“がんばらない”を味方につけた、
ズボラでも整う、ごきげんな部屋作り(前編)
2019年10月、編集者の安達薫さんは熊本から上京してはじめて住んだ思い出の街、代々木八幡へ再び引っ越してきました。住まいは築40年ほどのヴィンテージマンションで、間取りは2LDKの2人暮らし。”丁寧な暮らし”にこだわらない、”ごきげんであること”を大切にする彼女の部屋は、ほどよく整頓されていて、乙女心をぐっと掴まれる「可愛い!」で満たされています。
居心地のいい視界を作る、
インドア派ならではのリビングスタイル
家の中で一番気に入っている部屋はどこでしょうか?
リビングです。ソファで本を読んだり、映画を観たりするのが至福の時間で、休日は遊びの誘いがないとずっと家にいる生粋のインドア派です(笑)。だからファッションと同じくらい、家のことにも興味があります。
居心地のいいリビングを作るために工夫していることを教えてください。
ものはできるだけ暮らす部屋に合わせて手放すようにしています。特に家具は思い切りが大切ですね。ラグでごろごろすることも多いので、すぐに移動ができるトランク型のバスケットをローテーブル代わりに使用しています。飲み物と本とリモコンが置けるくらいのちょうどいいサイズ感です。
あとは、好きなものしか視界に入らないようにするのも、居心地のいい部屋作りの工夫かもしれません。パッケージの主張が強いものや好みのデザインでないものは極力目に触れないように、箱や引き出しにしまっています。
ものの量は多いですが、部屋はすっきりとした印象がありますね。
見えない収納を心がけたり、きれいに見える置き方を考えることでものが多くても部屋に圧迫感が出ないように工夫しています。好きなものはたくさんあるけれど、人の温度を感じるものや、思い入れのあるものが身の回りにありますね。素敵なものは仕事でたくさん見ることができるので、私が所有していなくても世の中のどこかにあればいいかなという気持ちになることもあります。
趣味は本棚の整理。
積むのもOKな”ほどよいズボラ感”
仕事柄、たくさんの本がありますね。本棚はどのようなものを使っていますか?
本棚は大学生の頃から20年以上愛用している〈東急ハンズ〉で購入したものです。もともと縦仕様だった棚は横に寝かせて、正方形に仕切られていた板はいくつか取り外すことで使いやすくアレンジしています。とっても分厚い板を使っているから、大量の本を乗せても全く弛まないのでお気に入りです。でも結構大きさがあるため、以前、引越しの際にはわざわざ窓から吊って搬入したこともありました。
本の収納にマイルールはありますか?
部屋の空気を入れ替えるのと同じように、本棚まわりの空間が淀まないように本棚の整理は頻繁にしています。本の整理がとても好きで、もはや趣味のひとつ。本棚全体を眺めながら読み返したりしていると、知らぬ間に時間が過ぎています。何ヶ月、何年か経つと心に響く本が変わってくることも。自分自身の内面が変化したことを確かめる意味でも、本棚の整理は日頃から欠かせません。
本棚に入れる本、外に積んである本、仕分け方にルールはありますか?
本棚の中には頻繁に取り出したい本をしまって、未読本と読みかけの本は棚の上に、いつか手放す本は別の部屋に仕分けています。その他にはあえてルールは厳しく設けずに本は積み重ねておくだけでもまとまっていればよしとしています。
本棚周辺は家のなかでも一番生活感がにじみ出ていますね。
本以外にも届いた手紙を保管するカゴがあったり、好きなオブジェを飾ったり。混沌とした本棚まわりは特に私らしさが表れているかもしれません。がんばりすぎず、ストイックすぎない。ほどよいゆるさと、ズボラさ。自分と同居人が不快だと思わなければ完璧ではなくても許そう。そんな大らかな気持ちで部屋も暮らしも楽しもうと思っています。
シンプルな色味と素材感で統一。
片付け下手でもすっきり整う”ざっくり収納”
洗面所まわりはものが特に多くなりがちですが、とてもすっきりとした印象です。
洗濯機上にある備え付けの棚の下にネットで購入したハンギングバスケットを吊るしています。同じカゴを複数つなげて使うことができて便利です。タオルやドライヤーなど静かな色味で統一することで、圧迫感なく清潔感を大事にしています。
家で使う収納道具にこだわりはありますか?
収納道具は部屋に合わせて常にアップデートしています。今、うちで活躍しているのは、〈無印良品〉のステンレスカゴやクリアボックス、バンカーズボックス、ハンドメイドの木のカゴなど、できるだけ空間を圧迫しない、素材感のあるシンプルなものを選んでいます。
収納に関する自分なりのルールはありますか?
私は細かく機能的な収納はできないので、ある程度の”雑さ”を大事にしています。どのボックスになにを入れるか、ざっくりとした仕分けのルールは守りつつ、ボックス内の整頓にはこだわりすぎない。片付けは苦手だから、あったものはあったところにすぐ戻すことも心がけています。自分たちの家だからこそ、一番自分たちが無理なく暮らしやすい方法で整えるようにしたいです。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai