エシカルディレクター・坂口真生さんと考える、これからの暮らし(後編)

世の中にもっと浸透していくように、
エシカル活動を進めていきたい

坂口さんはこれからどんな活動をされていくのですか?

毎週土曜にラジオの番組を持つようになったので、サスティナブルなニュースをたくさん提供できると思います。ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベトナム、ニュージーランドなどに海外特派員がいて、毎週世界のサスティナブルな情報を届けてもらおうと思っています。上海やタイなどアジアにも広げていく予定です。今回の合同展示会「rooms41」でも高校生と環境省のトークセッションがあって、高校生が鋭い質問をぶつけてくれました。今の高校生たちはよく勉強していて、環境問題について専門家みたいになっています(笑)。今年から小学生の教科書にSDGsが入り始めましたし、7~8年前からエシカルという言葉が高校の家庭科の教科書に入っています。エシカルネイティブの人たちが出てきていて、みんな鋭いツッコミをしますね。危機感を感じているZ世代、世界を変えていくのは彼らだと思っているので、積極的にコミュニケーションはとっていきたいですね。

坂口さんがディレクターを務めるエシカルコンビニとは?

みなさんが手に取りやすい、おしゃれでエシカルなアイテムの販売やエシカル活動を陳列したポップアップイベントです。有機のもので作ったフードや、使い捨てプラスチック製品の代替になるようなアイテムなど、ユニークでクオリティの高いものをラインナップしています。他にもマイボトル用の給水サーバーを設置したりしているので、プラスチックごみ問題など、解決すべき問題と向き合うきっかけを与えてくれるのが特徴です。

エシカルコンビニの今後は?

一番大事なのは事業者さんが育っていく、事業者さんがビジネスを続けていけるようにしていくことなので、「rooms」のような展示会は引き続きやっていきたいですね。百貨店さんなどからすごく好評なので、いろいろやっていきたいです。一般向けだとポップアップショップ。今は、どうやって実施していくのかを話し合っている段階です。

国内で、今注目しているブランドは?

たくさんありますけど、『CLOUDY』というブランドが渋谷の『MIYASHITA PARK』に常設店舗をオープンしました。アフリカの教育支援や女性支援につながるためにやっているブランドで、今4年目くらい。すでにアフリカに学校を3校作っていて、工場もあって、女性と障がい者を400人くらい雇用しているすごいブランドです。最近、5年前くらいから出てきた新世代のエシカルブランドが育ってきているっていうのはありますね。

エシカルコンビニでも手に入る、
坂口さんが心を込めておすすめするアイテムとは

坂口さんが愛用されているおすすめのエシカルアイテムを教えてください!

『ル・シェンヌ・エ・ル・ロゾー』のベジタブルスポンジ(3個入り) ¥550

再生木材から作られたセルロースを主原料としている家庭用スポンジ。環境にもやさしいだけではなく、吸水性と耐久性に優れ、食器もやさしく洗い上げます。「安価な市販スポンジは簡単にボロボロと崩れ、それがマイクロプラスチックとして川や海へ流れてしまいます。このベジタブルスポンジは、再生木材から作られているので、エコロジカル。なおかつワイングラスのような繊細な食器もきれいに洗い上げてくれます」。

『スタッシャー』のシリコンバッグ (右から)Sサイズ ¥1,320、Mサイズ ¥1,650、Lサイズ ¥2,530

食品用品質として認められている100%ピュアプラチナシリコーンを使用した容器。蒸す、解凍する&温める、焼く、保存するなど使い方はバリエーション豊か。さらに食洗機でも洗えるのがメリット。「洗えば何回でもリユースできるので、ラップや使い捨てプラスチック製保存袋の代替品に。医療用器具や乳幼児用の製品などに使用されているピュアプラチナシリコーン100%で作られているので、安心安全。カラフルな色とサイズ展開の豊富さも魅力です」。

