長年培った審美眼で時代も国も自在にミックス!センスのいい、マテリアル好きの住まい(後編)

リラックスできるベッドルームには、
お気に入りのマテリアルを取り入れて

ベッドルームの空間作りで心がけていることを教えてください。

リビングやダイニングと比べて、ベッドルームはナチュラルなイメージを心がけました。抜け感を作ることを大切に、壁はもので埋めすぎないようにしています。ベッドルームで唯一飾っているのが、友人のアーティスト〈E-WAX〉の作品。これは去年、〈YOSHIMI NAGAO by STYLE & EDIT〉と〈CITY SHOP〉のコラボTシャツを作るときに使わせてもらった思い出の写真で、自分への誕生日プレゼントに購入させてもらいました。

ベッドリネンはどのようなものを選んでいますか?

〈H&M HOME〉で購入したシーツと掛け布団カバーに、ヴィンテージショップで見つけた藍染めの布をかけています。〈H&M HOME〉のリネンファブリックはお手頃な値段で、充分可愛いものが揃っています。日本に実店舗はありませんが、オンラインで気軽に注文できますよ。

ついつい好きで集めがちなインテリアはありますか?

私は生粋のマテリアル好き。ベッドに置いている〈A.P.C.〉の大きなキルトクッションや、リビングに置いている〈TORO Vintage Clothing〉の〈MissoniHome〉のクッションのような、おもしろい生地のアイテムはついつい手に取ってしまいがち。服も家具もマテリアルから手に取って、好きだったら使える方向をどうにか考えます。

自分だけのヴィンテージを取り入れて、
お気に入りを長く愛せる、素敵な大人に

ベッドルームのアクセントになっているラタンラックは、どこで購入したものですか?

リビングテーブルと同様、大阪に店舗がある〈Want Antique life store〉で購入しました。引っ越すタイミングがちょうど自粛期間中だったので、家具はほとんどオンラインで購入。〈Want Antique life store〉はメンテナンスも行き届いていて、オンラインショップでも写真を細かく載せてくださっているのでおすすめです。

ジュエリーやデニムなど、見せる収納術も素敵です。

時間のない朝でもパッと身につけられるように、よく身につけるデニムやジュエリーは今の気分のものを厳選してラフに置いています。あまり使わないものは、蓋つきのケースや引き出しに入れて収納。ジュエリーコーナーに置いている鏡は、ひとり暮らしをはじめた18歳の頃から使っているもので、札幌のインテリア家具屋で購入しました。少しずつヴィンテージのような風合いに育ってきています。

ジュエリーはどのようなものを身につけていますか?

友人のブランドや旅先、ヴィンテージショップで出会ったものが多いです。ジュエリーで増やすものといえばピアスぐらいで、その他のものはあまりコロコロ変えないタイプ。肌の一部になるくらい、ずっと同じものを身につけている人ってかっこいいなと思うんです。ファッションもインテリアも、名作は好きですが、それだけだとつまらない。高い安いじゃなくて、そのときの思い出も含めて長く愛せるものを選んでいます。

ファッションとインテリア、長尾さんならではの共通するスタイルはありますか?

年代やブランドに関係なく、マテリアルのミックス感を楽しむのは、私のスタイルのひとつかもしれません。「~系」、「~テイスト」と括られるのはなんだか嫌いで……。仕事柄、海外のクリエイターさんたちのご自宅へお伺いできる機会もあるのですが、みなさん本当に好きなものに囲まれていて、暮らす人それぞれの心地いいと思うリズムが部屋にしっかりと宿っていることを肌で感じました。道端で拾ってきたガラクタのようなものでも、その人が好きだと思えばそれがとても素敵だったりする。そんな生きていく暮らしのセンスみたいなものに憧れます。

生活を豊かにしてくれるアートや植物は、
いつでもそばに

部屋のどの空間にも植物を飾っていますが、取り入れる上でマイルールはありますか?

花は生花を飾るようにしています。ドライフラワーは捨て時がわからず、知らぬ間にカビの胞子がついてしまったり、ズボラな私には向いてないと思って(笑)。また、観葉植物も欠かせない存在。最近迎え入れたのは、〈THE LITTLE BAR OF FLOWERS〉でひと目惚れした、カラテアオルナータカンデリアーナという植物。夜は葉が閉じて、朝になるとまた開く。生きている感じがとても気に入っています。

玄関まわりはどのようなインテリアにこだわりましたか。

ひとり暮らしにしては大きめの玄関。玄関ドアの正面にある棚はできるだけすっきりとディスプレイしたいので、ひとつでもインパクトのあるアートを飾っています。中央に置いたのは、ルーマニアの彫刻家・ブランクーシの『The Kiss』という作品のリプロです。

ご自宅にはアートも多いですね。

純粋にアートは好きで、ものを見る力を養うためにも普段からミュージアムへ出かけたりすることも多いです。特に思い入れがあるのは、もともと持っていたステラ・マッカートニーの母、リンダ・マッカートニーのポストカードを大江戸骨董市で買った額に入れて、私のパートナーにメッセージを書いてもらった創作アート。スペイン語で『人生は急がなくていい』、そんな意味の言葉をもらいました。

長尾さんにとって自宅とは、『自分の素になれる場所』。だからこそ、いつもそばには家族のように愛せるものを。それは1点もののヴィンテージオブジェだったり、海外に出かけたときに出会ったアートだったり、名作と呼ばれる家具だったり……。時代も年代も問わない様々な背景を持ったものたちが、長尾さん自身の思い出によって心地よい一体感を生み出していく。自分が好きなものをミックスすることではじめてスタイルは生まれ、自分の目でものを選ぶことは純粋に楽しいことなのだと気づかせてくれる、そんな素敵なご自宅でした。

季節で移り変わる窓の景色を背景に、
異素材をミックスした、哲学のあるリビング

今の物件を選んだ決め手は何でしたか?

