を教えてください。
階段の踊り場と、リビングの一角にあるギャラリースペースは、私たちらしくて特に好きな場所です。どちらもギャラリーというにはささやかですが、好きな作家さんの作品を飾って愛でています。そのときどきの“一軍”を厳選して飾っていますが、限られたスペースゆえ、日々なにを飾るか苦悩しています…。
現在、それぞれのギャラリースペースにはどんなものを飾っていますか?
階段の踊り場
玄関を入ってすぐ、目の前にあるのが、この踊り場です。壁には、写真家・吉松伸太郎さんの作品を飾っています。〈PACIFIC FURNITURE SERVICE〉のフレームに合わせてプリントしてもらい、タペストリーのように吊るしています。

この作品を照らしているのが、〈インゴ・マウラー〉の照明。赤いコードにチューブのような蛍光灯という、わけがわからないデザインが大好きです(笑)。〈studioNOI〉という販売店向けのショールームまで現物を見に行き、「これだ!」と即決。この家に住み始めて1年ぐらい経ってからの出会いでしたが、玄関からのファーストビューにふさわしい一点になりました。

そしてここには、最近のイチ推し、伊勢崎陽太郎さんの作品も飾っています。多治見の陶磁器意匠研究所の卒業制作展で出会いました。備前焼の人間国宝である祖父や父をもち、貴重な作品に囲まれて育ったという背景を持ちながらも、多治見へ移り、現代的なアプローチで作陶をされている作家さんです。
そんな彼が幼少期に初めてご自身で手に入れた器は、一番くじで偶然当たったアニメのマグカップで、それに特別な愛着を持っていたというお話がとても印象的で。その記憶をもとに、AIで生成したアニメ画像を転写して焼き上げたというのが、今、我が家に飾っているこの一作。作品の背景を知ってから、より深く惹かれるようになりました。

リビングのギャラリースペース
リノベーション前はもともと押し入れだったリビングスペースの一角をギャラリースペースとして楽しんでいます。なかでも〈FEST Amsterdam〉のミラーテーブルの上は特別なステージです。
今は最近仲間入りした故金あかりさんの壺と、野口寛斉さんの花器、スリップウェアのような模様を木で表現した石黒雄大さんの器を飾っています。

料理を日々のエンタメに
日々の暮らしの中で、夫妻の好きな時間はいつですか?
夫妻で一緒にご飯を作る時間が好きです。L字のコンパクトなキッチンで、効率よく作業していると、夫妻の息が合ってきているのを実感できます(笑)。

キッチンづくりのポイントを教えてください。
あまりスペースを取りすぎず、キッチンらしさを抑えたすっきりしたデザインにしたいとリクエストしました。そこで、設計士さんが提案してくれたのは、“面を広く取ること”。換気扇の出っ張りがなかったり、収納扉の取っ手をなくし面を広く取ることで、キッチン感を抑え、リビング・ダイニングとの一体感が出るように造作してもらいました。

キッチングッズも、素敵なものが多くて気になります。
我が家のキッチンはかなりコンパクトで、収納スペースも限られています。だからこそ、キッチン道具を選ぶときは“表に出して置けるデザインかどうか”が大きな基準になっています。
例えば、緑の水切りカゴは〈Magis〉のもの。海外製なので大きめですが、たっぷり置けて便利なんです。やかんはマイケル・グレイブスがアメリカの大手小売チェーン〈Target〉とのコラボでデザインしたもので、こちらもお気に入りです。


器のお気に入りも教えてください。
黒い器は、京都の〈Community Store TO SEE〉で購入した大澤哲哉さんの作品。白い器は、代々木上原の〈AELU〉で出会った、芳賀龍一さんの茶碗です。どちらも日々の食事を少し特別にしてくれる存在。盛りつけたい器が増えることで、料理が“やらなければいけない家事”から、“ちょっとしたエンタメ”に近づいてきました。
また、器のいくつかは飾っても楽しんでいて、なかでも髙仲健一さんの遊び心ある絵柄の作品はお気に入りです。


きちんと、ぐうたら。
どちらも大事
この家に引っ越してから、ライフスタイルにはどんな変化がありましたか?
家事や食事など、日々の暮らしを“きちんとしよう”という気持ちが自然と生まれました。朝にお茶を飲んでゆっくり過ごす時間が習慣になったのも、この家に住み始めてからです。家事をするにも空間に余裕が生まれて、さらに自分の好きなもので囲まれていることで、気持ちよく取り組めるようになりました。
……とは言っても、夫のほうが圧倒的に家事が得意できちんとしているので、甘えてしまっている部分も大きいです…。



お家での休日は、どのように過ごすのが好きですか?
エンタメが大好きなので、〈MARENCO〉にどかっと座って、大きなテレビでハロプロのライブ映像や恋愛リアリティショー、YouTubeなどを観る時間が至福です。また、寝室側にもテレビがあり、カーペットに寝転んでぐぅたら過ごす時間も気に入っています。
そして、もうひとつのお気に入りが日曜の午前中。ラジカセで小川紗良さんのラジオ「ACROSS THE SKY」を流しながら掃除をしたり、ごはんを食べたりするのが、なんとも心地よくて。『平和だな〜』としみじみ思える時間です。


飾るものは、そのときどきの気分で選ぶ。お気に入りの器や道具と過ごす日常を、ささやかに楽しむ。春日彩衣子さんの暮らしには、決めすぎずに生活を楽しむ、しなやかさがありました。
部屋にはあえて余白が多く残され、そこに“今”の気分を投げかけることで、空間は少しずつ変化していく。完成を目指すのではなく、変わっていける余地を残すこと。その姿勢にこそ、自分たちらしい住まいを長く楽しむヒントがあるのかもしれません。
前編では、物件選びの背景や間取りの工夫、家具のセレクトについてもご紹介しています。ぜひ前後編あわせてご覧ください。
庭付き物件で始まった、
愛犬との暮らし
今の家に引っ越して良かったことは何ですか?
家族とも友人とも過ごしやすい広いリビングがあること、そして愛犬のサムがすぐに庭へ出られることが、この家の大きな魅力です。お隣さんも犬を飼っていて、サムを通じてすっかり仲良くなりました。お隣のワンちゃんが我が家まで迎えに来てくれるのが、幸せな日課になっています。


ワンちゃんを飼い始めて、生活の変化はありましたか?
ライフスタイルが愛犬中心になり、時間の使い方やインテリアの選び方にも変化がありました。サムのテーマカラーは「青」と決めていて、青いグッズを集めるのも楽しみのひとつになっています。

特に朝型になったのは大きな変化。夏は暑くなる前に散歩を済ませるため、朝5時には起きるように。夜もごはんをあげるために早めに帰宅するようになり、以前よりも健康的な生活リズムになりました。
住まいづくりで、愛犬目線で工夫していることはありますか?
何でも興味津々なので、低い場所には噛みやすいものや飲み込みそうなものを置かないようにしています。足元には扉付きのカゴを使ったり、蓋付きの収納を選んだりして、安全面に配慮。フローリングには4ヶ月に1回ほど滑り止めワックスを塗り、サムがよく走り回る場所にはラグを敷いています。子犬のときはよくお漏らしもしてしまっていたので、基本的に布は洗えるものを。我が家は〈unico〉のものが多いです。
また、ソファもサムが上がりやすいように、〈RASIK〉の足のないロータイプソファに変えました。

お気に入りのドッググッズも教えてください。
〈HAY〉のドッググッズはどれもかわいいです。水飲みボウルやドッグベッド、おもちゃを収納するボックスまで、すべてHAYのもので揃えています。


人が集うキッチンは、
“見せる収納”がルール
休日の過ごし方について教えてください。
読書や散歩、夫婦で食べたり飲んだりすることも大好きです。特に友人を招いて、一緒に料理をして食卓を囲む時間が日常的な楽しみになっています。月に一度くらいのペースで人が集まり、サムもみんなに可愛がられています。

キッチンづくりで意識していることを教えてください。
キッチンは料理をしながらでも会話ができるように、リビングダイニングと繋がっている間取りにこだわりました。収納はすべてしまい込むより“見せる”スタイルに。レストランの厨房や近所のカフェを参考に、包丁はマグネットで壁に付けたり、鍋やフライパンは吊るしたり。我が家では友人が料理をしてくれることもあるので、初めて来た人でもどこになにがあるかわかりやすいよう、できるだけ隠さず置くようにしています。

お気に入りのキッチングッズを教えてください。
〈ホームランド〉の3号炊き土鍋です。土鍋って意外と早く炊けるし、何よりおいしいので、炊飯器は手放しました。コロンとしたフォルムが可愛らしく、このまま卓上に置いても様になります。

小さな空間でも、
ごきげんに暮らす工夫
コンパクトな住まいで快適に過ごすために、工夫していることはありますか?
居場所を複数作ることはおすすめです。我が家は2人暮らしのわりに、椅子がたくさんあると思います。家の中にいくつかの居場所があると、気分転換しやすくて居心地も良くなる気がします。ただし空間をソファや棚で分断しすぎると圧迫感が出るので、広さを保ちつつ座れる場所を増やすのがコツです。

コンパクト物件ならではのメリットはありますか?
広い家だと空間全体に統一感を出すのが難しいですが、コンパクトな住まいはひとつの世界観をぎゅっと凝縮できるのが魅力。私のように“好きなものをたくさん並べる”インテリアが好きな人には、むしろ向いていると思います。また、ものの管理がしやすいのもメリットですね。


コンパクトな空間の中に、快適さと楽しさがぎゅっと詰まった紗世さんの住まい。ブランドや年代にとらわれず、“好き”に正直に選び集めたものたちが生み出す空間は、のびやかでユニーク。訪れる人を自然とワクワクさせてくれます。限られた広さでも、暮らす人の発想と工夫次第で、家はもっと自由に、もっと自分らしく変えていける。そんな気づきをもらえる取材でした。
前編では、引っ越しの経緯やインテリアの考え方、家具や小物選びについて、じっくりお話を伺っています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください!
南北で切り替わる間取り
今の物件に決めた理由を教えてください。
リビングスペースが広く、フルリノベーション可能な予算感だったことが大きな決め手でした。部屋数を抑えて空間をできる限り広くとっているので、開放感があり、光がよく入って気持ちがいいので、日々この家にしてよかったなと思っています。
南側のLDKはどんな空間を目指しましたか?
LDKは白い壁とグレーの床、そして蛍光灯を取り入れた、ホワイトキューブのような空間に仕上げました。内装は憧れのギャラリーから着想を得たもので、家具やモノを“飾る”ように配置することを心がけています。


北側の寝室や洗面スペースはどのように仕上げましたか?
南側の無機質なLDKとは対照的に、北側は温かみのある空間に。ロールカーペットを敷き、ウッド系の家具を多めに選びました。カーペットは麻のような風合いなのに手頃な価格の〈東リ〉の『マスターフル』で、とても気に入っています。

“変”は最高の褒め言葉
インテリアはどのようなものが好きですか?
抽象的でオブジェライクなものに惹かれます。例えば、〈CIBONE〉で見つけた〈FEST Amsterdam〉のミラーテーブルや〈Artek〉のロープチェア、〈Arflex〉のソファ「MARENCO」もそのひとつ。流行りものや名作家具も好きですが、私たち夫妻は少し斜に構えるところがあって(笑)。「なにこれ!ヘンテコ!」と思ってしまうような、ちょっとユニークなものにも惹かれる傾向があります。


