マイブームとともに、流れに身を任せて暮らす
【福本沙耶さんのコンパクトライフ 後編】

ストーリーとともに選ぶ、お気に入りの家具

特に思い入れのある家具を教えてください。

ハンス・J・ウェグナーのデイベッドです。夫の友人であり、私の先輩でもある方から譲り受けたもので、前の家からずっと使っています。我が家のインテリアの主役ですね。

合わせて使っているヴィンテージの〈Cassina〉のローテーブルは、夫が特に気に入っている家具。建築家でありデザイナーのガエ・アウレンティによるもので、「CON RUOTE(車輪付き)」という名の通り、キャスターがデザインの一部になっています。ガラス板がとても重く、搬入時はかなり大変でした。

家具を選ぶときの基準はありますか?

一つひとつの家具のストーリーを大切にしています。そのため、デザイナーズ家具は現行品よりも当時の作り手の想いがそのまま反映されている当時のモデルを中古品で探して購入することが多いです。

家具は手放すこともありますか?

けっこう手放します。引っ越すタイミング以外でも「この家具変えたいな」と思ったら、「ほしい人いますか?」とInstagramで呼びかけます。

ダイニングテーブルはこれまで5回ほど買い替えています。今愛用しているのは、建築家デヴィッド・チッパーフィールドがデザインした〈Cassina〉のエアフレームシリーズ。90cm角のスクエア型で、ちょうどいいサイズ感です。

日々を映す服、今の気分で選ぶスタイル

日々の暮らしの中で特に好きな時間はありますか?

服を選んでコーディネートを考える時間です。毎日大きな鏡で記録用に撮影しています。「去年の冬はどんな格好していたかな」と振り返ったり、できるだけかぶらないように確認したり。冬は重ね着できる楽しい季節です!

洋服、かなりの量がありますね。どんな収納道具を使っていますか?

Tシャツやスウェットを収納しているスチールラックは、業務用の〈METALSISTEM〉のもの。ほしいサイズに合わせてオーダーできる、我が家には欠かせない収納アイテムです。オープン棚にすることで、どんな服を持っているかすぐ把握できるのも便利です。

我が家には工業用の収納や什器が多く、デザインがシンプルで容量があり、ガツガツ使える点が気に入っています。

つい集めてしまうファッションアイテムはありますか?

メガネは昔から好きで、100本以上持っています。一番多いのは〈Ayame〉のもの。他にも〈Chrome Hearts〉や、エイサップ・ロッキーが〈Ray-Ban〉のクリエイティブディレクターをしたサングラスなどもお気に入りです。

メガネもインテリアと同じように、そのときのマイブームで手放すこともあって、家に遊びにきた友人に譲ることもよくあります。

好きなお酒と好きな人と、くつろぐ家時間

家での過ごし方を教えてください。

外に出かけないときは、お家でお酒を飲むこともあります。部屋の一角にはテキーラのショットグラスコーナーを設けていて、最近はウイスキーのボトルも少しずつ集めています。家では派手に飲むというより、寝る前などにゆっくり飲むのが好きです。

今、家にはどんなウイスキーがありますか?

最近は〈ジョニー・ウォーカー〉のブルーラベルがお気に入り。〈ブッシュミルズ〉はハイボールで飲むのにハマっていて、一番減っている〈ラガヴーリン〉はストレートで楽しんでいます。

愛用しているグラスは、大阪の〈TRUCK〉が作っている「たきびグラス」。職人さんが焚き火をしながらひとつずつ作っているそうです。

家に人を招くことも多いそうですね。

仕事仲間を呼んでここで作業をしたり、近くで飲んでいた友人たちがそのまま来ることもあります。最大12人ぐらい集まったこともありました!ボードゲームをしながら、デリバリーで頼んだごはんを食べたり、お酒を飲んだりして家時間を満喫しています。

人を招くうえで工夫していることはありますか?

まず、みんなが集まりやすい立地に住むこと。それと、椅子は多めに置いています。〈Alvar Aalto〉のスツールはゲスト用にも重宝していて、10年前に初めて買ったデザイナー家具でもあります。

また意外と便利なのが、撮影機材の「センチュリー」。アームを出せばコートハンガー代わりに使えたり、バッグを掛けられたり、匂いがついた服にスプレーをするときにも便利です。足元に重りを置けば安定するので、荷重がかかっても安心。ネットでも購入できて、コスパも良しですよ。

今日は何を食べようか、どんな服を着ようか、誰と会おうか。一つひとつの気持ちに向き合いながら暮らす、その小さなこだわりの積み重ねが、福本さんの豊かな日常を形づくっていました。インテリアも服と同じように、今の“好き”を気軽に取り入れていく。そんな自然体な姿勢が、住まいに穏やかな自由さをもたらしていました。

前編では、この家に引っ越してきた経緯や、家づくりのテーマ、インテリアの考え方を紹介しています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください!

