発想が軽やかに広がる、暮らしながら働く家時間
【ZUCKさんのコンパクトライフ 後編】

ZUCKさん流仕事がある日の過ごし方

1日中、家で仕事をしているというZUCKさん。どのように時間を管理していますか?

僕は集中力が続かないタイプなので、時折家事や休憩を挟むことで気分を切り替えられるようにしています。午前中は、洗濯や掃除を挟みながら仕事。昼食後は、コーヒーを淹れるのが日課なのですが、それをデスクに置くことで仕事モードに切り替えています。15時になったらおやつを食べて、夜19時ぐらいになったら、夕飯の買い出しへ。晩ご飯はその日食べたいものを作ると決めています。夕飯が毎日のモチベーションになるし、食材をまとめて買うことがほぼないので、食材のロスも出にくい。10年ぐらい基本的にこのルーティンで過ごしていて、学生の頃も課題などは学校や外に出てやるよりも、家に籠ってやるタイプでした。

長時間のデスク作業を乗り切るために工夫していることはありますか?

デスクチェアを〈Herman Miller〉のアーロンチェアに変えてから、長時間座りっぱなしでも疲れにくくなりました。なかなか値が張るし、サイズ感も大きめだったので、買うかずっと悩んでいたのですが、思い切って購入してよかったです。デスクは抜けのいい大きな窓に面して置くことで、いつも気持ちよく仕事ができています。

仕事場は夫妻共有のスペースなのだとか。

コロナ禍になってから妻も家で仕事をするようになり、基本的に平日はずっと同じ部屋にいます。意外と一緒に過ごしている方が喧嘩もしなくなりましたね。

快適に仕事をするための収納事情

デスク周り、非常にすっきりしていますね。

最近はiPadでイラストを描くことが多くなり、スケジュールも基本デジタルで管理しているので、以前はパソコン周りに付箋などを貼ったりしてごちゃごちゃしていたのですが、今は結構すっきりしています。デスク上はものが少ない方が作業も捗る気がします。

画材で絵を描いたり、粘土を使って工作するときは、メインデスクの隣に置いている〈無印良品〉の折りたたみ式テーブルを作業場にしています。テーブルの正面に飾っている袋は、渋谷ヒカリエでバレンタインデーの催事をやっていたときに出会った、フランスの〈Au Chat Bleu〉というチョコレート屋さんの袋です。気の抜けた“雑かわいい”猫のテンションにグッときました。

隣の本や参考資料をしまっている〈無印良品〉の棚には、お気に入りのオブジェたちも飾って楽しんでいます。

デスク周りで使っているおすすめの収納グッズを教えてください。

デスクの下に置いている〈BISLEY〉のキャビネットは、細々したものを収納するのに重宝しています。引き出しの高さが3段階あるので使いやすいです。引き出しの中は〈無印良品〉のクリアボックスを入れて取り出しやすく収納しています。

“好き”を養う、お気に入りの雑貨たち

自宅の中で特に気に入っている場所を教えてください。

リビングのタンスの上にはいろんな土地で出会ったものを置いていて、眺めては楽しんでいます。

コーヒー豆がモチーフの煙だし人形は、以前カレー屋さんで置いているのを見てから、ずっとほしいなと思っていて。調べたらドイツの田舎町・ザイフェンで作られているものだと判明。新婚旅行で訪ねて、やっとの思いで手に入れました。中にお香をセットするとコップから煙が出てくる仕様です。

イタリアの建築家・エットーレ・ソットサスが作ったフラワーベースも、色合い、造形ともにお気に入りです。

ZUCKさんが作ったものもそこかしこに混ざっていますね。

工作も好きなのでちょこちょこ作ったら飾っています。例えば、仕事部屋にいる山下達郎人形は、『COZY』というアルバムのジャケットに写っている「COZY人形」がどうしても欲しくて自分なりに再現して作りました。暇になるとCOZY人形を作っていた時期があって、4体目でとりあえず完成しましたが、次は陶器などでも作ってみたいです(笑)。

ずばりZUCKさんにとって、家とはどのような空間ですか?

昔からずっと家で仕事をしていることもあって、家は自分の一部です。自分が膨張して、家自体が“でっかい服”になっている、そんな感覚です。

仕事、家事、くつろぐこと、そのどれもがボーダレスなZUCKさんの暮らし。好きなインテリアを眺めているとき、おいしいごはんを食べているとき、本を読んでいるとき…。仕事のアイディアは、デスクに座っている時間だけではなく、もっと暮らしに近い日常に潜んでいることも。どこか安心感のあるZUCKさんのイラストは、実家のように飾らない自分でいられる、そんな住まいから生まれていました。

前編では、この家に引っ越した経緯や、コンパクト物件ならではの暮らし方の工夫、好みのインテリアについてご紹介しています。ぜひ前後編合わせてお楽しみください。

視覚に開放感を。オンオフをゆるやかに切り替える2LDK

今の物件に決めた理由を教えてください。

フィーリングと言ってしまえばそれまでなのですが、今の家は内覧したとき、すぐいいなと思いました。『ここが気に入った!』というよりは『嫌なところがあまりない』という印象。窓から手前のマンションが見えるものの十分距離があるので抜けも良く、自然光もしっかり入ります。あと、賃貸マンションにしては珍しい天井付けタイプのカーテンレールがついていて、広々感じられるのも気持ちがいいです。