〈MARENCO〉のソファは、春日さん宅のシンボル的存在ですよね。
この家に引っ越すと決めて、最初に購入したのがこのソファでした。ベイマックスのような愛嬌のあるフォルムと、白い空間に白いソファという潔さが気に入っています。
最初は「汚したらどうしよう」と不安で、正直、座るのを躊躇していたんです。でも、MARENCOを長年愛用しているという方に「年々体に合ってきて、本当に座り心地がいいよ」と聞いてからは、“育てる”つもりでガシガシ使っています(笑)。
ちなみにオットマンは、ソファが届いた3日後に〈TOKYO RECYCLE imption〉で新古品が半額になっているのを偶然見つけて、思わず衝動買いしたもの。ソファの背面には、お気に入りの〈LEMAIRE〉のラップスカートにもなるブランケットをアクセントにかけています。

かわいいだけじゃない、
奥行きのある空間づくり
春日さん宅はカラフルでありながら、ポップに傾倒しすぎない絶妙なバランスが素敵です。どのようなことを意識して空間づくりをしていますか?
最初はクリーンな空間に、色のある抽象的なアイテムだけを置いていましたが、それだけだと軽くてポップな印象になってしまって…。少しずつヴィンテージやクラフト、ウッド系の家具を取り入れて空間に深みや落ち着きをプラスしていきました。“かわいい”だけではない、“強さ”のある空間を目指しています。
また、部屋の白いベースの比率をたっぷり確保することで、カラフルなアイテムが多くなっても空間がごちゃつかず、アクセントとして程よく映えるようにしています。さらに、アイテム間の配色がリンクするようにバランスにも気をつけています。

ダイニングセットは、かわいさとクラフト感のバランスが見事ですね。
このエドヴィン・ヘルセットがデザインしたダイニングテーブルは、ぽってりとした温かみのあるフォルムが好みです。もともとスキーリゾートで使われていたもので、天板を伸ばせば8人ほど座れます。抽象的な色物家具と同じ空間にあっても受け入れてくれる、懐の深い家具です。
ダイニングチェアには、〈KOYORI〉の「Musubi Armchair」を合わせています。ブルレック兄弟のデザインによるモダンなビジュアルと、確かな技術を兼ね揃えたチェア。単体で見るとホワイトオークも素敵でしたが、空間全体で考えるとブラックが締まると思って選びました。この椅子はリビングのポップな要素と、ダイニングのクラフト感を上手につないでくれている存在だと思います。

好きなインテリアショップを教えてください。
池尻大橋の〈LICHT gallery〉や目黒の〈FILM〉、表参道に行ったら〈NICK WHITE〉にもよく立ち寄ります。
引っ越しを機に一気に家具を揃えたのですが、やっぱり“インテリアは足で稼ぐもの”だと実感しました。〈Midgard〉のフロアライト「Ayno」もダイニングテーブルも、すべて偶然お店で出会って一目惚れしたもの。実際にお店に行くと、そのお店のディスプレイに影響を受けたり、オンラインの買い物とはまた違った気づきがありますね。

抽象的で少しクセのある家具やヴィンテージの存在感が重なることで、かわいいだけでなく、“強さ”のある空間づくりが見事だった春日彩衣子さんの住まい。後編では、ギャラリーのように楽しむ住まいの一角や、好きな道具と過ごす日常の風景についてご紹介します。ぜひお楽しみに!
ポストモダンに惹かれて。
色とデザインを楽しむ空間
インテリアはどのようなものが好きですか?
北欧やミッドセンチュリースタイルも好きですが、最近はイタリアのポストモダンインテリアに強く惹かれます。例えば、〈Alessi〉のミルはイタリアのポストモダンの代表ブランド〈メンフィス〉のデザイナーでもあるマイケル・グレイヴスによるデザイン。その他にも、コーヒー豆をしまっているキャニスターは、エットレ・ソットサス、ソファはガエ・アウレンティなど、ポストモダンの代表的デザイナーが手がけたものです。フレンチプレスコーヒーメーカーはデンマークのブランド〈Bodum〉のもの。ポストモダンとは直接的に関係はないですが、このような色の使い方が好きなんです。

いろんな色に囲まれているCantaさん宅。どんなことを気にしながら色のあるものを取り入れていますか?
あまり深くは考えていませんが、白と黒をベースに、原色系をプラスするイメージで空間づくりをしています。ニュアンスカラーよりもビビットカラーが好きです。テレビ台に飾っているマリオのフィギュアも、色の組み合わせが好きなんですよね。


思い出と遊び心が集まる、
リビングのディスプレイ
好きが詰まった、リビングのディスプレイスペース。どんなものを置いていますか?
特に気に入っているのは、〈かたがみ〉というブランドのピンクのアクリルボックス。手紙や映画のチケットなど、見えないところにしまいがちな思い出の品をディスプレイする、ちょっとユニークなボックスなんです。インテリアのアクセントにもいいですよね。

その他には、友人からもらった〈ミナペルホネン〉の積み木や、〈Vitra〉のハウスバード、暗闇で発光する〈magma〉のフィギュアなども飾っています。

天井から吊るしているハンギングモビールも素敵ですね!
以前〈MoMa〉で取り扱いのあった〈Areaware〉のもの。明るい雰囲気がほしい場所にぴったりなんです。木製というのが珍しいですよね。

子育てのしやすさと
インテリアのバランス
娘さんが描いた絵も、部屋のいいアクセントになっていますね。
子どもが描く絵は、なにか狙いがあって描いているわけではないので、これこそアートだなと。額装することでより一層特別感が出るようになりました。
妻が娘の幼少期を描いた似顔絵や、三好良さんが立ち上げたファッションブランド〈everyone〉と、カナダ・モントリオール出身のアーティスト、ヴィンセント・ツァンのコラボ作品も合わせて飾っています。

お子さんが生まれてから、住まいはどのように変化しましたか?
毎日の生活の中で子どもと遊んだり、ご飯を食べたりする“暮らしやすさ”と、“インテリアの楽しみ”を両立させることを目指しています。とはいえ、娘の安全面を考えると、今は“飾る”よりも“しまう”ことの方が増えて、前と比べるとかなりシンプルな住まいになりました。

収納用品で気に入っているものはありますか?
テレビ台にもなっている白い〈IKEA〉の収納家具は、収納量もたっぷりでかなり助かっています。一番左は娘のおもちゃの収納場所に。その他の扉は、娘が勝手に開けないように鍵をつけてロックしています。

あと、薬や文具など細々したものはボビーワゴンに収納。ラッピングペーパーなど、高さのあるものも収納できて、なかなか便利です。

今年は『気楽にいこう』をテーマに、散らかることも受け入れつつ、家族がリラックスできる空間で娘さんの成長を楽しみたいと語ったCantaさん。新しい家具を迎えたり、DIYで少しずつ手を加え、完成は急がず、今だからこそできるインテリアを楽しむ。そんな姿勢が心地よい暮らしを形づくっていました。
前編では、今の物件に引っ越した経緯やDIYの工夫、ダイニングスペースのこだわりやお気に入りの家具についてなど、詳しくご紹介しています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください。
引っ越しのきっかけは、
新たな家族を迎えるため
この家に引っ越した経緯を教えてください。
犬との暮らしをスタートするために引っ越しを決めました。犬と暮らすことが第一条件だったので、庭付きというのは大きな決め手に。リビングダイニングが広めの間取りだったこともポイントです。引っ越し前から犬を迎えることが決まっていたので、4軒ほど内見して急いでこの家に決めました。


築52年のマンションとのことですが、入居の際にリノベーションはしましたか?
実はまったく手を加えていません。こまかな仕様を決める作業が大変で、お互いこだわりも強い分、なかなか決まらない気がしたので、前の居住者の方がリノベーションされていた状態のまま購入しました。いずれ少しずつ手を加えていこうかなと思っています。
寝室とLDKを隔てるRの壁も特徴的ですよね。
珍しいですよね。壁沿いに家具が置きづらいという面はありますが、L字のLDKに一体感が出せたり、ものを置けない分すっきりとした空間を作れるのはメリットだと感じています。

“好き”を少しずつ重ねる住まいづくり
自宅づくりのテーマを教えてください。
“好きなものをなじませていくこと”です。今あるスペースに合わせてものを買うというよりは、出先で「これいいな」と思うものがあれば、直感的に家に迎え入れます。そして、家にあるものと組み合わせて新しい空間を作ったり、『私ってこういうのが好きなんだ』と家を眺めるのが楽しいです。

たしかに紗世さん宅はものに溢れていてワクワクしますね。
住んでいる人の好きなものが詰まった空間が好きなんです。収納家具が多い我が家ですが、戸がついたものは少ないと思います。しまい込むと持っていることを忘れて疎遠になってしまうので、なにがどこにあるかわかりやすいようにしています。
ものはたくさんある印象ですが、どこかすっきり見えるのが不思議です。
同じ種類のものをまとめて置いたり、できるだけ色味も意識して並べるようにしています。あと、ものが多いと逆に余白が目立ってしまうので、どの空間も同じぐらいの密度で並べることもポイントだと思います。

自宅の中で、特に気に入っている場所はどこですか?
備え付けの棚と、あとから買い足した棚をドッキングした飾り棚スペースです。下の棚は近所のリサイクルショップで購入したもの。徒歩10分の距離だったので、行けるだろうと夫と自力で家まで運んだのですが、ありえない重さで(笑)。10歩歩いて休憩を繰り返してようやく到着。苦労した分、思い入れがあります(笑)。

置いているアイテムにはどんなストーリーがありますか?
特に思い入れがあるのは、木製のチューリップ。新婚旅行のオランダで見つけたもの。色とりどりでもっと買っておけばよかったなと思うほど気に入っています。

あとは、友人との思い出が詰まったアイテムも多いです。ティッシュケースは誕生日に友人たちにおねだりして、買ってもらったもの(笑)。幡ヶ谷にある雑貨屋さん〈BULLPEN〉で見つけました。

家族の思い出スペースには、前の家で友人のイラストレーター・ハマダユウヤ(@yuyahamada_illust)が描いてくれた、私と夫の似顔絵も飾っています。

そのほかにも、クレーンゲームの景品やマクドナルドのハッピーセットのおまけなど、我が家にあるものたちの来歴は様々。あまりものを減らすことはせず、できる限り長く置き続けるようにしています。
本もたくさんありますよね。どのように管理していますか?
本はどんどん増えるので、好きな作家のものは購入、初めて読む作家は図書館で借りて試すようにしています。読み返さない本は手放すようにして、ジャンルごとにざっくり整理。派手な表紙のビジネス書は、視線に入りにくい棚の下段にまとめています。

ホッと落ち着く、
木の家具に包まれて
家具はどのようなものが好きですか?
北欧の家具や日本のラタン家具にも惹かれます。木の色味は明るすぎず暗すぎない、家の内装となじむ中間色でそろえるよう意識しています。
〈FUNagain〉で購入したラタンのベンチとチェストは、編み目のデザインがかわいらしくて、とても気に入っています。我が家には自然素材を編んだものが多く、かごはもちろん、ダイニングの大きなペンダントライトもそのひとつです。



〈TOKYO RECYCLE imption〉で購入した、〈日進木工〉のダイニングテーブルは前の家から愛用しているもので、丸型で囲みやすく、最大10人は座れます。友人を招いてごはんを囲む機会も多く、たくさんの思い出が詰まっています。

たくさんのものに囲まれながら上手に暮らす、紗世さんのコンパクトライフ。後編では、愛犬との暮らしで生まれた住まいの工夫や、人を招くキッチンづくり、空間を広く感じさせるレイアウトのコツなど、コンパクトな住まいをより充実させるアイデアをご紹介します。ぜひお楽しみに!
家探しは“ときめき”が決め手。
青いタイルとの出会い
今の物件に決めた理由を教えてください。
キッチンの青いタイルに一目惚れしたのがきっかけです。今の時代、タイルを広範囲に施工しようとするとかなり費用がかかるので、最初からそれがあるのはかなりラッキーでした。家探しでは夫婦で“ときめく感覚”を一番大事にしていて、条件面ももちろん考えましたが、最終的には理屈よりも心が動くかどうかでこの家に決めました。

