“合うか”よりも“好きか”どうか。帰りたくなるインテリア
【吉留七枝さんのコンパクトライフ 後編】

新旧のお気に入りを組み合わせながら、厚みのある空間に

自宅作りのテーマを教えてください。

『好きなものを置くこと』、これにつきますね。インテリアは、家に合うものを選ぶよりも、自分の好きを優先して選んだ方が、暮らしの満足感は上がるし、ものへの愛着も芽生えると思います。我が家のインテリアで最も多いのが、勤め先でもある〈JOURNAL STANDARD FURNITURE〉と〈ACME Furniture〉で購入したもの。ヴィンテージからインスピレーションを得た、新品だけど味わい深いオリジナル家具や、国内外でセレクトしてきたちょっと珍しいアイテムが揃います。

吉留さんの住まいは、古いものと新しいものが上手にミックスされていますね。

ソファやテーブル、サイドボードなど、大型家具はすべてヴィンテージではなく、新しいものを選びました。ヴィンテージの家具は、日本の一般的な住宅だとサイズ感が大きすぎたり、良いものはそれなりに値段も張ったりしますよね。なので、ヴィンテージは椅子など小ぶりな家具やオブジェで随所に取り入れています。

特に気に入っている家具を教えてください。

3年前、〈ACME Furniture〉で購入した3シーターのソファ。デザインと座り心地がとても好みです。搬入経路を見誤って階段では入らず、窓を外して外から吊り上げて搬入したという思い出も(笑)。ラタンフレームの入ったサイドパネルに加え、背面の格子もかっこいいので、次引っ越したときにはソファ全体が見せられる配置で置いてみたいなと思っています。

あと、一生ものになるだろうと迎え入れたラグもお気に入りです。「トライバルラグ」というイランやトルコ、アフガニスタンなどで暮らす少数部族の人たちが手織りしたラグ。花模様やメダリオン、幾何学的なモチーフが特徴的で、黒をベースにした配色は珍しいので気に入っています。

好きなものを集めた、癒しのマイコーナー

自宅の中で、特に気に入っている場所を教えてください。

リビングのサイドボード上の飾りスペースです。サイドボードは、〈ACME Furniture〉で購入。ヴィンテージさながらのダイナミックなデザインながら、日本の住宅に合うようにリサイズされていて、脚や取手部分の華奢さもちょうどよく気に入っています。ここには、好きな花瓶や香り物を置いて、自分だけのスペースを楽しんでいます。仕事帰りで疲れているときでも、ふと視界に入ると癒されますね。

どんなことを意識してレイアウトを考えましたか?

好きなものがかわいく見えるように、気の向くままに飾っています。強いて言えば、木を基調にしつつ、ほっこりはしすぎないように金属や石を取り入れたり、ナチュラルな色味のものが多いですが、素材感でメリハリをつける工夫もしています。ディスプレイのアイディアは、InstagramやPinterestで海外のお家のインテリアなどを見て、暮らしに生かしています。

ついつい集めてしまうものはありますか?

花瓶は好きで集めがちです。ただ、日中は家を空けることも多く、頻繁に花を生ける習慣もないので、我が家には花を生けなくても様になるような花瓶が多いです。特にお気に入りは、サイドボードの左端に飾っている、エジプトのガラス工房で作られた〈YŌKI〉のアートガラス。日本橋店で勤めていたときにポップアップを開いてもらったのもいい思い出です。

住まい作りで大切なのは、“自分がどう暮らしたいかを明確に考えること”。家事をもっと快適にしたい人は、動線のいい家具の配置を考えてみたり、使う道具をアップデートしてみたり。家で癒されたいという人は、好きなものをとことん飾ってみたり、香りものを増やしてみたり。帰りたいと思える家があれば、忙しい毎日も穏やかにごきげんに過ごせるはずです。

前編では、吉留さんが今の住まいを選んだ理由やコンパクト物件を住みこなす上で工夫していること、引っ越して訪れたライフスタイルの変化についてもご紹介しています。前後編合わせて、ぜひご覧ください!