『LOVEG』のソイミート(ブロックタイプ 120g)¥1,078

東京のプランツベースレストラン『ORGANIC TABLE BY LAPAZ』で大人気の商品、ソイミート。ブロックタイプは使いやすさが特徴。唐揚げやカレー、シチューなどいろんなレシピに使えます。「ソイミートは、おいしさだけでなく“美容と健康の主菜”として注目され、健康サポートにも心強い食材です。栄養面では、お肉類より高タンパクでさらに低脂肪。植物性ならではの食物繊維も豊富に含まれており、鉄分、カルシウムまでカバーしてくれます」。

『アリサン』の有機ピーナッツバター スムース ¥1,458

ピーナッツをローストして皮をむき、クランチして作り上げたピーナッツバター。朝のトーストに塗ると満腹感が保たれ、間食もしなくなるほど。炒め物やソースの風味付けにも。「乳化剤や安定剤を一切していないオーガニックのピーナッツバター。パンはもちろん、フルーツにつけてもいいし、そのままでも! もしくは牛乳ともマッチングはいいですよ。砂糖も油も塩も何も使っていなくて、有機ピーナッツしか使ってない、それでおいしいんです。今までのみなさんのピーナッツバターの概念を覆すと思います」。

『DAYLILY』の暖活薑棗飲 ¥3,024

黒糖と乾燥させた生姜をベースに、桂枝など8種類の和漢植物から生まれた漢方「薑棗飲」。ひと口飲むだけで、体の芯からポカポカしてきます。体が温まり、辛いことがあってもさらさらと流してくれるような、気分を前向きにさせてくれるドリンクです。「『DAYLILY』は台湾で漢方薬局を営む父を持つ女性が、日本人パートナーと立ち上げたブランドです。漢方ベースの薑棗飲は、お湯や炭酸で割るとおいしく飲めます。漢方というライフスタイルによって、女性の体温と気分を上げていきたい、そんな思いを感じます」。

エシカルな視点を持つことで、自分の世界が広がるのを感じます。そのものにどんな背景があるのかを考えるだけで、エシカルに参加できるのだと思うととっても身近。おしゃれで便利、そして環境保護にも貢献してくれるような、エシカルコンビニで扱うアイテムを選ぶことも第一歩。ぜひ視野を広げて、自分らしくエシカルを楽しんでみてください。

「エシカル」と出会ったときに、
ライフワークにしていこうと決意

坂口さんがエシカルという言葉と出会ったきっかけを教えてください

もともと両親が福祉事業をしていた関係で、小さい頃から気づいたらフェアトレードのアイテムが家にあったり、そういう環境で育ちました。高校3年生のときから交換留学生としてアメリカへ行って、それから大学、社会人と向こうで過ごす中で、福祉や社会貢献活動をやることに関してずっと思いはあったのだと思います。実は社会福祉をやることや、他人のために自分の人生を捧げるほうが豊かなんじゃないかと。そういう思いと、アメリカでファッションや音楽の仕事をしてプロモーションやブランディングをやってきた自分の経験とが、エシカルという言葉と出会ったときに全部つながったんですよね。僕らがやってきたプロモーションという仕事、おしゃれに見せるやり方で、エシカルをつなげることができる。そう思ったのが8年くらい前ですね。書店で、エシカルという言葉と出会って「これだ!」と。それ以降、僕はライフワークにしようと決めて、今は道半ばという感じです。

現在、エシカルを広めるために様々な活動をされていますが、アメリカでの経験も役立っているのでしょうか?

それはあると思います。アメリカには20~25年前にいたのですが、当時、すでにニューヨークにはオーガニックのカフェやヴィーガン対応のカフェもたくさんあって。そこにおしゃれな人が集まるという、そういうカルチャーが始まっていたので、それをリアルタイムで見ていたというのもあると思います。

そもそもエシカルとはどういった意味を持つのでしょうか。

サステナビリティやロハスなど、似たような言葉はいろいろありますが、エシカルは地球環境や社会貢献につながる“やさしい選択”という意味です。“やさしい選択”をするという行為そのものだったり、価値観や概念みたいなもの。オーガニックコットンを使う、フェアトレードを取り扱う、有機のものや無添加のものを選ぶなど、具体的な目標のあるSDGsに比べると抽象的かもしれません。エシカルはそういう具体的な目標を立てるとき、選択をするときの基盤になる気持ちや、概念のことを指します。ものを買うときにその背景を考えながら買い物をする、エシカル消費(=人や社会、環境のことを考えた消費活動)というのも、ほぼ同義となります。ペットボトル飲料を選ぶのではなく、マイボトルに飲み物を入れて持ち歩くことでプラスチックごみの減量につながる。その選択によって環境問題にも関わってくるので、今広まりつつある概念だと思います。