中古物件とのことですが、リノベーションはしましたか?
ここは7年ほど前にリノベーションされた物件だったので、そのまま購入しました。本当は細部まで自分たちでこだわりたかったのですが、引っ越しまでの時間が限られていて……。住み始めてから「この壁はない方がいいかも」「いっそ大きなワンルームにしたらどうかな」と、いろいろアイディアが浮かぶように。今はDIYで少しずつ手を入れながら、いつかは大規模なリノベーションにも挑戦したいと思っています。


DIYで空間をアップデート。
小さな工夫で暮らしやすく
DIYした部分はありますか?
リビングの一部の壁があまり好みではなかったので、ホームセンターで買ったベニヤ板を自分で張りました。張り方は『目透かし張り』という、昔の住まいでよく使われていた技法。少し隙間を開けて張ることで視線が通り、空間を広く感じられるんです。デザインのアクセントにもなって、部屋の印象がガラッと変わりました。


その他にも内装で気になる箇所はありましたか?
リビングダイニングの中央にあるエアコンの白い配管カバーが目立つので、周りに同じ白いものを集めて、視線を分散させるようにディスプレイしています。

壁には〈vitra〉のウーテンシロを掛け、ディック・ブルーナが描いた動物マスコットを配置。遊び心をプラスしてみました。

家族で過ごす大切な時間と、
ユニークな家具たち
暮らしのなかで好きな時間はどんなときですか?
休みの日に家族全員でゆっくり朝ごはんを食べる時間です。普段はなかなか休みが合わないので、そのひとときがとても大事です。

ダイニングの家具、なかなか他では見かけないユニークなものが多いですね。
ダイニングテーブルは〈HAY〉のアウトドア用のもの。支柱にコンクリートが入っているので、かなり重たいです。でも、スチールならではの薄い天板や質感、サイズ感がとても気に入っていて、我が家で一番長く使っている家具。引っ越しのときも、業者さんになんとかがんばって運んでもらいました。

青い椅子は〈Karimoku New Standard〉のもの。鳥越の〈Dill Pickle Club〉というお店で、以前店舗用に使われていた家具を大量に販売している中から見つけました。奥のシルバーの椅子は〈ヤフオク〉で見つけたもの。造りは少し粗いですが、フォルムがかわいくて気に入っています。また、赤・黒・白の配色とシリコン素材がユニークな〈George Sowden〉のペンダントライトもお気に入りのひとつです。

お家のなかで、特にお気に入りの家具を教えてください。
〈WAKA WAKA〉のチェア
子どもが生まれた記念に、一生残せる特別な家具がほしいと手に入れました。ロサンゼルス在住の日本人家具職人が製作しているもので、InstagramのDMで直接やりとりをし郵送してもらいました。円安の影響でなかなかの出費でしたが、「今しかない」と思い購入。シンプルな形の組み合わせがユニークで、丁寧なつくりからポストモダン的な魅力も感じます。50年後、100年後、経年変化した姿も楽しみです。

〈ACME Furniture〉のBROOKS CABINET
収納力抜群の食器棚。アメリカンヴィンテージの雰囲気と、下段のラタン素材に惹かれました。食器棚以外にも本棚にしたり、さまざまな用途で使えるのも魅力のひとつ。棚の上には、好きな住まいのひとつであるアルヴァ・アアルトの自邸写真を額装して飾っています。今の我が家はカラフルなイメージなので、逆に木の温かみのある空間にも憧れを感じます。


〈Knoll〉のソファ
我が家で一番最近購入した家具です。イタリア生まれの建築家、ガエ・アウレンティによるデザインで、黒い金属フレームの美しいカーブが特徴的。〈ヤフオク〉で見つけました。

家具や小物はどこで探すことが多いですか?
最近は〈ヤフオク〉が多めです。自分の好きなものを販売している出品者さんからまた別の出品者さんを探していくのが楽しいです。あとは〈セカンドストリート〉のようなリサイクルショップ巡りも好きで、車を借りて一気に何軒も回ることもあります。特に花瓶は良いものが安く手に入るのでおすすめです。
青いタイルのキッチンを中心に、個性の光る家具を少しずつ集めながらじっくり家づくりを楽しむCantaさん。後編では、インテリアの好みや色使いのこだわり、ディスプレイの楽しみ方、そしてお子さんが生まれてからの暮らしの変化や収納の工夫についてなど、詳しくご紹介します。ぜひお楽しみに!
“安心”を飾る、
防災アート『sonae 備絵』とは?
『sonae 備絵』とはどのような商品ですか?
藤村さん:sonaeはその名の通り「備える絵画」です。関東大震災から100年という節目である2023年9月に誕生しました。絵画のフレームの中には、いざというときに活用できる「防災トイレキット」が収納されており、災害時や断水時にはサッと取り出して使うことができます。普段はアートとして日常生活に彩りを添えながら、万が一に備えることができる、新しいタイプの防災グッズです。
sonaeができた経緯を教えてください。
藤村さん:私は23歳のときに、地元の熊本県益城町で熊本地震を経験しました。自宅は一部損壊し、余震が続いていたため、数日間は車中泊で過ごしていました。幸い、トイレは近くの避難所にある仮設トイレが使えたのですが、仕事へ向かう途中に立ち寄った公園の公衆トイレは、床一面に汚物が溜まり、とても使用できる状況ではありませんでした…。不衛生な環境を目の前にして、『この先、生きていけるのだろうか』と途方に暮れたことを今でもよく憶えています。
sonaeを手掛けるドリームホールディングスは福岡に本社を構える企業で、熊本地震の直後は熊本の協力会社へ物資支援を行うなど、復興支援に取り組んできました。会社には私以外にも熊本地震や九州北部の豪雨で被災した仲間がいて、自分たちの被災経験を通じて災害時のトイレ問題の重要性に気づき、「世の中の役に立つ商品を作りたい」という想いからsonaeの開発に至りました。

「アート」×「防災」というのは、意外性のある組み合わせですよね。
藤村さん:防災グッズは押し入れやクロゼットにしまうのが一般的ですが、いざというときに『どこにしまったのかわからない』、『収納した押し入れの扉が開かない』など、取り出せない状況になってしまっては本末転倒です。その点、アートとして飾れるsonaeなら、いざというときにすぐ取り出せるうえ、日常生活の彩りにもなります。トイレの防災はまだまだ認知されていない分野なので、アートという身近な形で取り入れてもらえたらと思っています。

『sonae 備絵』という簡潔でわかりやすいネーミングは、どのように考えられたのでしょう?
髙田さん:キャッチーで覚えやすく、商品コンセプトの伝わりやすさを重視して考えました。『〇〇トイレ』のような名前は分かりやすいものの、美意識に訴えかけるアートを扱う商品としてはふさわしくないと考え、スマートな印象を意識しました。また、使用シーンに応じて使い分けできるようにアルファベット表記の「sonae」と、漢字で意味が伝わる「備絵」を併記する形でロゴもデザイン。漢字の「備絵」は額縁に収まったアート(まさにsonaeのプロダクトの形)を象徴し、アルファベット表記の「sonae」はあえて小文字にすることで親しみやすさも意識しています。
採用している絵画について教えてください。
藤村さん:選ぶ楽しさを味わっていただけたらと、sonaeオリジナルの描き下ろしアートや、モネやゴッホなどの名作シリーズなど、作品数は豊富にご用意しています。ご自宅やオフィスなど、さまざまなシーンでご活用いただきたいです。
髙田さん:私は画家としても携わっているのですが、作品のコンセプトやビジュアルそのものから元気をもらえる、そんな絵を描けたらと思っています。
トイレキットにはどのようなものが入っているのでしょうか?
藤村さん:便座にかぶせて使う黒いビニールの蓄便袋と、排泄後に固める凝固剤、おしりふきとして使えるウェットティッシュが収納されています。凝固剤は日本製で抗菌・消臭効果のある活性炭入りのものを使用。凝固剤と蓄便袋は製造から15年、ウェットティッシュは5年間と、長期保管が可能です。

髙田さん:sonaeはトイレキットが入っていることを理解したうえでご購入いただく商品なので、一般的な防災用品のようにわかりやすさに特化したデザインというよりも、sonaeのオシャレな世界観に寄せたスタイリッシュなパッケージデザインにしています。
平常時・災害時・災害後を網羅する、
Brilliaのきめ細やかな防災対策
Brilliaではどんな考えに基づいて、防災対策を行っていますか?
中山:Brilliaのブランド理念である「洗練と安心」には、長く年月を経ても色褪せないデザイン、高度な安全性、確かな資産性を保持する性能と品質で「洗練と安心の住まいを提供する」という想いが込められています。防災対策についても、「洗練と安心」を軸に取り組んできました。
これまでBrilliaでは、どのような防災対策を行ってきましたか?
中山:2011年には「住んでからの安心」を提供するため、Brillia独自の「防災対策ガイドライン」を制定しました。『そなえる、まもる、たすけあう』をコンセプトに、災害時のリスクを抑える独自の防災・減災対策でグッドデザイン賞も受賞しました。具体的な取り組みとしては、入居者向け防災説明会の開催、防災備蓄倉庫内の定期見直し、エレベーター内の備蓄品の収納、オリジナル防災マニュアルの各戸配布、防災リュックの標準装備を行っています。さらに、最近では被災を想定した防災カードゲームを開発し、希望する管理組合様向けに実施しています。
また、住宅設備機器の取扱説明書をスマートフォンやタブレットで閲覧できる「トリセツ+HOME」も標準採用しており、共用部の防災備蓄品の取扱説明書やマンションごとの「防災マニュアル」も閲覧できるようにしています。

防災を日常にする、
Brillia × sonaeプロジェクトが始動!
Brilliaは以前からアート活動にも力を入れていますよね。
中山:Brilliaが提供したいのは単なる住まいだけではなく「豊かな暮らし」です。その実現において、アートは欠かせない要素だと考え、これまでにもアートに関わるさまざまな取り組みを行ってきました。2021年にオープンした東京・京橋のBAG-Brillia Art Gallery-では、「暮らしとアート」をテーマにさまざまな企画展を開催し、アート作品の販売も行っています。
Brillia×sonaeのプロジェクトが始まった経緯を教えてください。
中山:sonaeのコンセプトである、普段はインテリアとして日常を彩り、災害時すぐ使える防災用品を備えたアートは、アート・防災を身近にできるきっかけになると思いました。当社は豊かな暮らしにはアートが欠かせないと思いアート活動を実施しているので、日常に取り入れるきっかけになるはず。sonaeの「アート×防災」の美学に親和性を感じて、この度お声がけさせていただきました。
藤村さん:sonaeのコンセプトに共感していただき、とてもうれしいです。Brillia が運営する住まいのメディア『Tokyo Compact life』のコンセプト文にある「暮らしの中で自分らしさを表現する」、「今とこれからをつなげていく暮らし」、「いろんな選択肢と可能性をあなたに」という言葉たちにも、非常に共感しています。
災害対策は「何かしなければ」と頭ではわかっていても、つい後回しにしてしまいがちです。まずは災害への意識を高めるきっかけとして、sonaeという選択肢があることをBrilliaの入居者様に知っていただけたらうれしいです。

