DEPT Company代表・eriさんと考えるサスティナブルな暮らし(後編)

『プラフリー』&『ローウェイスト』を取り入れて、
暮らしをおしゃれに心地良く

eriさんが心地いい暮らしを営む上で大切にしている、できるだけ捨てないこと(ローウェイスト)や、プラスチックを使わないこと(プラフリー)について、実践している身近なアイディアを教えてください。

生ゴミはキエーロで土に還す

家庭から出るゴミの約40%が生ゴミ。生ゴミのような湿った水気の多いゴミは、ゴミ処理場で燃焼するのに時間もエネルギーもかかってしまいます。

そこで、どれだけ水気がない状態でゴミを処理するかがキーになります。私は生ゴミはバットである程度水気を切ってそのまま乾かしたり、新聞紙で作った箱や紙製の水切り袋で水気を飛ばしたりしてからゴミとして捨てています。堆肥ができないタイプのコンポスト〈キエーロ〉を使って生ゴミを処理するのも我が家の定番。土の量が一定に保たれるもので、堆肥を必要としていない私にとってはぴったりのコンポストです。匂いもないし、虫もわかないのでマンション暮らしの人にはとってもおすすめ。長野の〈ReBuilding Center JAPAN〉と〈DEPT〉でコラボした廃材を利用して製作したオリジナルキエーロがもうすぐ発売されるのですが、そこでは通常のレギュラーサイズに加え一人暮らしや二人暮らし向けの小さめサイズもあるのでぜひチェックしてみてほしいです!

新聞紙や包装紙は再利用

いつも農家さんに直送で注文している野菜の包み紙(新聞紙)や、ネットショッピングをした際に緩衝材として使われていた紙類は、何度も使うことでゴミをなるべく出さないことを意識。お花を買いにいくときに持っていって包んでもらったり、箱型に折って生ゴミ入れにしたり、シンクに流したくない油汚れなどを拭き取ったり、猫の掃除に使ったり。いろんな用途で使えます。新聞紙や紙も大切な資源ですよね。

フローリングワイパーのシートは繰り返し使える布製に

たくさんの人が使っているフローリングワイパーの使い捨てシート。あれはポリエステル、つまり石油原料を主成分に作られているものが一般的です。自分一人が使い捨てているだけではなく、世界中の人が同じように毎日使い捨てている……。そう考えるとゾッとしますよね。

そこで私はフローリングワイパーに繰り返し使える布モップをつけて掃除しています。ゴミも減って、買い置きを心配することもなく、結果的にたくさんのストレスが解消! 掃除後、ほこりがついたモップの部分は、掃除機でゴミを吸って、10回くらい使ったらお風呂のお湯で洗っています。

洗剤類は万能なホタテパウダーで

私の暮らしに大きな変革をもたらしてくれたのが、この〈618ホタテパウダー〉。ホタテパウダーは環境汚染の原因のひとつにもなっている産業廃棄物であるホタテの殻を原料にしていて、焼成後にパウダー状にしたもの。スプレーボトルにホタテパウダー少しと水道水を入れてシェイクするだけで、リビングやお風呂、トイレ、キッチン、ガラスや鏡など、家中の拭き掃除で使えて、これが衝撃的にきれいになるのです! 重曹との大きな違いは、除菌もできるところ。アロマオイルを垂らして使えば掃除中の気分も◎。

また、ホタテパウダーは衣類の洗濯にも使えます。洗濯やいろんな掃除がすべてひとつでまかなえるので、プラスチックゴミが激減するのはもちろん、家の中も市販のボトルがないだけですっきり美しくなります。さらには薬局にもほとんど行かなくなって、節約にも繋がりました。

使い捨てのラップや保存袋を植物性のラップやシリコンバッグに代える

シリコンバッグはいろんなブランドのものを試してみた結果、〈Stasher〉のものに落ち着きました。密封性がとても高くて、信頼感があります。冷蔵庫の野菜室の収納でもシリコンバッグは大活躍です。

ラップは、古着の生地を再利用した〈DEPT〉オリジナルの蜜蠟ラップを。マツヤニやホホバオイルなど自然素材のワックスで作られたヴィーガン仕様で、密着性もしっかり意識。〈Earth Wrap〉さんに作ってもらいました! 近日一般発売を予定しています。

食器洗いは固形洗剤と天然素材の道具で

食器洗いの洗剤は、〈minimal living tokyo.〉で買ったヴィーガンの固形洗剤がお気に入りです。プラフリーで容器を捨てる手間もなく、ボトルのパッケージがないだけでキッチンがすっきりとした印象に。スポンジでサッとひと撫でするだけでとっても泡立ちます。メガサイズを購入したのですが、半年以上持ちそうでコスパも最高!

