自分らしくアレンジを楽しむ、
ワンルームでの落ち着いた暮らし(後編)

インテリアの見せ方は、テイストを合わせること。
販売員時代の経験も活かされている

洋服の見せ収納のほか、雑貨のディスプレイも素敵ですね。自分なりのルールはあるんでしょうか。

雑貨もつい集めてしまうのですが、ごちゃごちゃ見えないように規則性を持たせるようにしています。例えば、ソファの隣に置いているラックはディスプレイコーナーにしていますが、同じ種類でまとめておくことで、雑多な印象にならないように。上段は、ビームスの〈fennica〉で買った藍で色付けされたこけしだったり、クラフト感のある民芸品が中心。下段にはお気に入りのマグや器など焼きものを集めたり、テイストを合わせて飾ることでまとまりが出るかなと思っています。中段には、コーヒータイムの必需品である〈カリタ〉のミルと〈月兎印〉のポットを置いていますが、ここが一番取り出しやすいので定位置にしています。ディスプレイとして飾ることもあるので、生活用品も見た目のいいものを選ぶことが多いですね。

そういったディスプレイの作り方は販売員時代の経験が活かされているんですか?

そうですね、ショップに立っていたときはVMD(※)のお手伝いもさせてもらっていたので、そのとき経験したことを思い出したりしますね。ネイティブっぽい柄のファブリックはアクセントになるので、マグの下に敷いたり、ソファにさり気なくかけていたり、部屋の所々に使っています。棚の横にはかなり大きいスーツケースが2つありますが(笑)、出張や海外旅行のときに活躍しています。旅先で見聞きしたものはすごく刺激になりますね。なるべくいろんなものを見て吸収しようと思っています。今まで行った国の中では、アメリカが好きで、イタリア、あとはロンドンもすごく楽しかったですね。海外のホテルやカフェに漂う空気感は、落ち着いていて好きな雰囲気。その“落ち着き”を自宅にも取り入れられるように、試行錯誤しています。
※ビジュアルマーチャンダイジングの略。お店やブランドの価値を視覚的に伝えるマーケティング活動

自分の直感で買い物することで
お気に入りに囲まれた生活が実現する

よく足を運ぶような好きなショップはありますか?

青山の〈CIBONE〉や木場にある〈CASICA〉、〈fennica〉も好きですね。福岡にある〈LIGHT YEARS〉というお店は、ラフィアやインディゴを使ったアイテムが並んでいたり、グラス類も豊富で自分好みのものが揃っているので、福岡に行ったときには足を運ぶようにしています。あとは、フリマやリサイクルショップ、旅先で買うことも。グリーンの高さだったり、ファブリックの大きさなどサイズ感も大事だったりするので、ネットはあまり使わず実際見て買うのが基本です。

大きな家具に比べて、インテリア雑貨は存在感のあるものが目立ちます。雑貨やグリーンなどの購入の決め手は?

お店で見て「いいな」と思ったら、買っちゃいますね! 直感で選ぶことが多いのかも。窓の近くに飾っているグリーンは、広島に本店のある〈叢〉で買ったもの。ユニークな観葉植物が多くて、一番背の高いサボテンは切った先に花を植えつけしてあるもので、見た目の存在感に惹かれ購入しました。お店の方と話すと手入れの方法も教えてくれるので、そういった会話も楽しいですね。

旅先ではどんなものを購入されるんですか?

マストで買うのが現地のマグネット(笑)。自分でももちろん買いますが、僕がマグネットを集めているのを知っている友人がお土産で買ってきてくれたりもします。冷蔵庫に貼っていますが、並び替えたりバランスを見ながら貼るのも楽しいんです(笑)。壁に貼っているファブリックは、国内旅行に行った際に買ったもの。本当はソファまわりで使おうと思ったのですが、サイズ的に合わず、壁掛け用にシフトしました。ウッドフレームに入っている写真は僕が海外で撮ったものです。サイズ違いのウッドフレームをいくつかまとめて壁掛けにしているのは、海外のホテルやカフェでディスプレイされているものにインスピレーションを受け、飾ってみました。

家で豆を挽いて楽しむコーヒーは至極の味。
穏やかに過ごせる部屋を作りたい

グリーンのお世話やコーヒーを淹れたり、お家での過ごし方も充実されてそうです。

家では映画を観たり、本を読んだり、ときどき料理をしたり。コーヒーは独学なのですが、豆から挽いて淹れています。豆を買うときやコーヒーがおいしいカフェに行ったときにスタッフの方に聞いたりして勉強中です。コーヒーを淹れたら、リビングのソファやテラスのチェアで飲むことが多いですね。気候のいい春や秋はテラスで飲む一杯が最高です!

この家に住み始めてから、以前よりも趣味が広がったので、お店に行ったときに見るものの幅が広がりましたし、人とのコミュニケーションも増えた気がしますね。コーヒーの淹れ方や植物の育て方だったり、専門の方に聞くと楽しくて。植物に興味を持ったら、花器にもこだわりたくなってきたり、お店に行ったときも「これよさそう!」と思う目線が変わってきたりして、自分の中で広がりを感じています。

芹沢さんが自分の暮らす部屋に求めるものはなんですか?

