簡易DIYと身近なもので工夫する、
ものに満たされた夫婦の住まい(後編)

簡易DIYで使いやすく整えた、
秘密基地みたいに落ち着くキッチン

コンパクトな物件ながら、キッチンスペースは広めですね。

ホームパーティを開くこともよくあるので、みんなで楽しく料理ができるようにキッチンは広めにしています。料理は私の趣味のひとつ。キッチンは一日のなかで一番長くいる場所です。

料理は毎日のようにしますか?

料理はほぼ毎日します。土日は特に夫婦揃ってお休みのことが多いので、家でゆっくりと食事をすることが多いです。また、今は家で仕事をすることがほとんどなので気分転換にも料理はぴったり。特に、忙しいときこそ自炊は心がけています。コンビニ弁当など出来合いのものだけだと気持ちがより荒んでしまうので、お味噌汁だけは作るとか。それだけでも気持ちがほっと満たされます。

キッチンカウンターは備え付けではなく、あとから設えたものですか?

そうです。使っていくうちにカウンターが欲しいと思い、旦那さんにDIYで作ってもらいました。ひとり暮らしの頃から使っている大きなステンレスの棚のまわりを、リビングのDJブースを作ったときの余り板でただ囲っただけの簡易カウンターです。小さめの物件だと、なかなかキッチンは使い勝手がよくないことが多いですが、賃貸物件でもあとから様々な工夫ができます。

キッチンの収納も備え付け以外の場所を多く作っていますね。

キッチンの奥にある大きな2つの木の棚は〈IKEA〉のものです。収納するものに合わせて仕切りの板を取り外せるのは便利で、冷蔵庫を収めるために外した仕切りの板は、リビング側の棚の目隠し代わりに活用しています。また、大きな2つの木の棚上に一枚の板をわたすことで上は鍋置き場に早変わり。それによって生まれた秘密基地のような空間もとても落ち着きます。

キッチンにはたくさんのビンが収納されていますね。

ビンは私の暮らしのマストアイテムです。調味料などが入っていた可愛い空きビンはラベルを剥がし取っておき、花瓶にしたり、パッケージの主張が強いスパイスや乾物を入れ替えたりして活用しています。特に好きなのは友人が営んでいるピクルス屋さん〈ツクルジョ〉の6角形ビンがお気に入り。可愛い形と大きさで使い勝手抜群です。

ものは多くてもきちんと整頓!
すべてをまんべんなく使う収納術

洋服のみならず、靴やアクセサリーもたくさんお持ちですよね。ファッションアイテムの収納方法について教えてください。

アクセサリーは先輩から譲り受けた憧れの名作、ボビーワゴンに収納しています。本体を回転させることでワゴンの4面すべてが使える機能的なデザインで省スペース化が叶う、我が家にはぴったりの収納グッズです。トレイのなかのアクセサリーは選びやすいようにひとつひとつ全部が見えるようにして並べています。ここで活躍するのが“空きビンの蓋”。どうしても余りがちでどうにか活用したいなと思っていたところ、これが意外といいサイズでした。
あと、靴の収納場所は廊下に大きな棚を設えました。これも壁に穴を開けずにDIYで作ったもの。靴はひとつひとつ買ったときの箱に入れて保管。たくさん積めるし、パッケージでどこになにが入っているのかもわかって、ほこりもかぶりません。また、箱には買ったときの思い出が染み付いているので、大切に履こうとも思えます。

ものが多いならではの収納について、工夫していることがあれば教えてください。

ものが多いとどこに何があるのかすぐわからなくなってしまって、探すのに時間がかかるとストレスにもなりますよね。だからものは、使いやすいように日々置く配置を見直し、使ったらもとあった場所にきちんと戻す。そして、よく使うものに関しては思い切ってしまわないこともポイントですね。うちではよく花を生けることが多いから、花瓶はいつもすぐに使える場所にディスプレイ。ごちゃごちゃと見えないように、ものはどうせなら可愛く置くようにと日々心がけています。

収納グッズについて、郡司さん宅の定番はありますか?

バンカーズボックスと〈AY kasa〉の折り畳みボックスはよく使います。ものが多い分、あんまりごちゃごちゃしないようにできるだけシンプルなデザインで、ものは日々増えていくからいつもすぐに買い足すことができる収納グッズを選んでいます。

郡司さんにとって家は、“チャージできる場所”。衣食住を整えてリラックスすることで仕事をがんばる活力になり、部屋を大好きな空間にすることでそこには大好きな人たちが集まり、自然と笑顔とエネルギーが連鎖します。出会いにまかせて家に招くたくさんの思い出の品々とともに、毎日を大切に生きる彼女の部屋にはたくさんの愛が溢れていました。

趣味に没頭できる穏やかな時間は、
好きなものが集う日当たりのいいリビングで

リビングは全体的に甘くなりすぎない、ユニセックスな雰囲気ですね。

夫婦2人とも居心地よくいられるようにマニッシュだけど、温かみのある雰囲気を目指しています。ものが多いので、シルバーやグレー、白をベースにすっきりとさせて、木の質感で温かみのある色を挿しています。

かっこいいDJブースも印象的です。

音楽は夫の趣味で、DJブースは板を買ってきてDIYで作っていました。レコードもざっと3000枚以上はあります。夫がレコードをいじっているときは、私はキッチンで料理をしたり、お互いの趣味を楽しみながら空間を共にする、そんな穏やかな時間を大切にしています。

ご夫婦2人の共通の趣味はありますか?

この物件は日当たりがよかったので、引っ越してきてからお互い植物を育てる趣味ができました。夫婦2人でお世話をしていて私たちの子どもみたいな存在です。元気がないときは夫と一緒にどうすればいいか本やネットで調べたり、「大きくなったね」と話をしながら、大切に育てています。

リビングはたくさんのものに囲まれた賑やかな空間ですね。

自分の視界に入るところすべてが好きなもので満たされているととても幸せで、ありとあらゆる隙間をついつい埋めたくなってしまいます(笑)。リビングでは主に植物やアート、オブジェ、思い出のものなどを飾っています。ものが多い分、本当に今必要なものなのか見極めるためにも、家の中のディスプレイはちょこちょこ変更。普段から使い勝手がいいように配置を考え直すのも、結構楽しかったりもしますよ。

もの選びについて、普段から心がけていることを教えてください。

欲しいものはたくさんありますが、自分が手の届く範囲で背伸びをしないもの選びをすることは意識しています。ただそれはその場しのぎで安い量産品を買うのではなく、自分が好きなものをきちんと選んでいます。よく買うのは、〈steef〉という祐天寺の古着屋さんのセレクト雑貨や、革ブランド〈irose〉のもの。そのほかにも、リサイクルショップやヴィンテージ店で買い物をすることも多いです。
また、最近ではいいものを少しずつ集めたいと、様々なブランドの名作たちを揃え始めました。例えば毎日何度も目にするリビングの時計は、デンマークの〈ARNE JACOBSEN〉のものを。クラシカルで飽きのこないデザインで、その機能美に惚れ惚れします。あと、家で仕事をすることが多いので、仕事場の一脚の椅子はハンス・J・ウェグナーの代表作Yチェアにしました。やっぱり仕事をしていても気分が上がります。

光が差し込み、自然物にパワーをもらう、
一日をよいものとするための癒しの寝室

寝室は白が基調のすっきりとした空間で、リビングとはまた違った雰囲気ですね。

寝る場所だから落ち着けるように極力ものは置きません。また、部屋で香りを使い分けることも暮らしにメリハリをつけるポイント。寝室では安眠のために〈Aesop〉のシトラス系のルームスプレーを使い、目覚めにセージを焚いています。

カーテンが一部分だけ短く設計されているのはなぜですか?

窓辺に優しい朝日が差し込むようにするためです。カーテンは一枚の布の上部に糸を通して吊るしているだけの簡単なもの。窓際は好きなものを置いて楽しめるお気に入りの場所で、植物や海で見つけた石や貝殻を飾っています。自然物って本当に美しくて、普段洋服を作る上でもとてもいい影響を与えてくれるんです。

壁にはいろんなものを飾っていますね。

壁に張ることで、日頃から大切な思い出を振り返ることができるんです。私たち夫婦の写真や友だちがくれたポストカード、海外へ行ったときに買った絵、思い出のライブの入場シールまで。思い入れがあるものはなんでも捨てられない性分です。

ご夫婦揃ってアパレル関係のお仕事だと洋服の量は特に多いですよね。洋服の収納について工夫していることがあれば教えてください。

衣替えを頻繁にしながら、着る服と着ない服の整理をしています。シャツやコートはクローゼットに掛けて、パンツやニット、その他のものはとにかく畳んで収納しています。

寝室にはアイロン台が常時セッティングされていますね。

毎朝、その日着る服はアイロンをかけて着るのが日課です。Tシャツもスウェットもニットも、どんな服でもすべてかけます。畳みジワは気にならないし、なにより着心地が最高で一日を気持ちよく始めることができます。

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