引っ越しのきっかけは、
新たな家族を迎えるため
この家に引っ越した経緯を教えてください。
犬との暮らしをスタートするために引っ越しを決めました。犬と暮らすことが第一条件だったので、庭付きというのは大きな決め手に。リビングダイニングが広めの間取りだったこともポイントです。引っ越し前から犬を迎えることが決まっていたので、4軒ほど内見して急いでこの家に決めました。


築52年のマンションとのことですが、入居の際にリノベーションはしましたか?
実はまったく手を加えていません。こまかな仕様を決める作業が大変で、お互いこだわりも強い分、なかなか決まらない気がしたので、前の居住者の方がリノベーションされていた状態のまま購入しました。いずれ少しずつ手を加えていこうかなと思っています。
寝室とLDKを隔てるRの壁も特徴的ですよね。
珍しいですよね。壁沿いに家具が置きづらいという面はありますが、L字のLDKに一体感が出せたり、ものを置けない分すっきりとした空間を作れるのはメリットだと感じています。

“好き”を少しずつ重ねる住まいづくり
自宅づくりのテーマを教えてください。
“好きなものをなじませていくこと”です。今あるスペースに合わせてものを買うというよりは、出先で「これいいな」と思うものがあれば、直感的に家に迎え入れます。そして、家にあるものと組み合わせて新しい空間を作ったり、『私ってこういうのが好きなんだ』と家を眺めるのが楽しいです。

たしかに紗世さん宅はものに溢れていてワクワクしますね。
住んでいる人の好きなものが詰まった空間が好きなんです。収納家具が多い我が家ですが、戸がついたものは少ないと思います。しまい込むと持っていることを忘れて疎遠になってしまうので、なにがどこにあるかわかりやすいようにしています。
ものはたくさんある印象ですが、どこかすっきり見えるのが不思議です。
同じ種類のものをまとめて置いたり、できるだけ色味も意識して並べるようにしています。あと、ものが多いと逆に余白が目立ってしまうので、どの空間も同じぐらいの密度で並べることもポイントだと思います。

自宅の中で、特に気に入っている場所はどこですか?
備え付けの棚と、あとから買い足した棚をドッキングした飾り棚スペースです。下の棚は近所のリサイクルショップで購入したもの。徒歩10分の距離だったので、行けるだろうと夫と自力で家まで運んだのですが、ありえない重さで(笑)。10歩歩いて休憩を繰り返してようやく到着。苦労した分、思い入れがあります(笑)。

置いているアイテムにはどんなストーリーがありますか?
特に思い入れがあるのは、木製のチューリップ。新婚旅行のオランダで見つけたもの。色とりどりでもっと買っておけばよかったなと思うほど気に入っています。

あとは、友人との思い出が詰まったアイテムも多いです。ティッシュケースは誕生日に友人たちにおねだりして、買ってもらったもの(笑)。幡ヶ谷にある雑貨屋さん〈BULLPEN〉で見つけました。

家族の思い出スペースには、前の家で友人のイラストレーター・ハマダユウヤ(@yuyahamada_illust)が描いてくれた、私と夫の似顔絵も飾っています。

そのほかにも、クレーンゲームの景品やマクドナルドのハッピーセットのおまけなど、我が家にあるものたちの来歴は様々。あまりものを減らすことはせず、できる限り長く置き続けるようにしています。
本もたくさんありますよね。どのように管理していますか?
本はどんどん増えるので、好きな作家のものは購入、初めて読む作家は図書館で借りて試すようにしています。読み返さない本は手放すようにして、ジャンルごとにざっくり整理。派手な表紙のビジネス書は、視線に入りにくい棚の下段にまとめています。

ホッと落ち着く、
木の家具に包まれて
家具はどのようなものが好きですか?
北欧の家具や日本のラタン家具にも惹かれます。木の色味は明るすぎず暗すぎない、家の内装となじむ中間色でそろえるよう意識しています。
〈FUNagain〉で購入したラタンのベンチとチェストは、編み目のデザインがかわいらしくて、とても気に入っています。我が家には自然素材を編んだものが多く、かごはもちろん、ダイニングの大きなペンダントライトもそのひとつです。



〈TOKYO RECYCLE imption〉で購入した、〈日進木工〉のダイニングテーブルは前の家から愛用しているもので、丸型で囲みやすく、最大10人は座れます。友人を招いてごはんを囲む機会も多く、たくさんの思い出が詰まっています。

たくさんのものに囲まれながら上手に暮らす、紗世さんのコンパクトライフ。後編では、愛犬との暮らしで生まれた住まいの工夫や、人を招くキッチンづくり、空間を広く感じさせるレイアウトのコツなど、コンパクトな住まいをより充実させるアイデアをご紹介します。ぜひお楽しみに!