サスティナブルなことをしている人たちも
クリエイターだと認識している

それでは、どうやって『アッシュ・ペー・フランス』でエシカル事業部を作ったのでしょうか。

エシカル事業部の名刺を渡すと、「エシカル事業部なんて存在するんですね」って珍しがられます。会社として認めてもらって事業部が作れるのは、『アッシュ・ペー・フランス』の代表が作った創業理念と合っていたというのはあると思います。『アッシュ・ペー・フランス』の理念は、クリエイションで世の中を豊かにするということ。僕らは、サスティナブルな世の中を作る人たちもクリエイターだと思っているから、そういう人たちと一緒に豊かな世界を作るというのは大きな意義があることだと思います。

実際に取り入れて体験すると
その楽しさ、気づきが増える

暮らしをエシカルな方向に転換することでどんな風に変化するとお考えですか?

楽しいと思います。そういう目線で見ると、自分ができることが意外にたくさんあることに気づくと思います。自然のこと、歴史のこと、モノづくりのこと。エシカルとは、「背景に目を向ける」ことなので、たとえば今、NHKで「エール」という朝のドラマがやっていますが、あのドラマは戦前の話なので、まだプラスチックが開発される前なんですよね。だから家に置いているものがすべてエシカルだって思いながら観ているんです(笑)。ガラス瓶を使い回したり、木箱や木桶を使ったり。プラスチックがないだけなんですけど、でも逆にこの短期間でプラスチックがこんなに溢れちゃったんだって気づくんですよね。そこから、それをそぎ落とすのにはどうしたらいいんだろうって考えたりします。産業革命後に一気にこうなって地球がここまで汚れて、それの反動がSDGsということになる。そういうことを考えていくと人間の進化や資本主義ってなんだろう、というところまで考えが深まっていきます。そういう気づきが必ずあると思うので、その人その人の興味のあるところから始めるのでいいと思います。政治学、経済学、環境学、人間心理学……全部に関わってくるものだから。新しい視点が増えると思います。

エシカル生活を習慣化するために意識されていることはありますか?

先ほどと同じことですが、楽しめないと続けられないので、自分の身近なところで楽しめるところから始めるといいんじゃないでしょうか。「エール」の話のように自分で観て感じたり体験すると、人と話したくなりますから。友達、家族、仕事仲間、そういう人と共有できることが楽しかったりしますし、つながっていくのもおもしろいですよね。気づきや発見、疑問をアクションしていくとつながるんですよね。SNSのハッシュタグで調べたらそこにつながって、これだけの人がこのことに興味を持っているんだ、同じ意識を持っている人たちとつながっているんだと感じられるはず。そういう実感できることを小さなことでいいので、自分なりに作っていくと習慣になっていくんじゃないかなと。おしゃれなサスティナブルメディアも出てきているので、そういうメディアに触れてみるのもいいかもしれません。

withコロナと呼ばれる今の時代、以前からの変化を感じていますか?

エシカルやSDGsという視点においては、認識はより強くなったんじゃないかなと思いますね。もともと、Z世代(1990年代後半から2000年生まれの世代を指す)の子たちの間ではずっとあったと思うのですが、withコロナとなったことで確かに広がったように感じます。人生の豊かさとは? 幸福とは何? というのを考えた人は絶対多いと思います。そしてそう考えることが、サステナビリティ、エシカルそのものだと思うので。コロナだけではなく今まで大流行した疫病なども、もとをたどっていくと環境問題につながっていくと思うので、当然これからも意識は高まっていくと思いますね。

口さんにエシカルの定義やエシカルを生活に取り入れることによって訪れる変化などについてお聞きした前編。次の後編では、坂口さんの今後の活動や愛用されているエシカルアイテムについてお話を伺ったので、引き続きお楽しみください!

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