意外と快適、コンパクトなワンルーム
あえて60㎡の部屋から20㎡に引っ越したのはなぜですか?
以前住んでいた60㎡の部屋を事務所として使うことにして、生活の場は今の20㎡に移しました。場所は勤めている会社の近くで探して、ちょうどこの物件に出会ったんです。

実際に暮らしてみて、いかがですか?
正直、大きな不便は感じていません。外に出ている時間が長いので、住まいは最小限の広さで十分だと思っています。むしろ空間がコンパクトな分、動線が短くなって暮らしやすい。朝起きてすぐ身支度ができるなど、生活がスムーズになりました。
ワンルームの魅力とは何でしょうか?
一番は動線のラクさです。部屋の境目がないから、暮らしがシンプルに流れていく。コーディネートの面でも考えやすいです。1DKや1LDKのように分かれた部屋だと、それぞれの空間を考えなければならないですが、それがちょっと面倒に感じてしまうタイプで。ひとつの空間をどう見せるかに集中できるワンルームの方が性に合ってるんです。
ワンルームに住み始めたのは、俳優・上杉柊平さんの影響が大きいです。彼のワンルームの家をYouTubeで見て、こんな風に住まいを楽しんでみたいと思ったのがきっかけでした。

約20㎡でもすっきりみえる収納のコツ
収納ではどんなことを意識していますか?
どれだけコンパクトにできるかどうか。収納家具はほとんど買い足さず、もともとある収納を活用しています。
ものはあちこちに分散させるのではなく、キッチンはキッチン台下、洋服はクローゼットだけといった具合に収納場所を絞っています。そうすることで、ものがある場所とすっきりしている場所のメリハリがついて、空間が整うように感じます。
クローゼットはかなりコンパクトですが、上のポールにシャツやコートをかけ、下にはスラックスハンガーを置いています。オフシーズンの服は保管サービスを利用。自宅で洗えない服も多いので、クリーニング付きのプランで清潔に保管しています。

コンパクト物件にうれしい、おすすめの収納家具はありますか?
〈AIR SHELF〉の突っ張り棚。シンプルで圧迫感がなく、コンパクトな空間にもなじんでくれます。


備え付けの大きなウォールシェルフがありますが、あえて使っていないのはなぜでしょう?
本を置いたこともあったのですが、全部埋まらないと中途半端に見えるし、埋めると今度は圧迫感が出る。なので、思い切って何も置かないことにしました。視界が開けると、それだけで気持ちもすっきりしますよ。

アナログな趣味を楽しんで
趣味はありますか?
読書です。最近はビジネス書が多いですが、週に一度は〈蔦屋書店〉に行き、雑誌や小説の新刊もチェックしています。本はタブレットでも紙でも読みますが、特に気に入ったものは紙で持ちたいタイプ。タブレットで読んだあとに紙で買い直すこともあります。

毎日のルーティンはありますか?
朝起きたら、まずレコードをかけます。長く愛用していたのは〈COLUMBIA〉の古いポータブルプレーヤー。最近針が壊れてしまい、〈ANABAS〉から復刻されたモデルを〈ビームス〉で買い直しました。高級なプレーヤーも試したことがありますが、自分は音にこだわるより気軽に聞ける方が大事。スピーカー内蔵のシンプルなスタイルがちょうどよく、コンパクトで場所も取らない点や、昭和レトロなデザインもお気に入りです。

色や素材の選び方から家具や収納の工夫に至るまで、小林さんの住まいづくりには“感覚を信じる姿勢”が一貫していました。そのスタイルはまるでファッションを楽しむようで、空間全体に独自の個性が息づいています。
住まいは広さや条件に縛られるものではなく、感覚次第でもっと自由に、自分らしく形づくれる。そのことを改めて教えてくれる取材でした。
前編では、引っ越しに至った経緯や住まいづくりのテーマ、家具やインテリアへのこだわりについて伺っています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください!
ポスターとの出会いで決めた、
新しいブルーの住まい
今の物件に決めた理由を教えてください。
シンプルに無骨な内装に惹かれました。特に大事にしていたのは“床”。賃貸物件によくあるクッションフロアがどうしても好きになれず…。この家は無垢材の床だったので、そこが大きな決め手になりました。
ただ、ひとつ気になったのが青い壁。青は好きな色ではあるものの、自分の好みとは違う色で、どうしようか少し悩みました。


