DIYで収納スペースを確保。好きなものとすっきり暮らすアイディア
【狩野憲二郎さんのコンパクトライフ 後編】

DIYでコンパクト物件でも自分らしく暮らすコツ

コンパクト物件ならではの利点を教えてください。

我が家は風通しがいいこともあって、お香を焚くと玄関までいい香りがします。帰宅すると部屋に「おかえり」と言ってもらえるような、そんな感覚に。<ACME Furniture>で販売しているAPOTHEKE FRAGRANCEや、<薫玉堂>の桐箱シリーズ、美術館のお土産で買ったお香などが最近のお気に入りです。

コンパクト物件で暮らす上でのスペース作りの工夫を教えてください。

リビングでは、コーヒーテーブルではなく、サイドテーブルをソファに合わせています。ベランダまでの導線にストレスがないし、ソファ前に何もないと気持ちよく過ごせます。ラグの上でヨガをすることも多いので、気軽に動かせるのも◎。サイドテーブルは我が家で唯一のデザイナーズ家具で、アメリカの<エイドリアン・ピアソール>のものです。脚は譲り受けたものをピカピカに磨き、天板のガラスだけ業者さんに作ってもらいました。

あとは、引っ越してみたら収納が足りなかったので、寝室の一角にDIYで収納スペースを設けました。ホームセンターでカットしてもらったベニヤ板と有効ボードを組み合わせて無塗装で仕上げ。寝室と作業部屋を隔てる引き戸を収納棚の扉として活用しています。半日ほどで作った簡易なものですが、有効ボードには帽子やバックがかけられて、中には水や工具、本、スーツケース、サーフボードまで収納できる大容量。とても助かっています。

手紙や鍵など、忘れないように保管したい小さなものは壁付け棚へ。穴の目立たない3本ピンで設置しています。棚は新品で購入したものに錆びているような塗装を施して、網の部分を少し破いたり、ハンマーで叩いたりして仕上げました。よくホームセンターに行って、家のものはちょこちょこDIYしています。

素朴でかっこいい。ガシガシ使える家具が好き

家具はどのようなものが好きですか?

主張が強すぎない生活感のある家具が好きです。素朴だけど何気ないかっこよさがあって、映画のワンシーンに出てくるような。デザイナーズ家具ももちろん好きですが、自分が使っても似合わないし、並みの賃貸物件では調和が生まれにくいというか。世の中的に人気な家具を慎重に使うよりも、自分は本当に好きなものをガシガシ使う方が性に合っています。服も汚れちゃいけない服って、あまり持っていなくて。ラフに使える、自然体でいられるものが好きですね。

インテリアのインスピレーションはどんなものから受けることが多いですか?

映画が大好きで、アメリカや香港、台湾などいろんな国の映画を観ます。いいなと思う部屋があったら、写真を撮って自分のインテリアに活かしたりしますね。

家具は普段どんなところで購入しますか?

自分が勤めている<JOURNAL STANDARD FURNITURE>、<ACME Furniture> のものが多いです。やっぱり使ってみないとわからないことがたくさんあります。使ってみた感じを商品部の人にお伝えすることもありますね。

来歴もバラバラな愛しい家具とのエピソード

家具を選ぶ基準を教えてください。

選ぶ基準は“本当に好きか否か”。我が家には名もない古い家具が多く、国も時代もバラバラ。中には拾ってきたこともあったり(笑)。ただ来歴は関係なく、家にある家具はどれも使えば使うほど親しみが増していくものばかりです。

特にお気に入りの家具を3つ教えてください。

15年以上愛用する中東のラグ

リビングに敷いているラグは、旅先で購入した中東のもの。15年くらい連れ添っているのでなかなか新調できません。僕はタイで幼少を過ごしたこともあって、東南アジアが大好き。旅行でもよく行きます。

ACME Furnitureの「LAKEWOOD SOFA」

モチーフとなる80年代のソファをアメリカで先輩と一緒に買い付けた経緯もあり、とても思い入れがあります。コーデュロイの生地感を生かしながら、それに合う形を商品部の人が作ってくれました。寝心地が良すぎて、お酒を飲んだ夜はよくここで朝を迎えています(笑)

ヴィンテージのブックシェルフ

60年代のもので9年ほど前に出会いました。ここには、大好きなブコウスキーや北斎の著書などよく読み返す本たちを収納。棚の上はディプレイとして楽しんでいて、瀬戸物のソルト&ペッパーは特にお気に入りです。戦後、日本人がアメリカのお土産品として作ったもので、50〜60年代のアメリカのソルト&ペッパーはメイドインジャパンのものがほとんどなのだとか。アメリカに訪れる度に、少しずつ集めています。

好きなものをきちんと愛でられるすっきりとした眺め、少し陰りのある静かな明るさ、心安らぐお香の香りなど、自分が落ち着く“感覚”と向き合いながらじっくり住まい作りを楽しむ、狩野さん。自分の感覚に素直になることは、部屋の大小関係なく、誰しもにとって身近にできること。まずは、自分の好きをとことん追求してみることから、のんびり豊かな住まいづくりを始めてはいかがでしょうか?

