簡易DIYでゼロから作る、
17畳の快適なワンルーム暮らし(後編)

DIY家具に囲まれた、
インダストリアルテイストのダイニング

ダイニングではどのような家具を選んでいますか?

家の中でも特に過ごす時間の長いダイニングでは、DIYで作った家具をたくさん置いています。ダイニングテーブルは、〈IKEA〉で購入した天板と、好みの鉄の足を組み合わせて作ったオリジナルテーブル。天板はもともと塗装がされていない無垢な状態でしたが、表面をヴィンテージワックスで磨き上げることで味のある風合いに。イスとベンチは大好きなデザイナー、〈ピート・ヘイン・イーク〉と〈IKEA〉のコラボアイテムです。あと、ダイニングテーブルの後ろに置いている棚も自作。コンクリートブロックに、DIY界では定番のツーバイフォー(2×4)材という木の板をただ載せているだけの簡易施工で、総額3,000円程度で作れます。この棚にはDIY用の工具をしまったり、好きなアート本やオブジェをディスプレイして楽しんでいます。

インダストリアルテイストの空間作りでは、具体的にどのようなことを意識しましたか?

有機物と無機物のバランスを大切にしています。DIYだと加工が楽な木の素材を使いがちですが、部屋の家具をすべて木にしてしまうとほっこりしすぎてしまう。なので、DIYをする際も石や金属などの素材を要所で取り入れるように意識しています。

簡単で、費用もお手頃!
オリジナリティ満載の、イノウエさん流DIY術

部屋には、ご自身でDIYした素敵な家具がたくさんありますね! なかでもお気に入りを教えてください。

つい最近作ったコンクリートアイアンのリビングテーブル。正方形のテーブルを探していたのですが、なかなかイメージに合うものがないので作ってみました。天板は道路でよく見かけるコンクリートの棚板で、水を吸わないように透明のニスでコーティングしています。足は建材などに使うL字鋼をホームセンターでカットして、家で穴を開けてボルトで留めています。天板は足にただ載せているだけ。約60kgの重量があるので動くことはありません。これで、材料費3,500円程度で簡単に作れちゃいます。また、ダイニングにある自作のペンダントライトもお気に入り。通販で購入した真鍮のソケットと白色のコードに、工事現場で使われるような頑丈なワイヤーのシェードを合わせたもの。ワイヤーの先の部分は開いたり閉じたりするので電球の交換も簡単にできます。

DIYで家具を作る利点を教えてください。

DIYであれば、ぴったりのサイズで作れるので無駄なスペースが生まれないし、予算がなくても自分好みの素材を選べます。しっかりとした無垢材の家具が欲しいけど、既製品は高価だし、安価な家具は素材の強度が弱く、見た目もあまり好きではありません。わが家はインダストリアルを意識しているので、DIYでやや粗い仕上がりでも良しとしています。自分で作っているから、簡単に取り外したり直したりできるのも嬉しいポイント。家具は大きい買い物で、飽きても気軽に取り替えることができないイメージですが、自分で作れば違う家具同士のパーツをバラして、また新しい家具も気軽に作ることができるんです。自分で作った家具は愛着が湧くし、何より工作なので楽しいですよ!

普段DIYの作業はどこでしていますか?

自宅ですることがほとんどです。材料の調達は、家から10分くらいのところにある〈コーナン〉が行きつけ。私は車がないので、家具材は台車でせっせと運んでいます。

DIYの知識やアイディアについて、なにか参考にしているものはありますか?

DIYは基本自己流です。大学は美術系で彫刻を専攻していたので、工具や素材の扱いには慣れていることもあり、DIYのハードルは比較的低いのかもしれません。鉄も石も木も、どれくらい磨いたらどれくらいの質感になるかなどは、何度もやって身につけていきました。

しっかり遊べて、しっかりリラックス!
人を招くために工夫していること

休日はどのように過ごしていますか?

アートが好きなので、近所のギャラリーや美術館に出かけたり、最近はあまりできませんが、友人を呼んでホームパーティを開くことも多いです。

人を呼ぶための空間作りとして、工夫をしていることはありますか?

しっかり遊べて、なおかつくつろげる空間にできるように心がけています。リビングもダイニングもベッドルームもオープンな空間なので、広々リラックスしてもらえれば。特に友人に好評なのが、100インチのプロジェクター。みんなで映画を見たり、ゲームをしたりします。スピーカーはAmazonで購入した、〈Echo Studio〉。コンパクトながら音質も申し分なく、立体音響なのでどの位置に座っていてもしっかり音が届きます。あと、大きなソファは横になって寝ることもできるので、急に友人が泊まりたいとなっても安心です。

家は住む人そのもの。こだわればこだわるほど、ライフスタイルは豊かになるもので、“家を作ること”を暮らしの一部として楽しむイノウエさんの生き方は、まさに誰しもが憧れる理想の姿。ハードルが高いと思われがちなDIYも自分流にアレンジして、もっと身近に楽しめるものなのだと気付かせてくれる、素敵なお住まいでした。

