簡易DIYと身近なもので工夫する、
ものに満たされた夫婦の住まい(前編)
床面積53㎡のコンパクトなマンションの一室には、洋服や靴などのファッションアイテムをはじめ、趣味のものや思い出の写真が空間を隙間なく埋め尽くしています。この賑やかな2LDKの住まいはファッションデザイナーとして活躍する郡司杏さんと、同じくアパレル業界で働く旦那さんのご自宅。結婚を機にここで住み始めること6年目。たくさんのものに囲まれながら夫婦仲良く住まう、その快適な部屋作りの秘訣をお聞きしました。
趣味に没頭できる穏やかな時間は、
好きなものが集う日当たりのいいリビングで
リビングは全体的に甘くなりすぎない、ユニセックスな雰囲気ですね。
夫婦2人とも居心地よくいられるようにマニッシュだけど、温かみのある雰囲気を目指しています。ものが多いので、シルバーやグレー、白をベースにすっきりとさせて、木の質感で温かみのある色を挿しています。
かっこいいDJブースも印象的です。
音楽は夫の趣味で、DJブースは板を買ってきてDIYで作っていました。レコードもざっと3000枚以上はあります。夫がレコードをいじっているときは、私はキッチンで料理をしたり、お互いの趣味を楽しみながら空間を共にする、そんな穏やかな時間を大切にしています。
ご夫婦2人の共通の趣味はありますか?
この物件は日当たりがよかったので、引っ越してきてからお互い植物を育てる趣味ができました。夫婦2人でお世話をしていて私たちの子どもみたいな存在です。元気がないときは夫と一緒にどうすればいいか本やネットで調べたり、「大きくなったね」と話をしながら、大切に育てています。
リビングはたくさんのものに囲まれた賑やかな空間ですね。
自分の視界に入るところすべてが好きなもので満たされているととても幸せで、ありとあらゆる隙間をついつい埋めたくなってしまいます(笑)。リビングでは主に植物やアート、オブジェ、思い出のものなどを飾っています。ものが多い分、本当に今必要なものなのか見極めるためにも、家の中のディスプレイはちょこちょこ変更。普段から使い勝手がいいように配置を考え直すのも、結構楽しかったりもしますよ。
もの選びについて、普段から心がけていることを教えてください。
欲しいものはたくさんありますが、自分が手の届く範囲で背伸びをしないもの選びをすることは意識しています。ただそれはその場しのぎで安い量産品を買うのではなく、自分が好きなものをきちんと選んでいます。よく買うのは、〈steef〉という祐天寺の古着屋さんのセレクト雑貨や、革ブランド〈irose〉のもの。そのほかにも、リサイクルショップやヴィンテージ店で買い物をすることも多いです。
また、最近ではいいものを少しずつ集めたいと、様々なブランドの名作たちを揃え始めました。例えば毎日何度も目にするリビングの時計は、デンマークの〈ARNE JACOBSEN〉のものを。クラシカルで飽きのこないデザインで、その機能美に惚れ惚れします。あと、家で仕事をすることが多いので、仕事場の一脚の椅子はハンス・J・ウェグナーの代表作Yチェアにしました。やっぱり仕事をしていても気分が上がります。
光が差し込み、自然物にパワーをもらう、
一日をよいものとするための癒しの寝室
寝室は白が基調のすっきりとした空間で、リビングとはまた違った雰囲気ですね。
寝る場所だから落ち着けるように極力ものは置きません。また、部屋で香りを使い分けることも暮らしにメリハリをつけるポイント。寝室では安眠のために〈Aesop〉のシトラス系のルームスプレーを使い、目覚めにセージを焚いています。
カーテンが一部分だけ短く設計されているのはなぜですか?
窓辺に優しい朝日が差し込むようにするためです。カーテンは一枚の布の上部に糸を通して吊るしているだけの簡単なもの。窓際は好きなものを置いて楽しめるお気に入りの場所で、植物や海で見つけた石や貝殻を飾っています。自然物って本当に美しくて、普段洋服を作る上でもとてもいい影響を与えてくれるんです。
壁にはいろんなものを飾っていますね。
壁に張ることで、日頃から大切な思い出を振り返ることができるんです。私たち夫婦の写真や友だちがくれたポストカード、海外へ行ったときに買った絵、思い出のライブの入場シールまで。思い入れがあるものはなんでも捨てられない性分です。
ご夫婦揃ってアパレル関係のお仕事だと洋服の量は特に多いですよね。洋服の収納について工夫していることがあれば教えてください。
衣替えを頻繁にしながら、着る服と着ない服の整理をしています。シャツやコートはクローゼットに掛けて、パンツやニット、その他のものはとにかく畳んで収納しています。
寝室にはアイロン台が常時セッティングされていますね。
毎朝、その日着る服はアイロンをかけて着るのが日課です。Tシャツもスウェットもニットも、どんな服でもすべてかけます。畳みジワは気にならないし、なにより着心地が最高で一日を気持ちよく始めることができます。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Kousuke Matsuki / Text : Runa Kitai