Brillia×sonaeのコラボレーションを通じて、Brillia住民の皆さまにどんな暮らしを提供したいですか?
中山:sonaeが日常空間を彩りながら、いざというときに備えられる防災グッズとして、安心感のある豊かな暮らしの一助になればうれしいです。
実際に災害が起こり、トイレに行きたくても行けない状況に陥った場合、極限までトイレを我慢して過度なストレスを抱えたり、水分を取らないことで体調を崩してしまうなど、トイレトラブルは重大な健康被害につながります。避難生活が原因で亡くなってしまう方も多くいらっしゃるなかで、sonaeは命を守る助けになってくれるだろうと信じています。
藤村さん:防災対策にまだ関心のない方は、きっと意識が向いていないだけだと思うんです。いつか来るとわかっていてもいつ来るかわからないし、自分は大丈夫だろうと心のどこかで他人事化してしまう。そうした方にもsonaeのアートを入り口に、防災をもっと身近に捉えてもらえたらうれしいです。
髙田さん:『素敵な作品!』、『実はこの作品の裏には防災用品が…』、そんな風にsonaeがきっかけとなって、家族や友人、会社の人と防災について気軽に話せる場が生まれたら素敵ですよね。
中山:そうですね。いざ災害が起きたとき、スムーズに対応できるかは、日常的にどれだけ防災を意識し、生活の一部にできているかが重要だと思います。Brilliaでは、sonaeのような日常使いできる防災インテリアを取り入れるとともに、防災意識を高められる入居者間のコミュニティイベントなども積極的に行っていきたいと考えています。

集中豪雨による水害や頻発する地震…。いつ起きてもおかしくないとされる首都直下地震では、避難所の不足が懸念されています。また、自分や家族に怪我がなく、住居にも危険な損傷がない場合には、自宅で避難生活を送る「在宅避難」も推奨されていますが、被災状況によっては水道や電気などのライフラインが寸断され、生活そのものが困難になる可能性も否定できません。このような時代だからこそ、「自分の身は自分で守る」という意識を改めて見つめ直すことが必要ではないでしょうか。
“防災”と聞くと、専門的な知識や準備が必要で、少し難しく感じる方もいるかもしれません。そんな防災ビギナーの第一歩としても、ぜひ取り入れてみてほしいsonae。大切な人を守るために、そして自分自身の安心を育むために、今日から「備える」暮らしを始めてみませんか?
実用性とデザイン性、
どちらもあきらめないキッチンづくり
自宅の中で特にお気に入りの場所はどこですか?
広いキッチンです。朝ごはんは私が、夜ごはんは彼が大体作ってくれます。もともとキッチン台の下は収納がまったくついていなかったので、最近3つのワゴンを2人でDIYしました。おかしや調味料、乾物類に加え、フライパンや鍋などのキッチン道具も収納しています。

キッチンワゴンはどのように作りましたか?
表の面はキッチン台の質感に合わせて白の化粧板を選んで、底には引き出しやすいようにローラーもつけています。材料はすべてホームセンターで買いました。棚は2段構造で収納ボックスを置いて仕切っています。設計は私で、組み立ては彼が担当。3連休で一気に作りました。2人ともDIYはまだまだ手探りですが、なにか困ったときはまず作れないかと試行錯誤できるようになりました。

おすすめのキッチングッズを教えてください。
1つ目は〈Cuisinart〉の「エアフライ オーブントースター」。パンを焼いたり、トースターとして使えるのはもちろん、油を使わず揚げ物調理もできる優れもの。レトロな見た目にコンパクトなサイズ感も気に入っています。

2つ目は〈かごや〉のせいろ。鍋とせいろがセットになっているはじめてセットを購入しました。本当に便利で我が家はとりあえず迷ったらせいろ料理が多いです。野菜を蒸したり、冷凍の小籠包をストックしておけばせいろで蒸すだけで本格的な味が楽しめます。また、調理してそのまま食卓に出せるので、見栄えもよく、洗い物も少なく済んで助かっています。

きれいを維持するための、
無理をしない収納アイデア
リビングの収納アイデアを教えてください。
収納は苦手ですが、使用頻度が高くてもごちゃごちゃしたものは隠したいタイプ。よく使うコスメや文房具など、細々したものは楽天で購入したオレンジの可動式ワゴンに納めています。今まではキャビネットにしまって出し入れしていましたが、毎日のことなので意外と面倒で…。このワゴンは出し入れもスムーズで、さらに大容量でキャスター付き。出しっぱなしにしている感覚で部屋が片付きます。

キッチンの収納アイデアを教えてください。
キッチンまわりは調味料などパッケージがそのまま外に出ているとごちゃごちゃして見えるので、表に出ているものは極力ボトルに詰め替えるなどしています。あまり隠しすぎると彼が収納場所を覚えられなくなるので、ある程度見せる収納も心がけています。

食器や電子レンジを収納しているのは〈無印良品〉のステンレスユニットシェルフ。下の段にはワイヤーバスケットをカスタムしました。
朝ごはん用の器や、グラスやマグカップなどよく使う食器類は、すぐ手に取りやすいようにオープン収納。食器棚のアクセントになっている、花やフルーツがモチーフの器は〈iittala〉のパラティッシです。


アナログな趣味で、
忙しない毎日にひと呼吸
おうち時間の趣味を教えてください。
秋に入り読書がますます楽しくなっています。最近読んでいるのは、作者が上京したときの日常を描いたエッセイ『東京あたふた族』(益田ミリ著)と、『川のある街』(江國香織著)という短編集。『川のある街』は我が家も川が近くにある街なのと、装丁が素敵で読み始めました。最近はいいなと思った言い回しや感性などグッときた言葉をノートに書き出すことで、悩んだときも言葉に頼れるようになりました。本棚は〈ルネセイコウ〉のタワーシェルフを愛用しています。

あとは手芸をするのも好きです。気づいたらだらだらスマホを見てしまうので、読書のほかにもデジタルデトックスできるアナログな趣味を見つけようと思い始めました。私が挑戦しているのは、生地の上に専用のニードルを使って、刺繍糸や毛糸を埋め込んでいくパンチニードルという技法。手芸屋さんでみつけたキットと毛糸を揃えたらすぐ作れました。プスプスと糸を通すのが楽しくて、思いのまま作っていたらどんどん増えています(笑)。コースターにしたり、オブジェとして飾ったりしています。

日々のなかで好きな時間はいつ、どんなときですか?
朝が好きです。好きな食器で朝ごはんを必ず取り、時間があればコーヒーを淹れます。朝食は必ず彼と2人で食べると決めていて、コミュニケーションがとれる大切な時間です。
朝食でよく使う、お気に入りの器を教えてください。
朝食のヨーグルト用にちょうどいいのが〈iittala〉のティーマ。パンを乗せているのがアウトレットで半額だった〈CROW CANYON HOME〉の琺瑯プレート。琺瑯プレートは食洗機・ガス・電気コンロ・オーブン調理も可能で扱いやすく、毎日がしがし使えます。

毎日眺める部屋の景色にビタミンカラーを取り入れたり、好きな器で朝ごはんを食べるなど、日々触れるものをきちんと選ぶことで日々を豊かに楽しんでいたcororiさんの暮らし。読書や手芸などアナログな趣味を持つことで、上手にリフレッシュしながら心も健やかに保つなど、生活全体が丁寧にデザインされていました。
前編では、この物件に住み始めた経緯や色選びのポイント、好みのインテリアやお気に入りの家具について、詳しくご紹介しています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください。
部品を組み合わせて、
理想のヴィンテージ家具をDIY
DIYはどんなきっかけで始めましたか?
理想的なデザインで部屋のサイズにぴったり合い、さらに価格もリーズナブルな家具なんて、なかなか出会えないのが現実ですよね。『なければ作るしかない!』という思いで、DIYを始めました。材料はホームセンターで購入したり、オークションサイトで部品だけを手に入れて作ることが多いです。

お気に入りのDIY箇所を教えてください。
キッチンカウンター
我が家のキッチンはオープンな空間なので仕切りを作りたかったのと、電子レンジなどの家電を目隠ししたくて自作しました。構造としては、楽天で購入したシンプルな収納ラックの周りを木の箱で覆っているイメージ。箱の部分は、ホームセンターで調達した合板をボンドで接着して、天板はシートタイプのタイルを貼って仕上げました。人を招いたときはここで焼き鳥を作ったり鉄板焼きをしたり、ドリンクバースペースとしても活用しています。我が家のダイニングテーブルは小さめですが、キッチンカウンターのおかげで4、5人集まってもなんとかなっています。

ダイニングテーブル
別々のテーブルの脚と天板を組み合わせて、1つのテーブルをDIY。残った部品はメルカリで売り、最終的に製作費は12,000円ほどに抑えました。

収納キャビネット
ヤフオクでかわいい扉を4,000円で見つけたので、そこに合板と蝶番をつけてボックスにしました。縦でも横でも使えるように足はつけずに、今もブロックをただ下に置いて高さを出しています。

リビングのディスプレイ台
〈PUEBCO〉のB品セールで購入したアクセサリーのディスプレイケースの上に、脚の壊れたテーブルの天板部分だけを組み合わせて作ってみました。

ハイシニアの愛犬たちへ
バリアフリーな住まいを
愛犬ののんちゃんとぐるちゃんと、暮らし始めた経緯を教えてください。
20代前半に上京してすぐ、のんに出会い、その半年後にぐるも迎えました。当時は会社員でしたが、もっとこの子たちのそばにいたいと思い退職。愛犬中心の生活になるにつれて、家で過ごす時間がどんどん好きになりました。

家づくりにおいて、愛犬目線で心がけていることはありますか?
ダックスでさらにハイシニア犬ということもあり、ソファやベッドは低めのものを選んでいます。ソファは〈ベルメゾン〉で色やタイプを組み合わせて選べるものを購入。我が家ではコーナータイプのものを2つ、1人掛け用のものを1つ組み合わせました。はじめは繋げて使っていましたが、今はバラして配置しています。


また、足腰が弱っているので、リビング全体にフロアマットを敷いて、ごはん置き場などテンションの上がりやすい場所や乗り降りする場所にはラグも敷いています。リビングの大きなラグはインドの古いものです。

そのほかにも、遊べるスペースを広くしたいので床面積は広く取るようにしたり、リビングや寝室の入口ドアは出入りしやすいように外したり、少しの段差でも落ちてしまうので留守番時や就寝時は玄関のほうに行かないように自作のゲートを設置するなどしています。
インドア派の休日の過ごし方
お家での休日やオフの時間は、どのように過ごしていますか?
だいたい犬たちと一緒にごろごろしています。気が向いたらギターを弾いたり、本を読んだり、ドラマを観たりしています。

あとここ3年ぐらい、コロナ禍や犬たちがシニアになったことで外出を控えていたら、友人たちがよく遊びに来てくれるようになりました。1軒目は飲みに行って、2軒目はうちで飲み直して、そのままみんな泊まって帰ることもあります。
趣味はありますか?
写真を撮るのが好きです。家のインテリアや愛犬たちを撮ったり、あとは桜が好きで毎年いろんなところに撮りに行きます。

自分で撮った写真も少し家に飾っていて、写真プリントやアルバム作成ができるアプリ〈アルバス〉のサービスでプリントしたものを、ヤフオクやPUEBUCOで見つけた額に入れて楽しんでいます。

愛犬たちとの生活や、趣味のインテリアを心から楽しんでいる様子が伝わってきたサキさんの住まい。衣食住の中でも特にお金がかかるからと後回しにしがちな『住』ですが、初期費用がリーズナブルな物件を探したり、部品だけを購入して唯一無二のヴィンテージ家具をDIYするなど、工夫次第で自分にフィットする住まいを作れるのだと勇気をもらえた取材でした。
前編では、物件マニアだというサキさんの引っ越しエピソードや物件探しのポイント、インテリアの好みや家具選びについてなど、詳しくお聞きしています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください。
1年以上かけてようやく見つけた、
ちょっと珍しい物件
今の物件に住み始めた経緯を教えてください。
家探しで特に重視したポイントは、彼の趣味のバイクが置けるガレージがあること、そして内装や造りが個性的な物件であることでした。ですが、なかなかこの2つの条件を網羅する物件が見つからず、物件探しは1年以上、内見は10軒以上しました。