毎日帰ってくる場所だから、居心地よくストレスなく過ごせることが一番大切ですね。毎日遅くまで仕事をして帰ってくる部屋が、ごちゃごちゃしていたら余計疲れてしまうから(笑)。家具の色や素材を揃えたり、照明はオーダーして作ったものなのですが、灯りを少し暗めに設定しているのでのんびりと過ごせます。急に人を招くときがあっても、訪れた人が居心地よく過ごせるような空間が理想ですね。

広々として気持ちのいい空間を工夫しながら部屋作りをしている芹沢さん。生活感の出やすいワンルームも、その自由度の高さをうまく利用してスタイリングしているセンスとテクニックは見事です。ものひとつひとつに愛情を感じる、好きなものを盛り込んだお部屋は、いつまでもい続けたくなるような空間でした。今後どんなアイテムが増えていくのか、これからも楽しみなご自宅です。

小さな中庭をひとり占めできる
気持ちのいいワンルーム

練馬区にあるこちらの物件に引っ越してきた決め手はなんだったのでしょうか?

以前は会社になるべく近い、世田谷区に住んでいたんです。終電を逃しても歩いて帰れるような場所で便利だったんですが、6畳程度で狭かったんですね。僕はもとから洋服が好きですし、職業柄服や靴は増えていきます。そこで次の引っ越しのときは広さを重視しようと思っていたんです。この部屋は内見に行ったときに一目惚れに近い感じで気に入り、即入居を決めました。電車で20分程度で会社の最寄り駅に着きますし、そこまで不便を感じていません。それよりも、この抜けのある広々とした空間での暮らしに惹かれました。

ワンルームでの暮らしの魅力はどんなところですか?

初めてこの部屋を見たときに、家具がないこともあり、本当に広く感じたんです。この部屋は約13.8畳あり、今までの部屋から比べると倍以上の広さ。特にワンルームにこだわっていたわけではないのですが、仕切りを自分で作って自由にレイアウトできるだろうというのも魅力でした。足を踏み入れた瞬間に真正面に大きな窓があり、スッと抜けを感じる部屋で、外には小さな中庭がある。木々が生い茂っていて、そんな空間をひとり占めできるのもよかったですね。余談ですが、敷地内には桜の木が植わっているので、春はめちゃくちゃキレイです!

まさに理想のお部屋と出会えたんですね。この部屋に来てから、どのような変化がありましたか?

部屋が広くなったので、ものを置けるスペースが増えたのが純粋にうれしかったです。もとからものが多いほうなので、余裕ができたのがよかったですね。服以外にも、本や小物、マグなどを気兼ねなく買い集められるようになりました(笑)。しまいこむことなく、ディスプレイできるようになったのもうれしい変化です。部屋が狭くてものが多いと、ひたすらに窮屈さが出るし、ごちゃごちゃしてしまいますが、ディスプレイしてキレイに見せられるようになりました。友人を招くときも、スペース的に余裕がありますし、気持ちよく迎え入れられます。

ディスプレイできる空間があると、インテリアに関して興味が増してきて、民芸品や陶器、観葉植物など、いろんなものを見て回るようになりました。部屋を変えただけで、世界が広がったのもいい影響だなと思っています。

家具の選びや配置にこだわって
居心地よく過ごせるように工夫を凝らした部屋

では、ワンルームならではの部屋作りのコツはありますか?

先ほどもお話したように、ワンルームのいいところは、自分で暮らしやすいようにレイアウトできるところかなと思っています。リビング空間と寝室は分けたかったので、間仕切りを加えて、ゆるやかにセパレートさせています。僕は、立方形のラックを4つ組み合わせてソファとベッドの間に置いていますが、オープンな収納ラックなので適度に抜けが出て、圧迫感が出ないんです。ワンルームだと部屋全体が見えてしまうのがデメリットだと思うので、ベッドも低めのものを選びました。ラックの奥に作った寝室が一見、入り口から見えないようにしています。

窓に向かって抜けた空間だとより部屋が広く見える気がしていて、ベッド以外の家具もなるべく背の低いものを選んで、入り口から窓に向けて段々と低くなるようにセッティングしています。手前からハンガーラック、テレビやソファ、グリーンの棚と、段々と低く。

家具の配置の仕方もかなり考えているんですね! 家具はウッド調のものが多いですね。

大きめの家具はウッドベースでアイアンがアクセントになっているものが多いです。意識して選んだつもりはなく、単純に好きなものを選んだだけなのですが、自然と揃ってしまいました(笑)。こういった家具もリラックス感を演出してくれると思います。

なるほど。広いワンルームでも洋服などものが多いと収納にも工夫が必要になると思うのですが、なにかテクニックはありますか?

そうですね、そこはやはり見せる収納ですね。洋服は増える一方なので、カジュアルなニットやカットソー類は畳んで、スーツやジャケットなど吊るさないと管理が難しいものはハンガーラックに吊るし、なるべくダメージがかからないように収納しています。スーツにあわせて使うスカーフはシルクのものが多く、柔らかいので、クリップに吊るして管理しています。

見せてもいいものはディスプレイしながら収納。
使いやすさも抜群!

スニーカーの収納の仕方も可愛いですね!

ありがとうございます。スニーカーだったらコンパクトにまとめてもOKかなと。縦にして収納するとたくさん入るので、詰めこんでいます(笑)。でもシルバーラックの中にランダムに詰めた状態も見た目に可愛いので満足しています。これだと棚の下からラックを引き出したときに一覧でスニーカーがチェックできるので、選びやすいというメリットも。見せ収納は見た目もよくインテリアの一部になっていいですが、服や靴を選びやすいので実は実用的だなと感じています。出しっぱなしであっても頻度高く使うものなら、ほこりがたまることもあまりないので有効です。特に靴については、玄関がそこまで広くないので、スニーカーのようなディスプレイ収納を取り入れています。

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