光と間取りに惹かれて、たどり着いた家

今の物件に住み始めた経緯を教えてください。

以前の家が手狭になったタイミングで、今の家に引っ越しました。同じ地域であることと、光の入り方がここを選んだ理由です。リビングは大きな窓に囲まれていて、夏場は日焼けを心配してしまうほどたっぷり日が入ります。

特に気に入っているのが、窓が素敵なサンルームのような一角。オンラインミーティングでもよく褒められます。植物を置いているベンチは古い〈マルニ木工〉。いわゆる「オールドマルニ」と呼ばれるものです。ゴールドの脚とブラックのフレーム、深いブラウンの色味が気に入っています。

変わった形の物件ですよね。

そうですね。半円に近い形をしています。普通の家では決め手に欠けると思っていたので、こういう間取りに出会えてよかったです。

リビングに“チルスペース”があるのも印象的です。

リビング・ダイニングとは別にテーブルとチェアを置いた一角があって、我が家では“チルスペース”と呼んでいます。そこにある「Siesta Chair」は夫が衝動買いしたもの。Siestaはスペイン語で「昼寝」という意味があるだけあって、座り心地がとても良いんです。

同じくワンシーターのT LINEチェアも持っていて、春夏はTHONET、秋冬はSiestaというように季節で入れ替えて使っています。

隣にあるゴールドのテーブルは、フィリップ・スタルクが商業用にデザインしたスチール製のもの。代官山ヒルサイドテラスの屋外でシルバーのタイプを見かけていいなと思っていたら、よく行くインテリアショップで発見。ゴールドのスチールテーブルで、しかも折りたためる仕様は珍しく、思い切って購入しました。

正直、2人暮らしなのでテーブルもチェアも十分なのですが、「使ってみたい」という気持ちで迎え入れました。

好きなものを重ねていく、テーマのない家づくり

自宅作りのテーマを教えてください。

とにかくそのときどきで、好きなものを置くことです。統一感はあまりありませんが、私と夫が好きなものをただひたすら集めています。

たとえば、私がダイニングにオレンジの〈MAGIS〉の「マリオリナチェア」とゴミ箱を置いたら、しばらくして夫が〈M&M Custom Performance〉のティッシュスタンドを隣に合わせて購入してきたり。そんなふうに、少しずつものが増えていっています。

福本さん家にはオブジェとして楽しんでいるものも多いですよね。

リビングテーブルに置いているのは、盛岡の作家・泉田之也さんの茶器。2年ほど前に酔って真っ二つに割ってしまいまして…。金継ぎもできない素材だったので、この状態を楽しむことにしました。

ソファ横には、にいみひろきさんの段ボールで作られたサイコロ型オブジェと、〈YAMAGIWA〉の「オバQライト」を組み合わせて置いています。

チルスペースのテーブルに置いているのは、清澄白河のギャラリー「stoop」でポストモダン展をしていたときに見つけたもの。ブックスタンドや新聞をしまうラックとしても使える収納道具ですが、色も形もオブジェのような存在感がありますよね。

ふたりの“違い”がつくる、居心地のいい空間

夫婦でインテリアの好みは似ていますか?

けっこう違います。私はスチールやアルミなどの無機質な素材が特に好きで、夫は木やクラフト感のあるものも好きです。

どのようにして、それぞれのインテリアを楽しんでいますか?

どんな家具でも馴染むように、部屋の内装は白いカーテンやグレーのタイルカーペットでシンプルにまとめています。あまりにも大きい家具を買うときは相談しますが、基本的にはお互いさまで、好きなものを買ってきていいという暗黙のルールがあります(笑)。

もし合わなければ空間を分けて置いたり、仕事で借りている事務所に持って行ったり。飽き性なので椅子などの小さな家具はよく入れ替えますし、季節や気分に合わせて“衣替え”のように空間を変えるのも楽しみのひとつです。

夫婦の感覚が素直にミックスされていて、それが居心地の良さを作っていた福本沙耶さんの住まい。後編では、福本さんが大切にしている家具やファッション、人と過ごす家時間を通して、“今の自分”を楽しむためのヒントを探ります。

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