コンパクト物件で暮らす上で、スペースづくりの工夫を教えてください。

仕事柄、1日中家にいることが多いので、うまく気分転換できるようにリビング、仕事部屋、寝室にはそれぞれ違う色のパンチカーペットを自分たちで施工しました。とても根気のいる作業でしたが、今となってはいい思い出です(笑)。部屋ごとに一面床を同じ色にすることで、空間が広く感じられている気がします。

実家感が心地いい、個性が滲み出るインテリア

自宅作りのテーマを教えてください。

これといったテーマは特にないのですが、2人が良いと思ったものを置くようにしています。私も妻も、わかりやすくおしゃれなものにはあまり興味がなくて、生活感を感じられる、どことなく“実家っぽい感じ”を目指しているのかもしれません。ジブリ映画の『耳をすませば』に出てくる、主人公・雫の家のような、ものが多くてがちゃがちゃしている空間が好みです。

インテリアはどのようなものが好きですか?

感覚的に選んでいるので言葉で表現するのが難しいのですが、しっかりとした造りだけど、見た目はやや “ちゃちく”見えるものが好きかもしれません。我が家にはおもちゃやぬいぐるみもたくさんあるのですが、ほっこりはしない、ギリギリかっこいいラインが好きです。パッと見たときのキャッチーさや親しみやすさに加えて、ちょっと影があるような。自分が絵を描くときも同様の感覚を意識しているかもしれません。

空間作りでは、ベーシックな大きな家具に、ビビッドな小物を合わせるのが好きです。例えば、ダイニングのアクセントになっている丸い鏡。これは、下北沢の古着屋〈FILM〉と幡ヶ谷の古着屋〈PALETOWN〉のコラボ店〈F.Pマート〉で見つけました。古いアメリカのものだと思います。ダイニングに吊るしている緑のライトはデンマークのガラスブランド〈HOLMEGAARD〉のもので、北欧ヴィンテージを扱う〈ten kara ten〉で購入。内側は乳白になっていて、ぼんやり灯る感じもかわいいのです。

特に思い入れのある家具を教えてください。

北欧家具のヴィンテージショップ〈talo〉で見つけた、〈altek〉のダイニングテーブルは青の色味も綺麗で気に入っています。当初はaltekの赤のラウンドテーブルを探しに行ったのですが、なかなか状態の良いものがなく諦めていたところ、ブルーのテーブルが目に留まりました。悩んで店員さんに相談したところ、奥からより状態の良いものを出して下さったのでそれに決定。天板はツルツルのラミネート加工が施されていて、傷はあるものの比較的状態が良く、テーブルを布巾で拭く度に、前のオーナーさんが綺麗に使ってくれていたのだなとありがたく思います。新しいものも好きですが、こういう昔の人が丁寧に設計して、長く使えるいいものにも惹かれますね。

どこを見てもカラフルなご自宅。はっきりとした色が多い印象ですが、空間をまとめる上で工夫していることはありますか?

僕も妻も普段から色を扱う仕事なので、自分の好みの色はわりとはっきり把握しています。なので、好きじゃない色はそもそも買わないことは意識しているかもしれません。我が家にはコテコテな色が多いですが、自分の好きな色同士ならけっこう相性がいいように思います。

キッチンでもかわいいものと戯れる

家で過ごす好きな時間を教えてください。

平日は、夕食後に必ずコーヒーを淹れて、Netflixなどを見ながらくつろぐ時間が好きです。休日は、出掛けることが多いのですが、たまに夕方から夜にかけて、だんだん暗くなるリビングで電気をつけずに一人で映画を見続ける時間も好きです。妻に見つかると目が悪くなるからと電気をつけられてしまいますが(笑)。

キッチンも他の部屋と同様、ビビットな空間ですね。

キッチン道具もひとつひとつ好きなものを揃えています。コーヒーのグラインダーやペーパーホルダーなど、古いものならではの柔らかさがありつつ、シュッとしたかっこよさもある、そんな古い工業製品のようなものが好きです。その他にも、イラストレーターの100%ORANGEさんからフリマで購入したバナナの鍋敷きや、フィンランドの老舗ブランド〈アーリッカ〉の雫のような形がかわいいチューリップもお気に入りです。

冷蔵庫の扉は個性的なマグネットで上から下までみっちり!賑やかなコーナーですね。

自分で作ったものや、旅先で買ったもの、拾ったものなどいろいろ混ざったお楽しみコーナーです。よく目に留まる上段には特に好きなものを選抜。なかでも、4人組バンド〈Homecomings〉のオリジナルグッズで制作したマグネットはお気に入りです。

完璧に整えられた統一感のある家には出せない、生活感と個性が滲み出るZUCKさんの正直な住まい。後編では、仕事場も兼ねているお家での過ごし方について詳しくお届けします!

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