最終的に、この家にしようと思えたのはなぜですか?
ちょうどこの物件を検討していた時期に、以前から気になっていたロナン・ブルレックのブルーとグリーンのポスターに出会えたんです。これを壁に飾れば、きっといい空間になるだろうとイメージが湧いて、思い切って引っ越しを決めました。

家全体の色使いについてはどのようなことを意識していますか?
壁のブルーをベースに、オレンジや赤、黄色といった暖色を差し色にしてバランスを取っています。空間を整える感覚は、ファッションのコーディネートに近いです。直感的に「いい!」と思った色や素材を取り入れて、その組み合わせの中で調整していく。理屈というより感覚で選んでいる部分が大きいですね。


今の家に引っ越して良かったなと思うことは何ですか?
空間そのものが気分を高めてくれることです。料理をしているとき、ふと目の前に剥き出しの配管が見えると気分が上がったり。リノベーション物件ならではの、壁を壊した跡のまっさらな表情や、あえて隠されていない配管など。整いすぎていないからこそ、自分らしく暮らしを楽しめていると思います。

“違和感を持ち込まない”空間づくり
自宅づくりのテーマを教えてください。
“素材を生かすこと”を意識しています。この家はもともとのスペックが高いので、余計なものを持ち込んで邪魔をしないようにしています。木目風のプリントで覆われた家具やプラスチックの収納道具を置くと、空間に違和感が出てしまう。だから“変な違和感を持ち込まないこと”を徹底しています。
延長コードひとつとっても、出しておいても様になる〈BLESS〉の木製のものを選んだり。そういう小さな積み重ねで、気分の上がる空間になると思っています。

インテリアはどんなスタイルが好きですか?
ファッションで新品と古着をミックスするように、インテリアも時代や国を自由にミックスするスタイルが好きで、モノ同士のリンクを考えるのが楽しいです。

テーブルの上には、イラストレーターkotoka Izumi さんが描いた人物のアートの横に、鉢として売られていた石膏像を置いて、人のモチーフで繋げてみたり。そんなリンクを効かせながら空間づくりを楽しんでいます。

家具は“直感”で選び、“感覚”でなじませる
お気に入りの家具を教えてください。
〈ligne roset〉のTogoのソファです。愛用している人は多いと思いますが、このブラックレザーの3シーターは珍しいと思います。存在感が強くてコーディネートの難易度が高い、あえて一番面白いものを選んでみました。
ただ、サイズも色も圧迫感が出やすいので、どうなじませるかは考えました。レコードや照明などで黒を要所に取り入れたり、近くに明るい色を置いたり。さらに〈BLESS〉のブランケットをかけて柔らかさをプラスして、空間に調和させたり。来客があると自然とみんなここに集まって、のんびり過ごしています。

ベッド周りについても教えてください。
フレームは〈ACME Furniture〉のもので、アメリカンヴィンテージの雰囲気が気に入っています。青いベッドリネンは〈GATA〉のもの。ボタンで留めるデザインや、色合い、肌触りすべて好みです。ベッドリネンはファッションのように、そのときの気分で楽しんでいます。

家具を買うときの基準を教えてください。
この家になじむ素材かどうかを重視しつつ、基本は感覚です。サイズを測って買うこともほぼなく、買ってからどう置くかを考えることが多いです。インテリアは、ものの背景を深く知りたいというよりは、シンプルに「好き」と思えるかどうか。直感で選ぶことが多いです。理屈ではなくフィーリングで選ぶことで、結果として居心地のいい場所になると感じています。
無骨な素材感を生かしながら、自分らしい住まいづくりを楽しむ小林拓哉さん。後編では、60㎡から20㎡へと大きく住まいを変えた小林さんが実際に暮らして感じたことや、限られた空間だからこそ生まれた収納の工夫、毎日の習慣や趣味の話まで深堀りします。ぜひ後編もお楽しみに!