たしかに賃貸では珍しい物件ですね。
デザイナーズ物件ではないのですが、木目の天井や、吹き抜けが珍しいですよね。1階はLDK、ロフトは寝室として使っています。もともと床もフローリングでしたが、モルタル調のフロアマットでトーンアップ。荷物を搬入する前に彼と1日半かけて敷きました。
今の家に引っ越してよかったなと思うことは何ですか?
ひとつ前に住んでいた家がコンクリート打ちっ放しだったので、もともと好きなインテリアのテイストがなかなかハマらず苦労していました。この家は木目基調で開放的なので、明るく柔らかいお部屋作りを楽しめています。


心に栄養をプラスする、
ビビットなビタミンカラー
家づくりのテーマを教えてください。
我が家の空間づくりで軸になっているのは、ビタミンカラーです。キッチン周りはステンレスで統一するなど、各エリアごとにメインの素材は異なるのですが、どのエリアにもカラーアイテムを取り入れることで、家全体の一体感を意識しています。

もともと黄色やオレンジは好きな色で身の回りのいろいろなものに取り入れていたのですが、パーソナルカラー診断でブルベだったことがわかってからは、服などファッションアイテムで取り入れるよりも、インテリアで取り入れたいという気持ちが強くなりました(笑)。

ビタミンカラーが映える空間を作るために、どんなことを心がけていますか?
壁や床、大きな家具の面は、できるだけ白で統一して選ぶように意識しています。あと、植物のグリーンとビタミンカラーは一緒にあるとかわいいので、近くに置くことも多いです。


ビタミンカラーのアイテムを選ぶとき、気をつけていることはありますか?
色もので心配なのは、飽きないかどうか。長く使いたいので、流行りだからと取り入れるのではなく、昔から愛されているデザインのものや、作家さんの手作り品など、愛着が持てるものを選ぶようにしています。
ナチュラル家具でぬくもりをプラスして
インテリアはどのようなものが好きですか?
テイストは北欧、ナチュラルが好きです。小物系はポップで柄や色味のあるものに魅かれます。我が家のインテリアは〈HAY〉や〈IKEA〉、〈UNICO〉のものが多いです。


インテリアはどんなところから影響を受けていますか?
インテリアショップやカフェの内装からヒントを得たり、ドラマや映画の美術から影響を受けることも多いです。エンドロールにある美術のクレジットからチェックしたりしています。
思い入れのある、気に入っている家具について教えてください。
〈Artek〉の90Aテーブルです。旧居で彼との同棲がスタートし、暮らしの中心になる場所だからと、すぐ2人で奮発して買いました。当時からこのデザインと耐久性なら、この先どんな家に住んでも飽きないし、馴染んでくれるだろうと思っていました。白い汚れが目立ちそうではじめは少し心配していたのですが、汚れが染み込むことなく、綺麗な状態を維持できています。丸テーブルは来客があったときも囲みやすく、部屋の雰囲気を柔らかくしてくれるのもうれしいポイント。部屋の天井がダークブラウンの木目でやや重めな印象を、このテーブルが明るくしてくれている気がします。

ソファはどちらのものですか?
〈UNICO〉のTRELです。木のぬくもりにスタイリッシュなアイアンを合わせた軽やかなデザインで、さらにフェザー入りクッションはふかふかの座り心地。背もたれを外せばソファベッドとして使うこともできます。また、ソファのカバーは生地をカスタムできるので、家の雰囲気に合わせて長く愛用していけたらと思います。

ビタミンカラーのインテリアと、木や植物のぬくもりに元気をもらえるcororiさんの住まい、いかがでしたか?後編では、お気に入りの場所だというキッチンのこだわりや、すっきり快適に暮らすための収納アイデア、心をリセットするおうち時間の過ごし方についてなどお話伺います。ぜひお楽しみに!
お気に入りの家具と、
リビングの思い出
自宅の中で特にお気に入りの場所を教えてください。
リビングに置いている、〈リーン・ロゼ〉のトーゴのソファです。カスタムできる生地はちょっと奮発して、上質なランクのものを選びました。触り心地がとても良く、座り心地も抜群で、空間を一気におしゃれにしてくれる。さすが名作ソファだなと思います。さらに、とても軽いので『今日はこっちを眺めたい』と気分で向きを変えたり、模様替えが気軽にできるのもうれしいポイント。このソファでは仲間と仕事の話をしたり、恋バナをしたり、たくさんの思い出が詰まっています。

ソファと合わせて使っているサイドテーブルについて教えてください。
ソファの周りには2つのサイドテーブルを置いています。背の高い小さなテーブルは、僕がディレクションしているブランド〈roomsickgoods〉のアイテム。家に帰ってきたら、まずここにアクセサリーを置いてくつろぎます。

もうひとつのローテーブルは、もともとテーブルラックとして使っていた家具を倒して土台にし、その上にもともと木の土台とセットだったローテーブルのガラス天板だけを乗せて使っています。現在の家では木の雰囲気があまり馴染まなかったため、分解して組み合わせてみました。

家具を選ぶ基準を教えてください。
白が基調の部屋なので、そこに馴染んでくれるかどうかが判断基準です。家具は部屋の印象を大きく左右するものなので、白やシルバー、ブラックなど、色味をある程度絞って選んでいます。

また、定期的に模様替えをするので、移動がしやすい家具も多いと思います。冬になったら寝室を別の部屋に移したり、ベランダに置いている椅子を室内で使うなど、飽きないように構想中。これ以上家具を増やしてしまうとごちゃごちゃしそうなので、今あるもので試行錯誤しようと考えています。

家づくりのインスピレーションはどこから得ていますか?
PinterestやInstagramで好みの部屋をたくさん見て、自宅のインテリアの参考にしています。あとは、ふらっと入ったインテリアショップで、この組み合わせいいなと気づきを得ることも。表参道の〈CIBONE〉は好きでよく行きます。
日常にクスッと笑顔を。
なければ自分で作ればいい!
あべさん宅にはかわいい小物もたくさんありますよね。インテリアはどんなものが好きですか?
スタイリッシュで、少しクセのあるものに魅かれます。例えば、窓際で使っているブックスタンドは〈楽天〉で偶然見つけたものですが、人ががんばって支えている姿がなんともかわいいですよね。

ご自身でデザインされたグッズもたくさん愛用されていますね!
オリジナルグッズは『こんなのあったらいいな』という純粋な気持ちから製作することが多いです。洋服や財布、バッグ、メガネなどのファッションアイテムのほか、ミニテーブル、ラグマット、タオル、ポスター、ルームシューズなど、ホームグッズもたくさん製作。何気ない日常の中で、ふと視界に入ったときに和ませてくれたり、クスッと笑えるような、そんなアイテムを作りたいと思っています。



なかでも気に入っているアイテムを教えてください。
〈kaoyorinakami〉のお財布です。経年変化を楽しめる本革を使用し、刻印はイラストをメインにしたのがポイント。コンパクトでかわいいフォルムながら、カード、お札、小銭、すべてしまえて機能性も抜群です。『どこの財布ですか?』とよく聞かれる、自慢のアイテムです。

好きな音楽と、
大切な仲間と最高の休日を
インテリアに興味を持ったきっかけを教えてください。
大学生の頃、自分の部屋で音楽を聴くのが好きで、もっとおしゃれな空間でリラックスしながら聴きたいと思ってから、インテリアに興味を持ち始めました。
愛用しているオーディオ機器について教えてください。
窓際に置いているのは、〈Marshall〉のスピーカー。携帯とつなげて大音量で楽しんでいます。音質がとても良く、このスピーカーを迎えてから、暮らしが一段と豊かになりました。

あと、レコードプレイヤーは〈BEAMS RECORDS〉で購入した、〈House of Marley〉のものを愛用しています。House of Marley は、ボブ・マーリーの普遍的な愛や音楽、自然に対するリスペクトを、マーリーファミリーが具象化したブランドです。

お家での休日はどのように過ごしていますか?
友達を招いて過ごすことが多いです。みんなで食事をしたり、お酒を飲んだりしながら、アーティストのライブ映像を観たり、最近はカードゲームにもハマっています。
人を招くようになってから、ご自身の暮らしにどんな変化がありましたか?
もともと面倒くさがりな性格ですが、友だちを招くようになってからは『綺麗にしなきゃ』という気持ちが自然と生まれて、部屋の快適度がぐんと上がったと思います(笑)。また、『友達が来るならなにか作ろうかな』と、これまであまり興味がなかった料理にも挑戦するようになりました。

〈kaoyorinakami〉でデザインしたスリッパも、人が遊びにくる我が家だからこそ生まれたアイテムです。ゆっくりくつろいでほしいという思いを込めて、フカフカで気持ちのいい生地を選んで、とことん履き心地にこだわりました。履く前に見える中底には『WELCOME!』のタグを、側面には『Hayonenight(早よ寝ないと)』と刺繍をして、ちょっとクスッとできる要素をプラス。僕なりのおもてなしの気持ちが詰まったアイテムです。

洋服のデザインを考えたり、イラストを描いたり、ブランドの撮影をしたり、多忙を極める毎日でも、ユーモアや遊び心を忘れずに、真摯に暮らしを楽しむ姿が印象的だった、あべじゅんやさん。好きなものに囲まれた住まいをとことん追求し、仲間との時間を大切にするその温かい姿勢が、彼のインスピレーションに満ちたデザイナー人生を支えていました。
前編では、この物件を選んだ理由や家づくりのテーマ、生活感なくすっきり暮らす収納アイデアについてなど、詳しくご紹介しています。ぜひ前後編合わせて、お楽しみください!
家族のライフスタイルに合わせて、
引っ越しはフットワークを軽く
この家に引っ越した経緯を教えてください。
ずっと都心に住んでいましたが、フリーランスになったことを機に、家賃を抑えて愛犬とゆっくり過ごせる、少し郊外への引っ越しを考えていました。そんなとき、敷金など初期費用ゼロで、フリーレント付きのこの物件を発見。今しかないと思い、急遽引っ越しを決意しました。自他共に認める物件マニアで、18年前に上京してから、ここが11件目の住まいです。


引っ越し、大変じゃないですか?
“今住んでるところをこうしたい”という理由で引っ越すので、楽しみな気持ちの方が強いですね。でも、ワクワクしながら申し込んで、いざ引っ越しが決まってから出るまでの期間はマリッジブルーならぬ、“引っ越しブルー”が起こります(笑)。『やっぱりこの家のままがよかったのでは』と考えてしまうんです…。でも、実際引っ越してしまえば、前の家がよかったと思うことは今まで一度もないですね。
家探しで譲れないポイントはありますか?
愛犬たちにとって、居心地の良い住まいかどうかが一番のチェックポイントです。2匹とも高齢であまり散歩ができないので、日当たりが良く日向ぼっこができるか、ベランダがあるか、散歩の動線が良いか、などは必ず確認します。愛犬が急に散歩が嫌になったときは、庭付きの家に引っ越したこともありました。

あとは、インテリアが楽しめる間取りや内装であるかも重要です。気になる物件を見つけたら、まず図面をエクセルで起こして、1マス10cmとして今持っている家具の配置をシミュレーション。『この家具が置けないし厳しいかも』と諦めることもあります。
今の物件で決め手になったポイントを教えてください。
初期費用と家賃の安さ、間取りの使いやすさが決め手になりました。スライドドアを開放するとLDKが16畳あり、さらに押し入れもリビングの一部として使えて広々感じられます。また、このマンションは世帯数が少なく、隣人が隣り合わせではなく、階段を挟んで向かい合わせになるように住戸が配置されています。音の心配も少なく、安心して過ごせるだろうと感じました。


