
デンマークの暮らしに学ぶ、ほのかな灯りとアートに包まれる住まい
【sakiさんのコンパクトライフ 前編】
グラフィックデザイナーのsakiさんが暮らすのは、築35年・70㎡のマンション。パートナーの出身地であるデンマークの暮らしに影響を受けた住まいには、暮らしを豊かにしてくれるヒントが散りばめられています。前編では、引っ越しの経緯や家づくりのテーマ、暮らしの軸になっている照明とアートの取り入れ方をひもときます。
デンマークの暮らしの価値観を、
家づくりの参考に
今の家に引っ越した経緯を教えてください。
以前は40㎡・1LDKに暮らしていましたが、コロナ禍で在宅ワークが中心となり、ひとりはリビング、ひとりはベッドの上で会議をする、そんな窮屈な状況に限界を感じ、仕事部屋も持てる2LDKの住まいを探しました。さらに夫は朝型、私は夜型で、生活リズムが異なるため、寝室とリビングが分かれているかどうかも選ぶポイントでした。


今の家では憧れていた無垢の床も叶い、リビングにゆとりがあるので友人を気軽に招けるようになったのも、うれしい変化です。

家づくりのテーマを教えてください。
デンマーク出身の夫が居心地よく過ごせる空間にすることです。冬は夜が長く寒いデンマークでは、家で過ごす時間が必然的に長くなり、家の快適さが生活の質を大きく左右します。
特に重視するのが「リビング」。家族や友人が集う場所だからこそ、リビングの居心地が良くなければ「マイホーム」とは呼べない。それくらい、みんな大切にしています。

これまで特に印象に残っているお家はありますか?
デンマークにある義兄の家です。結婚前、初めて訪れたとき、暗めの灯りやアンティーク家具、アートに囲まれた居心地の良さに衝撃を受けました。『こんな落ち着く家に住みたい』と思ったことが、我が家の家づくりの大きなきっかけになりましたね。
夜はやさしい灯りに包まれて
明かりの工夫について教えてください。
デンマークでは、ろうそくや間接照明を使うのが一般的。夜はとても暗いけれど、その暗さが落ち着きをくれます。我が家もシーリングライトは使わず、ペンダントライトをいくつかつけて過ごしています。

リビングのアクセントにもなっている紙製のライトはどこのものですか?
デンマークで購入した〈Normann Copenhagen〉のものと、ネットで見つけたノーブランド品を組み合わせて飾っています。コペンハーゲンのショールームで、いくつか重ねて吊るしている様子がかわいくて、我が家でも複数使いにしました。Normann Copenhagenの和紙ライトは、海外製のわりに小ぶりで日本の部屋とも相性が良いです。和紙のように柔らかい光で、部屋全体をふんわり包んでくれます。

キャンドルもたくさんありますね。
そうですね。毎日暗くなったら灯して、寝る前に消すのが日課です。電気をつけることに比べると、火を灯す行為は少し手間がかかりますが、キャンドルを灯すと『生活しているな』という気分になれるというか。居心地のいい空間を作るために手間を惜しまないことも、デンマークにいる家族の暮らしから学んだことです。

アートを楽しみながら、
テレビを“なじませる”テクニック
アートはどのように選んでいますか?
強い主張のあるものより、いくつか組み合わせて空間を形づくれるものを選んでいます。デンマークの蚤の市で見つけた作品や、〈The Poster Club〉、〈Fine Little Day〉のポスター、日本で購入したものなど、来歴は様々です。
アートを飾るとき、意識していることはありますか?
大きな作品は目線の高さに置いて部屋を広く見せたり、大きめのアートをジグザグに配置して視線にリズムをつけたりしています。また、額の質感や色はあえて統一せず、リネンのパネルやオーバルのミラーなど異素材をミックス。黒を含むアートを適度に織り交ぜることで、テレビの黒が浮かず、存在感をやわらげてくれます。

デンマークの暮らしの価値観を取り入れた、sakiさんのコンパクトライフ。後編では、大規模なDIYテクニックやすっきりと整える収納のこだわり、デンマークで出会った宝物についてなど、詳しくご紹介します。ぜひお楽しみに!
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai