お気に入りの家具と、
リビングの思い出
自宅の中で特にお気に入りの場所を教えてください。
リビングに置いている、〈リーン・ロゼ〉のトーゴのソファです。カスタムできる生地はちょっと奮発して、上質なランクのものを選びました。触り心地がとても良く、座り心地も抜群で、空間を一気におしゃれにしてくれる。さすが名作ソファだなと思います。さらに、とても軽いので『今日はこっちを眺めたい』と気分で向きを変えたり、模様替えが気軽にできるのもうれしいポイント。このソファでは仲間と仕事の話をしたり、恋バナをしたり、たくさんの思い出が詰まっています。
ソファと合わせて使っているサイドテーブルについて教えてください。
ソファの周りには2つのサイドテーブルを置いています。背の高い小さなテーブルは、僕がディレクションしているブランド〈roomsickgoods〉のアイテム。家に帰ってきたら、まずここにアクセサリーを置いてくつろぎます。
もうひとつのローテーブルは、もともとテーブルラックとして使っていた家具を倒して土台にし、その上にもともと木の土台とセットだったローテーブルのガラス天板だけを乗せて使っています。現在の家では木の雰囲気があまり馴染まなかったため、分解して組み合わせてみました。
家具を選ぶ基準を教えてください。
白が基調の部屋なので、そこに馴染んでくれるかどうかが判断基準です。家具は部屋の印象を大きく左右するものなので、白やシルバー、ブラックなど、色味をある程度絞って選んでいます。
また、定期的に模様替えをするので、移動がしやすい家具も多いと思います。冬になったら寝室を別の部屋に移したり、ベランダに置いている椅子を室内で使うなど、飽きないように構想中。これ以上家具を増やしてしまうとごちゃごちゃしそうなので、今あるもので試行錯誤しようと考えています。
家づくりのインスピレーションはどこから得ていますか?
PinterestやInstagramで好みの部屋をたくさん見て、自宅のインテリアの参考にしています。あとは、ふらっと入ったインテリアショップで、この組み合わせいいなと気づきを得ることも。表参道の〈CIBONE〉は好きでよく行きます。
日常にクスッと笑顔を。
なければ自分で作ればいい!
あべさん宅にはかわいい小物もたくさんありますよね。インテリアはどんなものが好きですか?
スタイリッシュで、少しクセのあるものに魅かれます。例えば、窓際で使っているブックスタンドは〈楽天〉で偶然見つけたものですが、人ががんばって支えている姿がなんともかわいいですよね。
ご自身でデザインされたグッズもたくさん愛用されていますね!
オリジナルグッズは『こんなのあったらいいな』という純粋な気持ちから製作することが多いです。洋服や財布、バッグ、メガネなどのファッションアイテムのほか、ミニテーブル、ラグマット、タオル、ポスター、ルームシューズなど、ホームグッズもたくさん製作。何気ない日常の中で、ふと視界に入ったときに和ませてくれたり、クスッと笑えるような、そんなアイテムを作りたいと思っています。
なかでも気に入っているアイテムを教えてください。
〈kaoyorinakami〉のお財布です。経年変化を楽しめる本革を使用し、刻印はイラストをメインにしたのがポイント。コンパクトでかわいいフォルムながら、カード、お札、小銭、すべてしまえて機能性も抜群です。『どこの財布ですか?』とよく聞かれる、自慢のアイテムです。
好きな音楽と、
大切な仲間と最高の休日を
インテリアに興味を持ったきっかけを教えてください。
大学生の頃、自分の部屋で音楽を聴くのが好きで、もっとおしゃれな空間でリラックスしながら聴きたいと思ってから、インテリアに興味を持ち始めました。
愛用しているオーディオ機器について教えてください。
窓際に置いているのは、〈Marshall〉のスピーカー。携帯とつなげて大音量で楽しんでいます。音質がとても良く、このスピーカーを迎えてから、暮らしが一段と豊かになりました。
あと、レコードプレイヤーは〈BEAMS RECORDS〉で購入した、〈House of Marley〉のものを愛用しています。House of Marley は、ボブ・マーリーの普遍的な愛や音楽、自然に対するリスペクトを、マーリーファミリーが具象化したブランドです。
お家での休日はどのように過ごしていますか?
友達を招いて過ごすことが多いです。みんなで食事をしたり、お酒を飲んだりしながら、アーティストのライブ映像を観たり、最近はカードゲームにもハマっています。
人を招くようになってから、ご自身の暮らしにどんな変化がありましたか?