ひとり暮らしサイズの物件では珍しい2面のバルコニーが大きな決め手となりました。2月末に内見したときは、ちょうどお向かいの立派な梅の木が咲き乱れていて、夏も緑がとても豊か。実際に住んでみて日差しもたっぷり入るし、風通りもよく非常に気に入っています。

リビングの家具選びではどのようなことを意識しましたか?

日本の量産的な住宅の床、壁、天井のマテリアルでは、外国のお家のようにおしゃれな空間をつくるのはどうしても難しいもの。そこで私の場合、茶色い木素材の家具をできるだけ減らすることで、ほっこりしない部屋づくりを心がけました。そうすることで、もともとある内装の木の温かみもより活かせると思ったんです。わが家の白いリビングテーブルは石のようにも見えるのですが、実は木製。これならば軽いし、木でもナチュラルなイメージにはならないと思い、大阪のヴィンテージショップ〈Want Antique life store〉で購入しました。天板がスライドできる仕様でひとりのときは半円に、人を呼ぶときには全円にもできて便利。このリビングテーブルをはじめ、家の家具は引っ越しを機にすべて一新。ほとんどがリサイクルショップやヴィンテージショップで買い換えた一点もので、人と被らないところも気に入っています。

仕事ではバイヤーとして売り場という空間を一から作り上げている長尾さん。自宅のリビングはどのように組み立てていきましたか?

まず最初に、大きい家具をどうするのかを考えました。あとは、部屋のなかでアクセントになるものを決めて、そこを軸にバランスよく組み立てていく。わが家のリビングのポイントになっているのが、フランスの家具メーカー〈Ligne roset〉のシリーズ〈TOGO〉のピンクのソファ。これは自分でも意外なチョイスだったのですが、新宿髙島屋でひと目惚れをして、無理を言って展示品をお買い得に購入させてもらいました。ものをバイイングするときは、このような思い切りもときには大切だと思っています。実際置いてみたところ、高さが低めなのでわが家のようなひとり暮らしサイズの狭い家でもちょうどいいサイズ感でした。リビングはこのソファに合わせて、基本的にプリミティブなものや無機質なものを合わせています。

好きなものが多くても、飾りすぎない。 
“見せる”と“隠す”の心地いいバランスを守る

家の中で一番気に入っている場所はどこですか?

リビングの腰掛窓にぴったりとしつらえてもらったディスプレイ棚です。友人の小見山ユリさん(@komfort_space)に相談して、賃貸でもできるDIYを施してもらいました。もちろん、壁には全く釘を打っておらず、ただ立て掛けている状態。棚を置くという手もあったのですが、それだと狭い空間がより狭くなってしまうので出窓風の棚にDIYしてもらいました。一緒にホームセンターに行ってじっくり悩んだのもいい思い出です。

DIYした飾り棚にはどのようなものを並べていますか?

旅先で見つけたものや骨董市、ヴィンテージショップで購入したお気に入りのものを並べています。例えば、写真のオレンジの花瓶は骨董市で購入したもので、日本の80年代のデッドストック。花瓶でも、ちょっと変わった形や色のものをひとつ置くことで一気に空間がアートに映えますよね。

ものを飾る上で自分なりのルールはありますか?

“心地いい量を守って置き過ぎないこと”。バイヤーという職業柄、ものが好きですし、見つけるのも得意。なので、部屋がもので溢れないようにいつも心がけています。決して究極のミニマリストになりたいわけではないのですが、眺めがごちゃごちゃしているとやっぱり気疲れてしまうので、自分なりの心地いいバランスを大切にしています。棚に置くものはその時々の気分や、季節ごとに変わる窓の外の景色で少しずつ模様替えをしながら楽しもうと思っています。

家のなかでも特にリビングはすっきりとしていますよね。リビングの収納はどのように工夫しているのでしょうか?

リビング奥の死角になっている凹みには、〈東京リサイクル〉で見つけた壁にぴったり沿う三角形のアメリカのヴィンテージ棚を置いて、本やルームスプレー、スピーカーなどを収納しています。仕事で使う書類系や郵便物など細々したものは、収納力もデザイン性も高い〈ボビーワゴン〉にしまっています。

DIYの収納棚ですっきり使いやすい、
機能性を重視した、1畳半のキッチン

キッチンづくりで特にこだわったことはなんでしょうか?

キッチンは作業をする場所なので、何より機能性を重視しました。このスペースも友人の小見山ユリさんに相談して、〈ニトリ〉などで購入できる便利グッズも取り入れながら、主婦ならではの視点で動線のいい空間に整えてもらいました。

生活感の出やすいキッチンでは、どのように収納を工夫しましたか?

キッチンは1畳半くらいのとてもコンパクトな空間。わが家にはもちろんパントリーがあるわけでもないので、デッドスペースを活用して天井下にDIYの収納棚を付けてもらいました。突っ張り棚をつけて、見える側面は目隠し用の木の板でカバー。掃除用具やタッパーなど、生活感のあるものをしまっています。下からS字フックを吊るして、布巾などをかけられるのも便利なポイント。キッチンは引っ越してからとても使いやすくなったので、自然と料理をする回数も増えました。

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