自分らしさが見えてくる、コンパクト物件ならではの幸せ
【memoireさんのコンパクトライフ 後編】

実は良いことづくし!?小さな家でよかったこと

コンパクトな物件だからこそ感じられる利点があれば教えてください。

『自分の好きなもので空間を埋め尽くせるところ』、でしょうか。広すぎると埋め尽くすのも大変ですし、ニュートラルな空間ができてしまうと、『自分の空間じゃない!』と違和感が生まれてしまうはず。純粋に好きなものをいつでも眺めていたい、という気持ちがベースにあります。我が家は植物もたくさんあるので、コンパクトな空間の方がより目をかけてあげることもできますね。

コンパクト物件で暮らす上でのスペースづくりの工夫を教えてください。

大きく2つあって、まず1つ目は“物量をコントロールすること”。本当に好きなものしか家に持ち帰らないことは意識しています。また、時間が経てば自分の趣向も変わるので、今の自分にフィットしないものは、積極的に寄付や買取に出してどんどん誰かにリレーします。

2つ目は、“コンパクトな空間を楽しむこと”。ある程度の制約があった方が、思いがけない発想が生まれて、インテリアの幅も広がると思います。例えば、服のラックをインテリアにすると季節を身近に感じられたり、壁の表情すら絵に見立てて楽しみたくなったり。パーソナルスペースって、そんなに広いものではないと感じているので、手や目が届くくらいの広さの方が、どんどん深く空間を掘り下げられるなと感じています。

収納に関して、工夫していることはありますか?

備え付けの収納がもともと少ない家なので、基本的にディスプレイも兼ねて収納しているものが多いです。そもそも家にあるものは飾っても良いと感じるものばかりなので、むしろ、箱や扉のある棚にしまってしまうのは、自ら可能性を閉じている気がして、もったいないと感じます。

例えば、好きで集めている器たちは、アートピースとしても楽しみたいと思い、戸のない棚に収納しています。作り手の手触りや気配、自然との掛け合わせはまさに唯一無二ですよね。

“見立て” ながら、“飾る”を楽しむ

もので溢れた空間ながら、どこも快適な眺めに整頓されていますよね。どんなことを意識してものを飾っていますか?

色や素材のバランスを考えるなど、シンプルなことに加え、“見立てを楽しむ”というのもひとつポイントです。例えば、ダイニングの棚に置いている青い鉢の周りには、石やペンギン、家のオブジェなどを一緒に並べることで、海辺を連想させる空間に。そんな具合で、小さな世界を組み立てるのは面白いですよ!ものが多いからこそできる楽しみだなと思います。

また、生け花で使われていた剣山は、ショップカード立てとして使っています。ものに新しい価値を見出してみるのも楽しいですね。

コンパクトな空間でも、壁面まで目一杯活用して、インテリアを楽しんでいるのも印象的です!

ダイニングと寝室を分ける廊下には、美術館やギャラリーのフライヤー、お店のショップカードなど、思い出のあるものをびっしり貼っています。フライヤーって、純粋にデザインのいいものが多いので、仕事の学びにもなりますね。通るたびに気分が切り替わる廊下です。

家の壁にはフライヤー以外にも、絵や写真もたくさん飾っています。合わせて、額も集めるようになりました。額は、小宇宙だと捉えていて、それを部屋に迎えられるって素敵ですよね。ついたくさん飾ってしまいます。額は壁にかける以外にも、植物と組み合わせて空間ごとフレーミングするなど、いろんな楽しみ方を模索中です。

積極的に外へ出かけて、より充実した家時間を

休日はどのように過ごすことが多いですか?

好奇心で生きているようなものなので、わりと活動的なタイプだと思います。東京のいろんな街をランニングしたり、美術館やギャラリーに行ったり、顔なじみの店でおしゃべりしたり。小旅行も含めれば、月1くらいで東京を出て、その地方ならではの文化や人に触れ合うのも好きです。

ロフトの壁面に広がる、旅にまつわるエリアも素敵です。

次ここ行こうかなとか、ここ行ったなとか、忙しい日々の中で旅について考える時間は好きですね。日本地図には訪ねた場所と旅で撮った写真をマッピング。写真は携帯で撮った画像をコンビニでプリントして貼っています。

また、隣の有孔ボードには旅先で使う自転車用のグッズや、リュック、旅本などをディスプレイしています。最近だと、出雲に出かけたのですが、暮らすように旅がしたいなと思い、出雲大社の近くに3泊のんびり泊まりました。毎日、早朝に出雲大社へ行ってお参りして、地元の居酒屋に行くなど、いろんな発見があって楽しかったです。

自分自身の“好き”というフィルターを鍛えるために、趣味のランニングで東京の街を走りながら気になるお店を訪ねてみたり、旅をしながらその土地の文化や人に触れてみたり。日々を楽しみながら感性を磨く、そんな今の暮らしが幸せだと教えてくれたmemoireさん。部屋に漂う“好き”の濃度が高まれば高まるほど、きっと心は解放されて、居心地のいい空間は作られていくもの。好きなものがぎゅっと詰まった小さな家だからこその幸せがある、そう気づかせてくれた、素敵な住まいでした!

前編では、この物件を選んだ理由や、引っ越してから訪れた暮らしの変化、インテリアの好みや飾り方の工夫、植物の話についてもお届けしています。ぜひ前後編合わせて、お楽しみください!