直感で選ぶ、
ヴィンテージ家具とグリーンの癒し空間
インテリアはどのようなものが好きですか?
綺麗すぎず味がある木のヴィンテージ家具と、グリーンの組み合わせが好きです。古い家具は探しに探し抜いた一点もの感があり、眺めているだけでその美しさにワクワクしたり、癒されます。

好きなテイストはまったく決まっていなくて、ネットでインテリアを検索するときも『アンティーク』、『ヴィンテージ』、『ミッドセンチュリー』、『スペースエイジ』、『インダストリアル』など、たくさんのワードを入れます(笑)。どこの国のものか、時代などにはあまり興味がなくて、直感で好きなものを選ぶことが多いです。
植物はどんなものを選んでいますか?
深い色のグリーンを選ぶことが多いです。また、かわいい鉢に出会ったらまず買って、それに合う植物を探すことも多いです。大切に育てていても枯れてしまうこともあるので、鉢単体でもオブジェのように楽しめるものを選ぶようにしています。


掘り出し物を循環させて、
今一番使いたい家具と暮らす
家具を選ぶ基準を教えてください。
家具を選ぶ基準はデザインもですが、高すぎないこと。飽きてしまうかもしれないので、3万円を越えるものはほぼありません。私はずっと長くひとつのものを使うよりも、その時々の自分の好みや、今しかない出会いを大切にしたいタイプ。例えば、良い椅子を見つけたら、今家にある椅子をひとつ売ったり、譲ったりして循環させます。
あとは、模様替えや引っ越しが趣味で、家で撮影もよくするので、動かしやすい大きすぎない家具が多いです。

特にお気に入りの家具を教えてください。
照明と椅子が大好きで、数えたら照明は10個、椅子は8個ありました。オブジェのような、鑑賞目的で持っているものもあります。
テーブルランプとスツール
どちらも今年6月にオープンした、神奈川・生田の〈monoroom〉というリユースショップで購入しました。椅子にもなるサイドテーブルと大きめのテーブルランプの相性が良く、バラバラで購入しましたが、まとめて置いてみると統一感が出て、素敵なコーナーに。

花柄チェア
千駄ヶ谷の〈&VINTAGE〉で見つけた、イギリスのおばあちゃん家にありそうな花柄チェア。椅子はたくさんある我が家ですが、意外と背中をやさしく包み込んでくれる座り心地の良い椅子がなく、一人掛け用のものを探していました。

シザーランプ
キッチンの壁から伸びているシザーランプは、海外の仕入れサイトから購入したもの。シェードの雰囲気や木の色味が好みで、値段も25,000円とかなりリーズナブルでした。我が家は賃貸なので、跡が残らないピンで板をつけて、その上から設置。コンセントプラグは日本の規格ではなかったので変換して使っています。

家具はどんなところで買うことが多いですか?
ヤフオクやメルカリなどで家具を探すのが好きで、ブランドものというよりは“掘り出し物”で部屋づくりをしています。特にフリマアプリのメルカリは個人の方がいらないと思ったものを出品しているので、リーズナブルだし、意外なものに出会えます。
あとはお気に入りのショップのインスタやオンラインショップを見るのも日課です。〈Want Antique〉、〈SHARK ATTACK〉、〈FUNagain〉、〈HYST〉、〈東京リサイクル〉、〈Rose Bowl Antiques〉は普段から欠かさずチェックしています。

その時のライフスタイルや好きなものに合わせて、家も上手にアップデートしているサキさん。後編では、リーズナブルに理想の家具が手に入るDIYの話や、18歳の愛犬たちとの暮らしについて、休日の過ごし方など、詳しくご紹介します。ぜひお楽しみに!
絶景が導いた、
新しい生活
今の物件に決めた理由、部屋探しで重視したことを教えてください。
窓が大きく景色の良い部屋に住んでみたいと角部屋を探していて、たどり着いたのがこの物件でした。以前はデザイナーズマンションに住んでいて、その内装は引き継ぎたかったので、壁の一部にコンクリート調のシールを貼ったり、床にはアイボリー色のタイルカーペットを敷くなどして、理想の内装に近づけました。

今の家に引っ越してよかったことは何ですか?
外をぼんやり眺めながら考え事をする時間が増えました。時間帯によって刻々と変わる景色は見ていて飽きないですし、外の景色を見るたび自然とやる気が出ます。この家に引っ越してから、一人でまったりする時間も好きになり、ありがたいことに友だちも遊びに来てくれることが増えて、家時間がどんどん充実しています。

部屋のベースはクリーンな白!
衣食住を詰め込んだ、9.5畳の賑やかなリビング
自宅づくりのテーマを教えてください。
白を基調とした部屋づくりです。昔から白の洗練されたイメージや、空間を広く見せてくれるところが好きなんです。また、白は汚れが目立つので、自然と丁寧な暮らしを心がけようと思えるのも良いポイント。ただ、白で統一するだけだと味気ないので、ポイントになるカラーを取り入れてファッションのように部屋づくりを楽しんでいます。コンパクトな家ですが、好きなものに囲まれて暮らすことは諦めたくなくて。ものが多くてもおしゃれに見える家を目指しています。


リビングダイニング寝室、すべての機能が9.5畳の部屋に集約されていますね。
我が家は1LDKでもうひとつ4.5畳の部屋があるのですが、エアコンがなく…。この夏はリビングダイニングに寝室もギュッと凝縮させて暮らしています。ベッドエリアとリビングダイニングエリアは、〈USM〉のラックを仕切り代わりに、ゆるやかにゾーニングしています。

ベッドのふとんカバーや、黄色いポスターが空間の良い差し色になっていますね。
ベッドカバーはリバーシブル。気分や季節によって2色使い分けられる、機能的なデザインが気に入っています。〈ラグモア〉というショップで購入しました。

ポスターは自分で作ったもので、〈roomsickgoods〉というブランドで販売しています。“home sick”という言葉よりもポジティブなイメージで、“部屋が恋しくなる”アイテムを展開しています。

収納も工夫次第でおしゃれに
収納について、心がけていることを教えてください。
生活感が出るものは扉付きの収納アイテムでとことん隠して、表に出ているものはディスプレイ感覚で美しく見せることを心がけています。我が家は備え付けの収納が少ないので、収納家具はマスト。“見た目はおしゃれでも、実は収納家具”、そんなデザイン性の高いものを選ぶようにしています。

洋服収納はどんな工夫をしていますか?
備え付けのクローゼットが非常に小さいので、〈DULTON〉のランドリーカートを追加で購入しました。ラック部分には軽めのアウター、下のバスケットにはTシャツをしまっています。

隣に置いているマシーンは、自宅でクリーニングができる〈LG Styler〉。シワを伸ばしてくれたり、防臭・除菌もできるなど多機能でとても便利なんです。オフシーズンの服はこれでクリーニングしてから、マンションの共有部にある個別ロッカーにしまうようにしています。

リビングの収納アイテムでおすすめを教えてください。
〈roomsickgoods〉のマルチチェストです。収納もできて、かつサイドテーブルとしても使える優れもの。僕はリモコンや延長コード、トランプなど、細々したものを収納しています。

生活感を抑えることで、生活のしにくさは感じますか?
慣れてくると感じません。ひとつひとつの所作が丁寧になり、きちんと暮らそうと思えるはず。自分は面倒くさがりな性格ですが、この部屋には綺麗にしなきゃという強制力があります(笑)。
いつも絶景がそばにある、あべじゅんやさんのコンパクトライフ。後編では、お気に入りの家具や好みのインテリア、自身で手がけたグッズの話、日々のおうち時間についてなど、詳しく伺います。ぜひお楽しみに!
ポップな色と、
落ち着きのあるビンテージ家具をミックス
どんなインテリアが好きですか?
北欧デンマークのインテリアブランド〈HAY〉と出会ったことをきっかけにインテリアに興味を持つようになったくらい、デンマークのお家のカラフルでハイセンスな色使いが好きです。日照時間が短く、冬は極寒となるデンマークでは家で過ごす時間が長いため、部屋の中に明るい色を取り入れて気分を上げる文化があるそう。〈HAY〉の表参道店には何度も足を運んでいて、コンクリート打ちの壁の店内に映える、鮮やかな色の家具や小物、ファブリックがセンスよく組み合わされたディスプレイを見るたび、胸がときめきます。


一方で、ビンテージ家具も好きです。新しいものにはない、大事に使われてきた素材感が素敵だし、現代にはない形や色合いのものが多く魅力を感じます。リビングに敷いているラグと、壁にかけているドリームキャッチャーのような大きな飾り物はヴィンテージショップ〈memo shibuya〉で購入したもの。作られた背景などは詳しくはわからないものの、「これだ!」と思えるものに出会えたときのワクワク感がたまりません。


部屋の中はたくさんの色で溢れているのに、上手く空間がまとまっているのが素敵です。色使いでは、どんなことを意識していますか?
カラフルなものは視界に入ると明るい気分になれるので好きですが、派手すぎても落ち着かないので、色みが強いものはアクセントで使いながら、バランスに気をつけてまとまり感を意識。大きい家具は壁の色と合わせることで、色のある小物やファブリックに自然と目がいくように考えています。以前雑誌で得た知識なのですが、“同じ空間に同じ色のものを3つ以上置くとまとまる”と書かれているのをみて、強い色味のものを置くときは特に意識して馴染ませるようにしています。


家具は一生もの。
だから悩んで悩んで迎え入れる
特に思い入れのある家具を教えてください。
〈リーン・ロゼ〉のソファです。せっかくだから結婚資金は良い家具に使いたいねと夫婦で話し合い、前々から欲しかった『ロゼトーゴ』のソファを購入することに。2シーターにコーナータイプもくっつけて使っています。生地はなかなか決まらなくて1か月以上悩みました(笑)。店舗に何度も足を運んで、サンプルも複数取り寄せた中から、植物と相性が良くて、一番部屋の雰囲気に馴染みそうだと感じた今の深緑の生地に決定。将来的には部屋の雰囲気に合わせて生地を張り替えたり、1シータータイプやオットマンを買い足したりして、長く使っていきたいと思っています。

家具を選ぶとき、どんなこだわりがありますか?
デッドスペースが生まれないように、特にサイズはしっかり測ってから購入します。色やデザインについても、部屋の写真と見比べながら何度も考えます。簡単に手に入るものは簡単に飽きて手放してしまうということに気が付いてからは、金額に関係なく、長く使い続けたいかどうかをよく考えるようになりました。好きな家具のある場所は自然と特別な場所になりますよね。デザイナーズ家具は高価ですが、手入れをすれば何年も状態よく使えて飽きがこないので、少しずつ増やしていきたいです。

よく買い物をするインテリアショップを教えてください。
一番行くのはやっぱり〈HAY〉です。モノトーン系のものやシンプルでデザイン性の高いものを探しているときは、楽天にもショップがある〈ART OF BLACK〉をチェックしたり、SNSから情報を得たりすることも。ヴィンテージショップだと〈bob’s box〉や〈CEROTE ANTIQUES〉など、千駄ヶ谷周辺のショップへ訪ねることも多いですね。
夜のリラックスタイムは、
グリーンと南国リゾート気分
日々の暮らしの中で好きな時間はいつ、どんなときですか?
仕事から帰ってきた後の夜の時間です。朝はバタバタしてしまう分、夜は好きなお香を焚いて、ラジオや音楽を聴きながらぼーっとしたり、間接照明やキャンドルを灯してソファーでゆったりくつろいだりする時間が大好き。その日1日の疲れがほぐれていくのを感じられます。
最近〈SLEEPY TOFU〉のマットレスに新調したのですが、硬すぎず柔らかすぎず最高の寝心地で睡眠の質も上がり、ますます夜の時間が好きになりました。ベッド周りには〈THE POSTER CLUB〉で購入した海のポスターと、ベッド周りを取り囲むようにグリーンを置いて、南国リゾート気分を味わえる空間に。ぼんやり明かりが灯る〈HAY〉のペンダントライトも心を落ち着かせてくれます。