また、我が家では洗い道具もセルロース製のスポンジやたわし、天然素材で作られたブラシを使っています。いわゆる一般的なポリエステルのスポンジは、洗うたびに細かなプラスチックが流れ出るため、海水を汚してしまいます。それが魚の体内へ入ったり、塩を作る過程で混入したりすることで、私たちは1週間にクレジットカード1枚分のプラスチックを摂取しているといわれているのです。洗剤も洗う道具も、排水にまできちんと配慮されたものを選ぶことが大切だと思います。

サスティナブルを習慣化させることで、
誰しもが暮らしやすい社会へ

サスティナブルな暮らしを習慣化させるために必要なことはありますか?

友人と話すこと。『手土産を探していてもプラスチック製の容器包装を使っているものって全然ないよね』とか、『計り売りのお店が近くにできたから買ってみた』とか、『オーガニックってよく聞くけれど、そもそもなんでオーガニックを買うべきなんだっけ?』とか。環境問題や政治の問題って、みんなそれぞれ考えていることはあるけれど、なかなか普段の話題になりづらい。でも、本来自分たちの暮らしを良くする上で切っても切り離せない当たり前の話題ですよね。共通言語にならなければ関心度だって上がらないもの。だから、日頃から気軽に話すことが大切だなと思います。

サスティナブルな暮らしを始めて、周りの人のアクションに変化はありましたか?

みんなとても意識してくれるようになりました。例えば、友人を家へ呼んだとき、プラスチック製の容器包装が使われていない手土産をみんなが持ってきてくれるようになって、いろいろ考えた結果、りんごをそのまま1個持ってきてくれる友人もいました。それはとっても嬉しいですね。たとえ、包装にプラスチックが使われていたとしても、罪悪感がある時点で私はとてもいいことだと思います。当たり前だった日常に気づきが生まれるのは、とても大きな一歩。現実は非常に厳しいものだけど、市民の小さな意識が変わることで、企業が変わって、社会が変わっていくはずです。

これから、どんな社会を望みますか?

ビジネスが先行して、消費が加速する今の社会では、安価で大量のものを生産するため、当然自然も人力も搾取され続けています。そして、そんな社会の問題は気候危機をはじめ、ジェンダーや人権問題としても表面化し、多くの人の暮らしを脅かしている。誰しもが、自分だけの幸せを考えるだけでは気持ちよく生きることはできないはずで、今の社会には大きな矛盾が生じていると思うのです。その矛盾をどれだけ取り除けるかが、自分自身の心地よい暮らしを作ることに繋がると思っています。そのためには、市民一人ひとりの意識が変わらなければならない。私はInstagramで日常的に環境や政治の問題を投稿したり、同じ思いを持った仲間と一緒にメディアを配信したりしています。毎日小さなことでも誰かに気づきを届けることで、たくさんの人の暮らしが豊かになってほしいですね。

まずは、普段使っている身近なものの背景を知って、地球と共存できる手段を自分で考えてみる。それは、楽しくて気持ちのいいことだと気づかせてくれたeriさんの暮らし。一人ひとりの小さな暮らしの革命が、誰かや世界を変える大きな一歩になるはずです。

サスティナブルを意識することは、
暮らしをビルドアップすることにつながる

サスティナブルな暮らしを意識し始めたのはいつからですか?

環境問題を強く意識し始めたのは、15年ほど前のこと。アル・ゴアの著書『不都合な真実』を読んだのをきっかけに、環境問題の深刻さがくっきりと可視化されました。それから、自分でできることはないかと考えて、まずはゴミを減らすことから挑戦。それまでは、生ゴミはコンポストを使わずにそのまま捨てていたし、ティッシュやキッチンペーパーも当たり前に使っていましたが、実際に“捨てない生活”を始めてみると実は快適で楽しく暮らせることに気づきました。

サスティナブルを意識し始めることで、暮らしはどのように変化しましたか?

日本ではサスティナブルな暮らしというと、自分の暮らしを我慢するものだと捉えている人が多い印象ですが、いざ実践してみると気持ちのいいことばかり。プラスチック容器に入った洗剤が視界に入らないだけで部屋がすっきりと整うし、生ゴミもコンポストにすることで匂わず、ゴミ出しの回数だって減る。現に欧米ではサスティナブルな暮らしを“自分の暮らしをアップデートして、豊かにしてくれるもの”と捉える人が多いと言います。環境問題について知識を深め、ものが作られる背景を知ることで、『これは地球を破壊してまで私にとって必要なものなのか?』とよく考えるようになるはず。取捨選択して生きていくことは、自分で暮らしをビルドアップしていく(より良いものへと作り上げていく)こと。それは本当に楽しいことです。生きているという実感が強く持てるはずで、暮らしの満足度はグッと上がりますよ!

サスティナブルな暮らしを始める上で、まずは何から始めるべきでしょうか?

“当たり前を見直すこと”ですね。例えば、ティッシュ。ティッシュを作ることは原料となる森林の伐採、製造段階でも大量の水やエネルギーも消費することから大きな環境問題につながります。我が家では使わなくなったリネンの布をざっくりカットした布ティッシュを使用。食事中に口元を拭ったり、ちょっと指先が汚れたときなど、布で拭いた方が気持ちいいし、使用済みの布ティッシュはある程度貯まったら、洗濯ネットに入れてまとめて洗うだけ。家の整理をしていたらポケットティッシュをいくつか見つけたので、洗面所に置いてみたのですが、半年で使ったのは3枚ほど。来客のときにどうしても必要になったときだけでした。試しに辞めてみると、意外といらなかったなと思うものってたくさんあるはずです。

普段使っているものの背景を知ることから、
当たり前を見直してみよう

当たり前を見直す第一歩として意識したい、「買うものの背景を知ること」。eriさんが実践しているアイディアを教えてください!

リサイクル、中古、ヴィンテージなどセカンドハンドから選ぶ

ものを新しく作ることは、必ずCO2が排出されます。つまり、新しいものではなく、すでにあるものを買うことがサスティナブルにつながるのです。例えば、世界で第2位の汚染産業であるアパレル産業。新しい服を作ろうとすると1着あたりCO2排出量25.5kg(ペットボトル255本分)、水の使用量は約2,300ℓ(お風呂11杯分)の環境コストがかかるといわれています。買いたい服は本当にそれに値する価値があるのか、長く着ることができるのか、よく考えてから買うことが大切です。写真の3着の服は、アメリカで自ら買い付けたお気に入りの古着。服は小学生の頃から着続けているものもたくさんあって、服を長く着るのは自分のなかで当たり前の感覚です。服はヴィンテージショップで探してセカンドハンドを購入することが多いですね。あと服だけではなく、家具や家電についてもフリマアプリをチェックしたりもします。

素材にこだわり、素材を知ることを習慣に

新品の服を買うときは、環境負荷ができるだけかからない素材を選んでいます。よく服の素材として用いられているコットンは、農薬と水をたくさん使わなければ育たない植物。コットンを着ることは土壌を汚し、生態系を崩し、様々な環境問題につながってしまうのです。

今日着ているのは、〈DEPT〉のブランド「mother」でデザインした大麻布のブラウス。原料の大麻は、1ヶ月で1メートル育つほど生育も早いので持続的に収穫することができて、その上とても生命力の強い植物だから、栽培時の除草剤や農薬は一切不要。麻や綿に比べても速乾性、強度、抗菌、保温性、どこをとっても優れています。

我が家のカーテンは自作のリネンのもの。市販のものだと合成繊維やコットン素材のものが多く、環境負荷を考えると買えるものがなかったので、スタッフにお願いして作ってもらいました。ただ安いから、可愛いから買うのではなくて、素材を吟味すること。それに加えてブランドのポリシーを読んで共感したものを選ぶことも大切にしています。買う側が意識しなければ、企業側の意識が変わることもありません。自分たちが本当の意味でどんなものを必要としているか、「買い物」という態度として示すことは必要だなと思います。

スキンケアアイテムも容器や成分をチェック

コスメはリサイクル素材のものを選ぼうとすると、買えるものがわずかしかなくて……。自然と使う数が減って、シンプルケアに。でも、そのおかげで肌の調子が驚くほど良くなりました! 最近のお気に入りは、〈soular organics〉の日焼け止め。人間だけでなく他の生物にも無害な植物性の成分でできていて、肌につけて海に入ってもサンゴに悪影響を与えることもありません。ツヤッときれいに仕上がるので、私はファンデーションなしで使っています。伸びもいいので、使う量が少なくて済むのも嬉しいポイント。SPFはしっかり50+あります。容器はそのままコンポストできちゃいますよ。

サスティナブルを意識して、買うものの背景を見直すことで暮らしはより良くできることを学べた前編。後編でも引き続き、eriさんが実践している身近なエコアイディアとともに、サスティナブルライフの魅力をお届けします。どうぞ、お楽しみに。

Internet Explorerでの閲覧は非対応となっております。

お手数ですが、
Microsoft EdgeGoogle ChromeFirefoxなど
他のブラウザにてご利用ください。