もともと面倒くさがりな性格ですが、友だちを招くようになってからは『綺麗にしなきゃ』という気持ちが自然と生まれて、部屋の快適度がぐんと上がったと思います(笑)。また、『友達が来るならなにか作ろうかな』と、これまであまり興味がなかった料理にも挑戦するようになりました。
〈kaoyorinakami〉でデザインしたスリッパも、人が遊びにくる我が家だからこそ生まれたアイテムです。ゆっくりくつろいでほしいという思いを込めて、フカフカで気持ちのいい生地を選んで、とことん履き心地にこだわりました。履く前に見える中底には『WELCOME!』のタグを、側面には『Hayonenight(早よ寝ないと)』と刺繍をして、ちょっとクスッとできる要素をプラス。僕なりのおもてなしの気持ちが詰まったアイテムです。
洋服のデザインを考えたり、イラストを描いたり、ブランドの撮影をしたり、多忙を極める毎日でも、ユーモアや遊び心を忘れずに、真摯に暮らしを楽しむ姿が印象的だった、あべじゅんやさん。好きなものに囲まれた住まいをとことん追求し、仲間との時間を大切にするその温かい姿勢が、彼のインスピレーションに満ちたデザイナー人生を支えていました。
前編では、この物件を選んだ理由や家づくりのテーマ、生活感なくすっきり暮らす収納アイデアについてなど、詳しくご紹介しています。ぜひ前後編合わせて、お楽しみください!
絶景が導いた、
新しい生活
今の物件に決めた理由、部屋探しで重視したことを教えてください。
窓が大きく景色の良い部屋に住んでみたいと角部屋を探していて、たどり着いたのがこの物件でした。以前はデザイナーズマンションに住んでいて、その内装は引き継ぎたかったので、壁の一部にコンクリート調のシールを貼ったり、床にはアイボリー色のタイルカーペットを敷くなどして、理想の内装に近づけました。
今の家に引っ越してよかったことは何ですか?
外をぼんやり眺めながら考え事をする時間が増えました。時間帯によって刻々と変わる景色は見ていて飽きないですし、外の景色を見るたび自然とやる気が出ます。この家に引っ越してから、一人でまったりする時間も好きになり、ありがたいことに友だちも遊びに来てくれることが増えて、家時間がどんどん充実しています。
部屋のベースはクリーンな白!
衣食住を詰め込んだ、9.5畳の賑やかなリビング
自宅づくりのテーマを教えてください。
白を基調とした部屋づくりです。昔から白の洗練されたイメージや、空間を広く見せてくれるところが好きなんです。また、白は汚れが目立つので、自然と丁寧な暮らしを心がけようと思えるのも良いポイント。ただ、白で統一するだけだと味気ないので、ポイントになるカラーを取り入れてファッションのように部屋づくりを楽しんでいます。コンパクトな家ですが、好きなものに囲まれて暮らすことは諦めたくなくて。ものが多くてもおしゃれに見える家を目指しています。
リビングダイニング寝室、すべての機能が9.5畳の部屋に集約されていますね。
我が家は1LDKでもうひとつ4.5畳の部屋があるのですが、エアコンがなく…。この夏はリビングダイニングに寝室もギュッと凝縮させて暮らしています。ベッドエリアとリビングダイニングエリアは、〈USM〉のラックを仕切り代わりに、ゆるやかにゾーニングしています。
ベッドのふとんカバーや、黄色いポスターが空間の良い差し色になっていますね。
ベッドカバーはリバーシブル。気分や季節によって2色使い分けられる、機能的なデザインが気に入っています。〈ラグモア〉というショップで購入しました。
ポスターは自分で作ったもので、〈roomsickgoods〉というブランドで販売しています。“home sick”という言葉よりもポジティブなイメージで、“部屋が恋しくなる”アイテムを展開しています。
収納も工夫次第でおしゃれに
収納について、心がけていることを教えてください。
生活感が出るものは扉付きの収納アイテムでとことん隠して、表に出ているものはディスプレイ感覚で美しく見せることを心がけています。我が家は備え付けの収納が少ないので、収納家具はマスト。“見た目はおしゃれでも、実は収納家具”、そんなデザイン性の高いものを選ぶようにしています。
洋服収納はどんな工夫をしていますか?
備え付けのクローゼットが非常に小さいので、〈DULTON〉のランドリーカートを追加で購入しました。ラック部分には軽めのアウター、下のバスケットにはTシャツをしまっています。
隣に置いているマシーンは、自宅でクリーニングができる〈LG Styler〉。シワを伸ばしてくれたり、防臭・除菌もできるなど多機能でとても便利なんです。オフシーズンの服はこれでクリーニングしてから、マンションの共有部にある個別ロッカーにしまうようにしています。
リビングの収納アイテムでおすすめを教えてください。
〈roomsickgoods〉のマルチチェストです。収納もできて、かつサイドテーブルとしても使える優れもの。僕はリモコンや延長コード、トランプなど、細々したものを収納しています。
生活感を抑えることで、生活のしにくさは感じますか?
慣れてくると感じません。ひとつひとつの所作が丁寧になり、きちんと暮らそうと思えるはず。自分は面倒くさがりな性格ですが、この部屋には綺麗にしなきゃという強制力があります(笑)。
いつも絶景がそばにある、あべじゅんやさんのコンパクトライフ。後編では、お気に入りの家具や好みのインテリア、自身で手がけたグッズの話、日々のおうち時間についてなど、詳しく伺います。ぜひお楽しみに!