INTERVIEW

抽象的な家具が光る、余白×彩りの住まい
【春日彩衣子さんのコンパクトライフ 前編】

築50年超・70㎡のヴィンテージマンションに暮らして2年半になる、雑誌編集者の春日彩衣子さん。1LDKの間取りは南北で分けられ、白壁と塩ビタイルで構成されたクールなLDKと、素材の温もりを感じられる寝室がゆるやかにつながっています。前編では、物件を選んだ理由や間取りの工夫、家具選びの視点について伺いました。

南北で切り替わる間取り

今の物件に決めた理由を教えてください。

リビングスペースが広く、フルリノベーション可能な予算感だったことが大きな決め手でした。部屋数を抑えて空間をできる限り広くとっているので、開放感があり、光がよく入って気持ちがいいので、日々この家にしてよかったなと思っています。

南側のLDKはどんな空間を目指しましたか?

LDKは白い壁とグレーの床、そして蛍光灯を取り入れた、ホワイトキューブのような空間に仕上げました。内装は憧れのギャラリーから着想を得たもので、家具やモノを“飾る”ように配置することを心がけています。

北側の寝室や洗面スペースはどのように仕上げましたか?

南側の無機質なLDKとは対照的に、北側は温かみのある空間に。ロールカーペットを敷き、ウッド系の家具を多めに選びました。カーペットは麻のような風合いなのに手頃な価格の〈東リ〉の『マスターフル』で、とても気に入っています。

“変”は最高の褒め言葉

インテリアはどのようなものが好きですか?

抽象的でオブジェライクなものに惹かれます。例えば、〈CIBONE〉で見つけた〈FEST Amsterdam〉のミラーテーブルや〈Artek〉のロープチェア、〈Arflex〉のソファ「MARENCO」もそのひとつ。流行りものや名作家具も好きですが、私たち夫妻は少し斜に構えるところがあって(笑)。「なにこれ!ヘンテコ!」と思ってしまうような、ちょっとユニークなものにも惹かれる傾向があります。

〈MARENCO〉のソファは、春日さん宅のシンボル的存在ですよね。

この家に引っ越すと決めて、最初に購入したのがこのソファでした。ベイマックスのような愛嬌のあるフォルムと、白い空間に白いソファという潔さが気に入っています。

最初は「汚したらどうしよう」と不安で、正直、座るのを躊躇していたんです。でも、MARENCOを長年愛用しているという方に「年々体に合ってきて、本当に座り心地がいいよ」と聞いてからは、“育てる”つもりでガシガシ使っています(笑)。

ちなみにオットマンは、ソファが届いた3日後に〈TOKYO RECYCLE imption〉で新古品が半額になっているのを偶然見つけて、思わず衝動買いしたもの。ソファの背面には、お気に入りの〈LEMAIRE〉のラップスカートにもなるブランケットをアクセントにかけています。

かわいいだけじゃない、
奥行きのある空間づくり

春日さん宅はカラフルでありながら、ポップに傾倒しすぎない絶妙なバランスが素敵です。どのようなことを意識して空間づくりをしていますか?

最初はクリーンな空間に、色のある抽象的なアイテムだけを置いていましたが、それだけだと軽くてポップな印象になってしまって…。少しずつヴィンテージやクラフト、ウッド系の家具を取り入れて空間に深みや落ち着きをプラスしていきました。“かわいい”だけではない、“強さ”のある空間を目指しています。

また、部屋の白いベースの比率をたっぷり確保することで、カラフルなアイテムが多くなっても空間がごちゃつかず、アクセントとして程よく映えるようにしています。さらに、アイテム間の配色がリンクするようにバランスにも気をつけています。

ダイニングセットは、かわいさとクラフト感のバランスが見事ですね。

このエドヴィン・ヘルセットがデザインしたダイニングテーブルは、ぽってりとした温かみのあるフォルムが好みです。もともとスキーリゾートで使われていたもので、天板を伸ばせば8人ほど座れます。抽象的な色物家具と同じ空間にあっても受け入れてくれる、懐の深い家具です。

ダイニングチェアには、〈KOYORI〉の「Musubi Armchair」を合わせています。ブルレック兄弟のデザインによるモダンなビジュアルと、確かな技術を兼ね揃えたチェア。単体で見るとホワイトオークも素敵でしたが、空間全体で考えるとブラックが締まると思って選びました。この椅子はリビングのポップな要素と、ダイニングのクラフト感を上手につないでくれている存在だと思います。

好きなインテリアショップを教えてください。

池尻大橋の〈LICHT gallery〉や目黒の〈FILM〉、表参道に行ったら〈NICK WHITE〉にもよく立ち寄ります。

引っ越しを機に一気に家具を揃えたのですが、やっぱり“インテリアは足で稼ぐもの”だと実感しました。〈Midgard〉のフロアライト「Ayno」もダイニングテーブルも、すべて偶然お店で出会って一目惚れしたもの。実際にお店に行くと、そのお店のディスプレイに影響を受けたり、オンラインの買い物とはまた違った気づきがありますね。

抽象的で少しクセのある家具やヴィンテージの存在感が重なることで、かわいいだけでなく、“強さ”のある空間づくりが見事だった春日彩衣子さんの住まい。後編では、ギャラリーのように楽しむ住まいの一角や、好きな道具と過ごす日常の風景についてご紹介します。ぜひお楽しみに!

好きが息づく、余白のある暮らし【春日彩衣子さんのコンパクトライフ 後編】

※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。

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