暮らしが心機一転!個性派物件との出会い

今の物件に引っ越した理由を教えてください。

この家に住む前は、東京郊外の川沿いにある静かな街に住んでいて、次は東京の都心部に住んでみたいと思い、ここへ引っ越してきました。この物件を選んだ理由は、見たことのない特殊な間取りで、暮らす側に創意工夫が求められそうだったから。これが最後の一人暮らしになるかもしれないと思い、住んでみたい家の条件をたくさん詰め込みました。『新築』、『ロフト』、『ルーフバルコニー』、『デザイナーズ』、『コンクリート壁』など、詰め込みすぎているところも、欲張りな自分にピッタリだと思っています(笑)。

今の家に引っ越してからライフスタイルとして変わったことがあれば教えてください。

空間がやや無機質だからこそ、自然物や人の手触りを感じられるものを置きたくなりましたし、この特殊な間取りをどう楽しんでいこうか、日常的に意識するようになりましたね。ランニングが趣味なのですが、気軽にいろんな街へ行けるようになり、その途中で気になる植物店やうつわ屋、古道具店、ギャラリーなどに立ち寄ることも増えて、愛着のあるものが家にたくさん増えました。正直、今の収入を考えると家賃は少し高めの物件。だからこそ、『家時間を満喫するぞ!』というやる気が生まれて、明らかに感性が磨かれ、本気で暮らそうと思うようになりました。この家に住んでいなければ、まったく違う人生を歩んでいただろうなと思います。

好きなものを好きなだけ。自分純度100%の空間づくり

自宅の中で、特に居心地のいい場所を教えてください。

ダイニングの壁面を眺められる、丸テーブルの椅子です。くつろぐときはいつもここなので、見える景色には本当に気に入っているものしか置いていません。特に、山根大典さんの流木を削って作られている狼のオブジェは、プリミティブでありながらどこか愛嬌があって大好きです。この場所では、朝コーヒーを飲みながらくつろいだり、仕事の合間に一息ついたり、のんびり本を読んだりします。ぼーっと、目の前の時計の振り子を眺めている時間も好きです。このスペースは、私の暮らしのすべてのベースですね。

また、家の中で一番長い時間を過ごすのは、ロフトの作業スペース。仕事は家でリモートワークが基本で、冬はコタツでぬくぬくしながら仕事できるのが最高です(笑)。コンパクトな住まいでも、ロフトを活用することで、オンオフを上手く切り替えられています。

部屋づくりをする上で、マイルールはありますか?

“自分の好きを止めずに好きなように散らかすこと”、それがマイルールでしょうか。一期一会を大切にしているので、ピンときたものがあればまず手に入れて、それから家のどこに置くかを考えます。その、どこに置くかを考えている時間も好きですね。自宅は、誰かに見せることよりも、まず自分が楽しむための空間なので、ラフであることも受け入れています。

家具、雑貨を選ぶ基準を教えてください。

家具も雑貨も選ぶ基準は“自分が好きかどうか”、それが全てです。家具は、最低限の機能性と佇まいがあれば、ほとんどブランドは気にしません。メインの飾り棚も、実は990円(!)のカラーボックスを愛用しています。雑貨も、たとえガラクタであっても、自分の創意工夫で素敵なものに昇華できると思っています。また、ものは何らかの思い出が伴わないと買わないですね。思い出があるからこそ、より愛着が生まれて、自分純度100%の空間が出来るのだと捉えています。

感性を磨いてくれる、“古道具”という先輩

思い入れのある、気に入っている雑貨を教えてください。

気に入っているものしかないのですが、あえて絞るなら、<TOKYO DANCE.>で見つけた古道具たちです。ブランド古道具ではない、見る目や発想力を試されるものが多くて、行くたびに何かを買っています。店主の土居さんの視座を信頼していて、会話をしながら、そのものの背景や古道具の捉え方を知っていくプロセスが好きです。ものはオンラインで買うことはなく、直接手に取って、じっくり選ぶことが多いですね。

古道具でもどんなものが好きですか?

よくわからないものに魅かれることが多いです。例えば、ダイニングの棚に飾っている、<TOKYO DANCE.>で購入した、カラフルな三角形の絵。実は、現代アーティストの作品を集めているお医者さんが持っていたコレクションのひとつなのだとか。そんなストーリーを秘めたものは特に気になります。時間に鍛えられているものは、自分には持ちえない先輩感があって、つい集めたくなりますね。

空間を見事に調和させる、100を超える植物たち

四方八方、どこを眺めても植物が視界に入る、癒しの空間ですね。

植物はこの家に引っ越してから育てるようになりました。部屋の中とバルコニーでも育てているのですが、今は100種類以上あります。故郷が自然豊かな場所ということもあり、やっぱり、植物が身近にある空間は落ち着きますね。

自然界にはたくさんの色があるのに、不思議と調和しているように見えますよね。我が家のインテリアも同じように、植物がたくさんあることで、無理にテーマなどを統一しなくても自然と空間が調和するのではないかなと思っています。

どんな植物を選んで育てていますか?

この家は冬だと0℃ぐらいになる日もあるし、夏はサウナ状態になることも。だから、この環境下でも生きていける、生命力の強い植物を選ぶようにしています。あとは、見たことのない、珍しい植物も好きです。趣味のランニングついでに園芸店にもよく立ち寄るのですが、気づけば都内のお店はほぼ制覇しましたね。なかでも、下北沢にある<ペニーレインしんかえん>というお店は、とっても安くて珍しいものを仕入れていることが多く、よく訪ねます。

この家に住み始めたことをきっかけに、暮らすことへの解像度がグッと上がったと教えてくれたmemoireさん。後編では、コンパクト物件ならではの利点やスペースづくりの工夫、たくさんのものを居心地良く飾るアイディアや、オフの時間の過ごし方についてもご紹介します!

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