前編では、この家に引っ越してきた理由や、自宅作りのテーマ、家で過ごす好きな時間についてもご紹介しています。前後編合わせて、ぜひご覧ください!

戸建てから、落ち着きのあるマンションの1階へ

この物件を選んだ理由を教えてください。

以前は戸建てを借りていたのですが、そこまで広いスペースはいらないことに気がついて。更新のタイミングもあって、内見はできなかったのですが、2LDKの間取りと3口コンロ、東南向きに大きく取られたリビングの変形窓に魅かれてこの物件に引っ越してきました。

日本の平屋のような、落ち着く明るさですね。

実は今まで1階の物件にしか住んだことがなくて。地に近くて影が心地いい、1階の雰囲気が好きなのです。照明も明るさを抑えるために電球に塗装を施したり、下が覆われている「ハーフミラー」という電球を選ぶことで光源が直接目に入らないように工夫しています。夜は基本的に間接照明で過ごすことが多いですね。

グリーンに紛れているフラミンゴの置物は、10年ぐらいずっと連れ添っています。スリムで縦に伸びるオブジェなので、コンパクトな住まいでも圧迫感が出なくてお気に入り。フラミンゴは片足で立っているイメージが強いですが、落ち着いているときは両足で立つみたいです。この子が落ち着いている姿を見ると、なんだか自分も落ち着きます(笑)。

“何もない空間”を作りながら好きなものを自由に。風通しのいい家づくり

“こんな家にしたい”という家づくりのテーマはありますか?

テーマは“ダラっとできる家”。遊びに来た友人がついつい長居してしまうような、そんな部屋にしたいなと思っています。僕は隅々まで整頓された綺麗な部屋よりも、ほどよいごちゃっと感、生活感があるほうが好きで、自分やパートナーの残した痕跡を見るとなんだか安心します。

インテリアのマイルールはありますか?

好きなもの、気に入ったものを自由に置いています。部屋のテイストを1つに絞ってしまうと、好きなものでも部屋に合わないからと置くのを躊躇してしまうので、あえてこだわりすぎないことで、自然と好きなもの同士の調和が生まれている気がします。自分のフィルターを通したものなので、きっと相性もいいはずだと。妻と僕はインテリアの好みが似ていることもあって、インテリアは僕に一任してくれています。好きなものに出会ったら、あまり深くは考えず衝動的に手に入れることが多いですね。

改めて、今の家に引っ越して良かったなと思うことを教えてください。

以前住んでいた家は、ものをたくさん飾りつけて賑やかでしたが、今の家は物が多いなりにも“何もない空間”を意識的に増やしたので、心なしか風通しも良く満足しています。空間づくりは緩急が大事。ものは置きすぎると掃除も大変ですよね。壁のインテリアも意識的に余白を大きく活かすことを心がけています。

インドア派の家時間

お家での休日やオフの時間は、どのように過ごしていますか?また、日々の暮らしの中で好きな時間を教えてください。

僕は基本インドア派。絵を描くのが好きで、専用の作業部屋も設けています。また、リビングで映画や本を読んだり、外を眺めてコーヒーを飲んだり。夜飲みに行って帰ってきてから、冷蔵庫の残りでシメを作る時間も好きですね。

6年ほど連れ添っている、家族のヘビと過ごす時間も癒しです。名前はタピオカ。アジア料理のデザートに出てくる、タピオカココナッツミルクが好きでそこから名付けました。タピオカの家は部屋の雰囲気と馴染むように自作したもの。夜行性で夜は部屋の中を自由に散歩しています。特にインテリアで気を使うこともなく、ごはんも月1,2回程度でOK。ヘビは一緒に暮らしやすい生き物だなと思います。

心が休まるほどよい明るさと生活感で、ついつい長居したくなる狩野さんのご自宅。後編では、コンパクトな物件ならではのスペースづくりの工夫や、好きなインテリアについて詳しくお届けします。

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