広めのリビングダイニングで
ライフスタイルにメリハリを

今の物件に住もうと決めた理由、部屋探しで重視したことを教えてください。

まず、夫婦お互いの職場からアクセスのしやすい地域で探しました。部屋の間取りは、ダイニングテーブルで食事をするスペース、ソファでくつろげるスペースをしっかり分けたかったので、リビングダイニングが広めだったことも決め手になりました。広さは、LDKで13㎡ほどです。

家具は大きすぎず、小さすぎず。
コンパクトライフを快適にするアイディア

コンパクトな物件だからこそ感じられる利点を教えてください。

掃除が楽なことですね。コンパクトな住まいだと、掃除にかける時間が短いのでやる気もでます。最近、〈ダイソン〉の掃除機を購入して、さらに頻繁に掃除するようになりました。あとは、部屋から部屋への移動が楽なこと。我が家は、すべての部屋が扉1つでLDKと繋がっています。廊下がなく、スムーズに移動できるところも気に入っています。

家具の配置でこだわったことを教えてください。

置く家具のサイズをしっかり測って、生活動線に支障がないかは入念に考えました。特に意識したのは、洗濯が快適にできるキッチン裏の洗面所からベランダまでの動線。食事をするのはダイニングテーブルのみなので、ソファにはコーヒーテーブルではなく、小さめのサイドテーブルを合わせることでよりスムーズに移動できるようにしました。どうしても、「ソファにはコーヒーテーブルを合わせるもの」と思考しがちですが、ひとつひとつ自分の暮らしを想像して必要のないものは引き算していくことで、生活スペースは少しずつ広く保てるはずです。

ただ、家具によっては“小さすぎないこと”も大切だなと思います。ダイニングテーブルやソファなど、よく使うものは快適に過ごせるだけの大きさをしっかり確保。お気に入りの家具を気持ち良く使えることも、暮らしの満足度をアップさせてくれると思います。

家をすっきり見せるためのアイディアはありますか?

線が細いものを選ぶことは心がけています。照明やグリーンなども、ボリュームがあまり出ない、縦に伸びるようなものを置くことで圧迫感を軽減できると思います。

我が家はメゾネットタイプのマンションで階段があるのですが、そこにはヴィンテージのラダーラックを立てかけて、バッグや鍵を吊るしています。見た目もすっきりとしていて、省スペースなのが◎。玄関にものを置けるスペースがないので、非常に重宝しています。

引っ越したことで見つけた、新たな楽しみ

今の家に引っ越してから、ライフスタイルで変わったことはありますか?

以前住んでいた家よりもキッチンが広くなったので、ちゃんとごはんを作れるようになりました。休みの日はゆっくり料理をすることが楽しみに。キッチンはリビングダイニングと仕切られているので、ある程度生活感が出ても気になりません。

キッチン作りで心がけていることはありますか?

収納が苦手なので、“しまいすぎないこと”は無意識のうちに心がけているかもしれません。できるだけ煩雑に見えないように、キッチンで使う調味料や食材はできるだけシンプルな保存ビンに移し替えたり、キッチン道具や家電は見た目まで好きだと思えるものを選んだりするようにしています。あと、掛ける収納も積極的に活用。収納スペースを取らず、すぐ手に取れるのも楽ですね。

食器棚は変わった形状ですね。

今は販売していないのですが、〈JOURNAL STANDARD FURNITURE〉のものです。もともと本棚や洋服を収納する棚として作られたものですが、我が家では食器棚として愛用しています。扉が上下に開閉するタイプで、開いた扉は上部にしまえる仕様。扉を開け放していても動線を邪魔することなく、使い勝手がいいですよ。

器のお気に入りを教えてください。

地味な料理も鮮やかに彩ってくれるカラフルな竹村良訓さんの器や、素朴で日常使いがしやすい佐藤敬さんの器、女性らしいアクセントの効いた竹田せりさんの器などがお気に入りです。

自分たちが快適に暮らせるかどうかを基準に、柔軟な発想でコンパクトな家を快適に住みこなす吉留さん。
後編では、自宅作りのルールやお気に入りのディスプレイスペースの話をお届けします!

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