MOJIKAさん宅にはたくさんグリーンがあって癒されますね。
どんどん増えたグリーンは現在30鉢前後ほどあります。できるだけ日が当たるところで、かつ自分がリラックスしたい場所に置いています。特に大きくてインパクトがあるのは、寝室にあるオーガスタ。バナナの葉のような南国っぽい雰囲気が大好きです。


グリーンを元気に育てるために心がけていることを教えてください。
とにかく我が家は日当たりが良いので、特別なことをしなくても元気にぐんぐん育ってくれます。水やりのタイミングは、水が切れると色が変わる特殊な土で管理。最近は私の影響で夫もいくつかグリーンを育てるようになり、いつの間にか朝のグリーンの健康チェックが日課に(笑)。二人の共通の趣味ができてうれしいです。

好きなグリーンショップはありますか?
練馬にある〈オザキフラワーパーク〉は植物の種類が豊富で歩き回るだけで楽しいです。鉢は銀座にある〈upstairs outdoor living〉のものがとってもかわいくお気に入り。店内のスタイリングもとても参考になるのでよく行きます。
色のパワーでどこを見てもときめきに溢れた、MOJIKAさん宅。コンパクトな住まいでも、視覚で受け取る感覚次第で、快適具合はグッと上がるもの。むしろ動線を短くできたり、好きなものをすぐそばに感じられたり、コンパクトだからこそ得られる暮らしの良さもある。そう気づかせてくれた、素敵な住まいでした。
前編では、この家を選んだ経緯や動線バッチリの間取りプラン、おしゃれで使いやすい収納アイディアについてなどご紹介しています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください!
インテリアは心赴くままに、
直感で迎え入れる
インテリアはどのようなものが好きですか?
系統にこだわらず、かわいいと思ったものを直感で迎え入れていますが、気付けばビンテージや新しいけれどどこか味のある家具や雑貨は多いと思います。
好きなインテリアショップを教えてください。
千歳烏山の甲州街道沿いにある倉庫型のリサイクルショップ〈NEWS〉は、掘り出しものを探しによく行きます。棚に飾っている〈HARLEY-DAVIDSON〉のフィギュアもそこで購入しました。あと家具系だと〈unico〉や〈HAY〉、〈kanademono〉もよくチェックします。

ディスプレイしている雑貨たちは、ユニークなものが多いですね!
棚の中心にいる黄色いウサギのようなオブジェは、アーティストのNANA SOEDAさんの作品。『WHAT IS THIS?』と問いかけるキャラクターは性別も名前も持ち主に委ねられていて、共に怒り、共に泣き、息苦しい社会をともに生き抜いてくれる存在として制作されたそうです。

サウナハットは、〈blackmouton felt〉でUNIの写真を見せてオーダーメイドで作ってもらったもの。あまりのかわいさに使えず、今はオブジェ化しています(笑)。

ディスプレイ棚自体はどちらで購入したものですか?
〈無印良品〉です。猫のペットドアがちょうど使える形状を探して辿り着きました。一番下の段は別売りの引き出しを組み合わせて、収納としても使っています。
アップデートし続けたい、
猫とくつろぐリビング
日々の暮らしの中で好きな時間はいつ、どんなときですか?
ワイン片手に映画を観ながら猫たちとまったりする時間です。テレビは画質のいい〈SONY〉のBRAVIA有機ELテレビ。薄型ながらサウンドスピーカーも内蔵されていて、音もとっても良いんです。これからはさらに音を良くするためにサウンドバーの導入も検討中です。

リビングのくつろぎ空間。愛用している家具を教えてください。
愛猫たちも大好きなソファは〈MOMO NATURAL〉。しっかり体を支えてくれて、なおかつ包み込まれる柔らかさもあります。フルカバー仕様で取り外して洗濯ができるのも気に入ったポイント。ソファの上にかけている牛や家が描かれたブランケットは、渋谷から神泉へ歩いていたときに、偶然通りかかった路上マーケットで見つけたもの。どこのものかも全くわからないのですが、かわいい模様に魅かれて持ち帰りました。
隣のウェビングベルトが張られたグリーンとホワイトの折り畳みチェアは〈Pacfic Furniture Service〉、天板の昇降が可能なローテーブルは〈 JOURNAL STANDARD FURNITURE 〉、ソファ背面のスタンドライトは〈IKEA〉で見つけました。

リビングのペンダントライトも素敵です。
部屋の照明はすべてリラックスできる、暖色の柔らかく灯るライトを選んでいます。リビングのペンダントライトは〈FLYMEe〉で見つけたもの。スイッチを押すとフワッと天井に柔らかい光が広がるのが落ち着きます。

アートはどなたの作品ですか?
上の絵は女性4人組バンド〈CHAI〉の元ベーシスト・YUUKIさんがクリエイティブディレクターを務めるブランド〈YMYM〉のアート作品です。色使いも絵のタッチもかわいくて、目が合うたびに気分を上げてくれます。

下は大友昇平さんの『平成聖母』という作品のポスター。よく観ると平成で話題になったキャラクターで構成されていて、メインの女性もセーラームーンがモチーフ。すべてボールペンで描いているのもかっこいいんです。

機能性と癒しが共存する、
小さなワークスペース
お仕事はデスクワークの多いMAIさん。ワークスペースのこだわりを教えてください。
普段は会社で仕事をする時間の方が長いのですが、猫たちに癒されながらできる家のワークスペースも気に入っています。デスクは昇降タイプの〈イトーキ〉のもの。オンラインミーティングのときは立ち飲みみたいな感覚で立って話すほうがディスカッションしやすくおすすめです。また、座って作業をするときは、チェアの肘置きと背もたれの支え、デスクの高さを揃えることで疲れにくくなると聞き実践。チェアは〈WORKAHOLIC〉という高機能オフィスチェアを扱うセレクトショップで、どんな椅子が合うかチェアコンシェルジュの方と相談して、自分の体格に一番マッチした〈Steelcase〉に決めました。

おうちには植物もたくさんありますが、どんなものが好きですか?
モンステラやセローム、苔玉など、葉っぱが大きかったり、めずらしい形をしていたり、インパクトのある植物が好きかもしれません。ほぼグレーで統一している鉢は、渋谷のスクランブルスクエアの9階にできた〈garage SHIBUYA〉でいくつか購入しました。

植物のお世話で心掛けていることを教えてください。
植物のお世話は日々勉強中です。カビを生やさないように、床置きではなくスチールで高さを出して置くようにしたり、サーキュレーターもできるだけ回すようにしています。
猫もインテリアも、愛を育める存在に出会うことで人生はより豊かに、楽しくなると気づきをもらえたMAIさんのコンパクトライフ。愛猫たちを見習って、心赴くままに行動してみる。そんな気ままさを兼ね備えながら、起業家として現代社会をしなやかにサバイブする彼女の生き方に刺激をもらえた取材でした。
前編では、この家に引っ越してきた経緯や猫を飼い始めてからの暮らしの変化、おすすめの猫用品についてなどお話しています。ぜひ前後編合わせて、お楽しみください。
暮らしが健やかに整った、
日当たりの良い部屋
この物件を選んだ理由を教えてください。
開放感のある吹き抜けと南向きの日当たりの良さ、希望していたルーフバルコニー付き、コンクリート打ちっぱなしの壁とモノトーンの内装デザインに強く惹かれました。実は、当初夫と決めていた家賃の予算を若干オーバーしていたため、夫にプレゼン(のような説得)を行ったという裏話も(笑)。また、内見しながら、実際に住んだらダイニングはここで、リビングはここがいいかなと、リアルな生活がイメージしやすかったのも決め手になりました。
今の家に引っ越してよかったなと思うことは何ですか?
以前ひとり暮らしをしていた物件はあまり日が差し込まず、天気の悪い日は日中でも電気をつけていたのですが、日当たりの良い今の家に越してきて、朝気持ちよく目が覚めるようになったり、育てている植物たちも元気に成長したりしていることがうれしく、日当たりの大切さを実感しています。

動線次第でアップする
暮らしの満足度
暮らしのマイルールを教えてください。
動線を意識すると格段に生活がしやすくなるので、我が家では1階を『動く−ONの場所』、2階を『休む−OFFの場所』と決めてインテリアを配置しました。身支度を整えたり、料理をしたり、洗濯物を片付けたりと、動きの要素が多い1階には高さのある家具を配置。立ったまま作業ができる高めのシェルフを置くなど工夫しています。一方、2階はリラックスして過ごす場所にしたかったので、ローソファやローベッドなど高さの低い家具を選び、大きめの植物を取り入れて開放的な空間を意識しました。


2階は寝室を通ってリビングに行く動線が新鮮ですね!
もともとはリビングを通ってベッドルームの配置でしたが、ちょうど引っ越してから1年ほど経ったタイミングで気分を変えようと模様替えしてみました。リビングのテレビ裏は配線が気になったので、〈DRAW A LINE〉の突っ張り棒を設置し、シースルーの布を吊るして目隠ししています。
前までベッドルームは寝るときしか使っていなかったのですが、今の動線だとベッドをソファのようにして気軽に横たわったり、ちょっと腰掛けて本を読んだり、リビングの延長のように使えて気に入っています。

自宅の中で特に気に入っている場所を教えてください。
ダイニングです。6畳程度の広さしかないのですが、吹き抜けのおかげで圧迫感なく過ごせて、南向きに面している壁一面の窓から日がたっぷりと入ってくるので、窓を開けて風を感じながら日向ぼっこすることも。ダイニングは夫婦で一番会話をする場所なので、木目調の家具や小物を置いて温かみのある雰囲気となるように意識しました。デザインに一目惚れした「トリニダードチェア」もヴィンテージショップで見つけたもので、直線と曲線が組み合わさったデザインと座り心地の良さがお気に入りです。
私も夫も出社ベースの仕事なので、平日は特に忙しなくなりがち。だからこそ、向かい合って食事や晩酌をしながらその日にあった出来事や、たわいもない話をするリフレッシュ時間を大切にしています。

また、ダイニングの一角、デッドスペースになりやすい階段下にはドレッサーも配置。大きな鏡を置くことで、部屋を広々感じられるように工夫しています。

収納の少ないデザイナーズ物件の、
おしゃれ収納アイディア
ふたり暮らしで50㎡のコンパクトライフ。収納はどんなことを心がけていますか?
デザイナーズ物件あるあるで収納スペースが極端に少ない我が家ですが、見せる収納と隠す収納に分けて工夫しています。食器、本、洋服、夫の趣味のフィギュア、花瓶、香水などは、店舗にディスプレイするような感覚で、オープンシェルフやガラスケースを使って見せる収納に。見えると生活感を感じてしまうようなものは、〈HAY〉のコンテナボックスや〈無印良品〉のバスケットなどに保管したり、扉付きの家具に収納したり、〈IKEA〉のワゴンを活用するなど、隠しつつもおしゃれで機能的に収納できるように工夫しています。あとスペースが少ない分、過剰に物を持ちすぎないように気を付けるようになりました。


洋服の収納について、詳しく教えてください。
6畳の洋室を思い切ってウォークインクローゼットとして使用しています。衣類は〈IKEA〉のカラックス(写真:白い棚)と〈楽天〉で購入した突っ張りタイプのハンガーラックを使って、色やカテゴリーごとに分けて収納しています。カラックスは別売りの引き出しや扉をカスタムすることができて、見せたくないインナー類などはうまく隠しつつ使い勝手よく収納できて助かっています。この部屋で衣類除湿器を回して洗濯物を干し、乾いたらそのまま同じ部屋で畳んで収納するところまで完結できるところも気に入っています。