大きな家具と悠々自適に暮らす、
アレンジ可能なワンルーム

この物件を選んだ決め手を教えてください。

敷地面積40㎡以上の築浅物件で、大きなワンルームがあるというのが決め手でした。日本の一般的な住宅では海外のいい家具を揃えても、空間作りに限界があると感じていたので、内装のおしゃれなデザイナーズ物件であったこともここを選んだ理由のひとつ。まったく収納がない、まるでギャラリーのようなこのワンルームをはじめて見たとき、ゼロから部屋を作れることにとてもワクワクしたのを覚えています。

ワンルームの利点を教えてください。

壁がない分空間が広々使えて、自由度が高いのが大きな魅力です。同じレイアウトの部屋で長く暮らしていると、なんだか暮らしにメリハリがなくなってしまうので、わが家は頻繁に模様替えをしています。ワンルームはそんな飽き性な僕にぴったりな間取り。自分で一から空間を作っていると、「ここはこうしたい!」というアイディアもわきやすいし、様々なレイアウトにも挑戦しやすい。また、リビング、ダイニング、ベッドルームがひとつの空間にあるので、住まい全体の統一感も作りやすいですね。

家全体としては、どのようなテイストのインテリアを選んでいますか?

コンクリートの壁とリノリウムのグレーの床に合わせて、インダストリアル調のものを多く取り入れています。石や鉄など無骨な空間に、ポイントで無垢な木素材を合わせることで、無機質になりすぎないようにバランスを取っています。棚や家具はDIYしているものが多く、自由に動かしやすいように作っています。

家具はどのようなものを置いていますか?

低めの窓の高さに合わせて、家具は低いものを置くように心がけています。部屋は6畳や8畳のワンルームが大きくなったイメージでレイアウト。広々とした空間に大きな家具をどかっと置く、そんな欧米スタイルの住まいが憧れでした。お気に入りは、リビングに置いている〈IKEA〉で購入したKIVIKシリーズの大きなソファ。ここでゆったりお酒を飲みながら、テレビを見るのが至福の時間。ベッドもダブルサイズが置けるスペースを確保しました。

イノウエさん宅には照明がたくさんありますね。

今は自宅でテレワークをすることも多いので、照明でオンオフの切り替えができるようにしています。仕事中は天井についている白くて明るいライトを使い、オフの時間はオレンジの間接照明でリラックスできる空間に。ベッドルームの間接照明は〈IKEA〉で購入した1,800円くらいのもの。照明カバーを外して電球をむき出しにしたライトをあえて壁にぶつけることで、やわらかな光を演出しています。大きなワンルームは部屋が分断されていない分、間接照明は数が必要。わが家では、照明のオンオフが苦にならないように、電気のスマート化も進めていて、スマホで操作できるようにしています。

収納はウォークインクロゼットを自作。
快適な部屋作りに、無理は禁物!

備え付けの収納スペースがまったくないこの物件。収納はどのように確保していますか?

部屋の中央に置いている、〈イーグルスチールラック〉という業務用のラックを使ってウォークインクロゼットを自作しました。洋服や雑貨、普段はあまり読まない漫画類などの本も収納。ラックの背面に木の壁を作ることで、部屋のインテリアとも馴染むように見た目よくデザインしています。最近はその壁に板を取り付けて、テレワーク用の仕事スペースも増設しました。

収納グッズでお気に入りはありますか?

〈無印良品〉の衣装ケースやワイヤーバスケットはよく使っています。シンプルなデザインで、すぐに買い足すことができるのも愛用している理由。特に無印良品のステンレス商品は無垢な素材感が気に入っています。

この部屋で暮らす上でのこだわりやマイルールを教えてください。

とにかく住みやすい家にすることを心がけています。暮らしに無理が生じないように収納しすぎず、ある程度生活感があるものもデザイン的に気にならなければ表に出しています。例えば、靴は表に出していますが、バッグが積み重なっているのはあまり美しくないのでウォークインクロゼットにしまったり、収納ボックスも取り出しやすいように、8割程度の量を守って収納しています。家具や雑貨のレイアウトに関しても、無理が出ないように動線を確保することを意識。ものそれぞれがあるべき場所をしっかりと見抜いて、定位置を作れば部屋が散らかることもありません。仕事で無理をしたら体を壊してしまうのと同じように、部屋作りでも無理をすれば住みやすさは崩れていくもの。なので、背伸びしすぎず、無理をしないことを心がけています。

壁に穴を開けずにできる!
コンクリート壁面の棚作り

ついついコレクションしてしまうものはありますか?

靴は大好きでたくさん持っています。靴箱ももともとない物件だったので、自分で作りました。お店のディスプレイのように見せながら収納しています。はじめはひとつしかなかったのですが、最近足りなくなったので増設しました。

靴置き場をはじめ、壁を利用した棚はどのように作っていますか?

ここは賃貸物件なので、新たに壁に穴を空けることはしていません。コンクリートを型枠に流し込む際にできた、通称Pコンと呼ばれる穴を利用しています。靴箱は、穴から出ているネジのようなものにボルトを入れてセパレーターという棒を通し、その突っ張りに板を渡しているだけの超簡易棚。簡単に取り外しもできるので重宝しています。

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