キッチンの収納についても詳しく教えてください。
キッチンの収納も最小限しかないので、食器などはダイニングエリアに置いています。〈無印良品〉のステンレスユニットシェルフはデザイン性と機能性が高く、棚の高さを自由に変えられたり、別パーツのラックを取り付けられたりするなど、オーダーメイドのような使い勝手の良さがあります。

一見難易度が高そうな奥行きのある縦長の住まいでも、生活動線をうまく考えながら1階と2階でメリハリのある暮らしを楽しんでいたMOJIKAさん。後編の記事では、インテリアの好みやお気に入りの家具の話、いつものお家時間についてなど、詳しくご紹介します。ぜひお楽しみに!
猫と暮らすために設計された、
賃貸マンションへお引っ越し
今の物件に引っ越した経緯を教えてください。
2年ほど前、猫を飼い始めたことをきっかけに家探しを始めました。街の不動産屋さんで猫の飼育がOKで、かつ日当たりと風通しのいい家を探してもらったところ、猫と暮らすために設計されたこのマンションに出会いました。

具体的にどんなポイントが猫のために設計されていますか?
まず、インテリアとしても優秀な壁付けのキャットウォークがあります。猫たちはリビングの大きな窓が大好きでよく登って外を眺めています。一部のステップはガラスになっていて、下から猫のかわいい肉球を眺めながらお酒を飲む時間は至福のひとときです(笑)。

そのほかにも、人間のトイレ内に猫トイレが置けるスペースも確保されていたり、リビングの壁にトイレへ行き来できるペットドアも備わっていたりします。

初めての猫との暮らしで、
わかったことや、変わったこと
猫と暮らし始めたきっかけを教えてください。
実はどちらかといえば犬派だったぐらい、もともと猫にはそこまで興味がなかったんです。でも、SNSで初めてエキゾチックショートヘアを見たとき、顔のパーツがすべて中心に寄っていて、鼻ぺちゃな感じがかわいすぎて(笑)。それからブリーダーさんとのご縁ができて、UNIをはじめに迎えて、その1年後ぐらいにUNIの弟と一緒に暮らしていたTARAも迎え入れました。

UNIとTARA、それぞれどんな性格ですか?
動物って、家に帰ってきたらすぐ迎えに来てくれるような、懐っこいイメージがあったのですが、UNIはクールで普段から一人行動多め。意外な感じでした(笑)。でも、TARAは甘えん坊ですぐ迎えにきますし、家にいるときはずっとくっついてきます。猫でも性格は全然違うんだなと驚きでしたね。


猫の魅力ってなんだと思いますか?
もう全てですね(笑)。仕事柄、常になにかを考えている状態で、人と接している時間も長く、つい気疲れしてしまいがちなのですが、自由気ままで奔放なUNIとTARAと暮らしていると、自分自身も気ままに生きようと思えるようになりました。本当に猫って尊くて。しゃべるし、表情豊かだし、感情もあるし。UNIとTARAはペットというより、“友達”という方がしっくりきます。
猫と暮らす上で日々心掛けていることを教えてください。
我が家の猫たちは、棚に置いているものを落とすこともないし、植物も食べないので特に制限していることはないのですが、キャットウォークに登りやすい家具の配置を考えるなど、過ごしやすい動線は猫目線で考えるようにしています。あと、猫は水飲み場が遠いと動くのが面倒で水分補給を怠ってしまうと聞いてから、水は普段猫たちがよく歩いたり、通ったりする3スポットぐらいに分けて配置するようにしています。

愛猫の健やかな暮らしを支える、
使ってみてよかった猫用品
猫用品を買うとき、よくチェックするお店はありますか?
オンラインのセレクトショップ〈pawpawmall〉と 〈sorbet〉はデザイン性の高いアイテムが入荷するので、日頃からチェックしています。猫を飼っている素敵なお家を紹介しているsorbetのInstagramもとってもおしゃれで必見です!
イチオシの猫用品を教えてください。
スティックおもちゃ
〈sorbet〉で見つけた、紐のねこじゃらし。これを出すとUNIもTARAも大興奮です。スティックの持ち手部分にバネがあって、猫の狩猟本能をくすぐる自然に近い動きを演出できます。

爪研ぎ
インテリアとしてもかわいいモナリザが描かれた爪研ぎ。こちらは〈pawpawmall〉で購入しました。素材はダンボールと同じように猫が大好きなサイザル麻。爪研ぎ後の屑が出ないのもありがたい上に丈夫です。

ケアアイテム
爪切りは刃が薄く、ハサミ型で扱いやすい〈猫壱〉のものを愛用。肉球の周りの毛が長いと滑りやすくなるので小さなバリカンも一緒に使ってケアしています。あとは、エキゾチックショートヘアは平面顔で涙が出やすい猫種。1日2回ぐらいは〈アイリッドラッシュ〉というジェル状クリームをつけて目の周りの汚れや分泌物を拭き取りつつ保湿ケアをしています。

あと、猫のトイレの下に「Catlog Board」という排せつ量や回数、体重を調べられる機械を敷いています。おしっこの頻度が多いとか、病気の可能性があるなど、連動のアプリを日々チェックして体調管理を行っています。

空気清浄機
猫の困りごとを一挙に解決してくれたのが、〈LG〉のサーキュレーター機能付きの空気清浄機「LG PuriCare™ Pet」。これを使い始めてから部屋の獣臭がすっかりなくなりました。さらに、空気中に舞う猫の毛も吸い取ってくれる優れものです。

猫と暮らすようになってから家にいる時間が長くなり、家への愛着もだんだんと深まってきたというMAIさん。後編では、いつも猫とまったりしているリビングづくりのアイディアや家具や雑貨の好み、起業家としても活躍するMAIさんのワークスペースについてなど、インテリアにまつわることを詳しく教えてもらいます。ぜひお楽しみに!
ファッショナブルな5.5畳の寝室
寝具はどんなものを愛用していますか?
シーツや掛け布団カバー、毛布など我が家の寝具はすべてデンマークのテキスタイルブランド〈TEKLA〉のものです。100%オーガニックコットンでやわらかな肌触り。細部のデザインもかっこいいです。

寝る前にはホームリネンブランド〈ÉCHAPPER〉のリネンスプレーをシュッと振りかけます。シーダーウッドやサイプレス、サンダルウッドを合わせた爽やかな香りで、一瞬で眠りにつけますよ。

洋服のディスプレイも素敵です。
ものはできるだけ減らして暮らそうと心がけている我が家ですが、洋服だけは夫婦揃って大好きで、たくさんクローゼットに詰め込んでいます。トルソーやラックにディスプレイしている服はそのときどきのシーズンで特によく着るお気に入りのものです。

メガネもファッションに合わせて集めていて、さまざまなブランドのものを愛用しています。最近購入したお気に入りは、〈ayame〉や 〈YUICHI TOYAMA〉のもの。休みの日の朝はランニングをするのが日課なのですが、ランニング用のメガネもいくつか持っています。

寝室のシンプルな照明はどちらのものですか?
神宮前にあるセレクトショップ〈MAIDENS SHOP〉で購入したフランスの〈ラファブライト〉の電球部分。もともとリビングで使うために購入しましたが、専用のプラグがないとつけられなくて、今は一時的に大きなシェードを外して寝室の照明として使っています。タコ糸で編まれたシェード部分は床に置いてオブジェのようにして楽しんでいます。


生活感の出やすいキッチンも、
ホテルライクに整える
普段、家で食事をすることは多いですか?
夜は早く帰って、家で夕飯を食べることがほとんどです。パートナーが料理をしてくれて、僕が食器洗い担当です。
ダイニングテーブルセットについて教えてください。
大理石のダイニングテーブルは、ミッドセンチュリー家具の代表作ともいえる、ニューヨークのファニチャーブランド〈Knoll〉のサーリネンコレクションのラウンドテーブル。椅子は、マルト・スタムがデザインしたカンティレバーアームチェアと、ハンス・J・ウェグナーのYチェア、〈Vitra〉のベルヴィルチェアを合わせています。Vitraの椅子は千駄木にあるインテリアショップ〈FUNagain〉で購入。いい家具が驚くほどリーズナブルな価格で手に入るお店です。

生活感を感じさせないキッチン。どんなことを心がけていますか?
できるだけ生活感の出る食材や調味料は戸付きの棚にしまって、家電もリビングダイニングと馴染むように、モノトーンカラーでシンプルなデザインの家電を選ぶようにしています。〈バルミューダ〉のケトルは沸くまでの時間が短く、注ぎ口が細いので、コーヒーをドリップするときにも重宝しています。

また、〈HUROM〉のジューサーも買ってよかった家電のひとつ。我が家では朝フレッシュジュースを飲むのが日課なのですが、皮つきのまま大きめにカットしたフルーツでもそのままかけられて、繊維量の少ないサラッとしたジュースが仕上がります。

ダストボックスも素敵ですね。
ブラックの方は〈Vitra〉、シルバーの方は新宿のコンランショップで購入した、〈シンプルヒューマン〉のものです。小さいゴミ箱だとこまめにマンションのゴミ捨て場に出しに行くようになるので、家をいつも快適に保てます。

日々の健康をつくる、
毎日の朝時間
今の家に引っ越してから、ライフスタイルに変化はありましたか?
窓が広くて光が気持ちいいので、朝早起きになりました。大体、朝は5時に起きて9時に家を出て仕事をして、夜は20時前には帰ってきて、22時ぐらいには寝ます。以前は仕事から帰ってきて夕飯を食べたら、SNSを見てダラダラして、気づいたら0時を過ぎているような夜型生活を送っていましたが、朝型になってからは、風邪も滅多に引かなくなったし、ストレスも全然たまりません。
朝のルーティンを教えてください。
朝起きたら、まずコーヒーを淹れて、Instagramの更新などデスクワークを開始。6時ぐらいになると部屋の中に朝日が入ってくるので、好きな音楽かけながら、外をぼーっと眺めたり、床に寝てストレッチや筋トレをします。階段下あたりに寝転ぶと、開放感ある吹き抜け空間が目の前に広がって、とても気持ちがいいんです。
そうこうしているうちにパートナーが起きてくるので、一緒に朝ごはんを食べて、支度をして出かけるという流れですね。朝は何をするにしても捗りますね。

コーヒーはどんなものを飲みますか?
旅先のコーヒー屋さんで見つけた、ドリップバッグを飲むのが日課です。写真は、この前行った屋久島の〈ISSOU COFFEE ROASTERY〉のコーヒー豆。お気に入りのマグカップは、スウェーデンのヨーテボリを拠点に活動する〈a.i.gut〉のものです。

休みの日はどのように過ごしていますか?
家にいるよりも外に出かけていることが多いです。毎月どこかしら旅行していて、1泊2日の短い休みでも沖縄や韓国へ行ったりします。深夜便に乗って早朝に着いて、1日中遊んで、次の日の夜便で帰る。旅行は休みと言いつつ、非常にハードです(笑)。日頃から走ったり、トレーニングをしているのは、休みの日に遊べる体力をつけるためでもあります。
白が基調の部屋を舞台に、ものを持たないシンプルな暮らしにチャレンジしたり、朝日に誘われて朝型生活を始めてみたり、心身ともに健康的な暮らし方が印象的だった、タカキリョウさんのコンパクトライフ。今住んでいる家にはどんな特徴があるのか。そう振り返ってみることで、新たな暮らし方が見えてくるかもしれません。
前編では、この家に引っ越してきた経緯や家づくりのテーマ、コンパクトライフのメリットや、タカキさんの好きなインテリアについてご紹介しています。ぜひ前後編あわせてお楽しみください!