“がんばらない”を味方につけた、
ズボラでも整う、ごきげんな部屋作り(後編)
“〇〇風”という言葉では一概に表現できない、編集者・安達薫さんのご自宅。スタイルが主役ではなくて、自分の気持ちから暮らしを紡ぎ出すように。ストイックすぎず、がんばりすぎない。やさしい空気が漂う安達さんのお部屋から、自分の気持ちに正直に暮らすヒントをご紹介します。
木の柔らかさとメタルの無骨さで、
甘くなりすぎないキッチン&ダイニング
すっきりとした造りのキッチンは使いやすそうで、見た目も素敵です。
この物件を選んだ決め手のひとつにリビングから眺めたキッチンの景色があります。朝は毎日ここでコーヒーを淹れるのが日課です。
真っ白なキッチンに、スタイリッシュなキッチン棚やバスケットがよく映えますね。
大きなスチールシェルフは〈メタルシステム〉のものです。シンプルなデザインで、かつ耐久性もバッチリ。そこに合わせたのが〈無印良品〉のステンレスワイヤーバスケット。比較的安価ながらシンプルで機能的で、積み重ねて収納できるのも嬉しいポイント。大きさのバリエーションもあります。
キッチンカウンターに活けられているお花も素敵ですね。安達さんにとって花を飾ることはどのような意味を持ちますか?
忙しいときや心が疲れているとき、スイーツを食べて甘やかすのもいいけれど、それは少し罪悪感を感じてしまうので、私はお花を飾っています。写真の花瓶はタラベラ焼きという焼き物で、メキシコの歴史ある窯元〈URIARTE〉で職人さんがひとつひとつ焼き上げたもの。メキシコ出張へ行った際、作られるその工程までを見学して一目惚れをして連れて帰ってきた思い出の品です。
コンパクトな部屋に住むとなかなか確保できないのがダイニングスペースですよね。
そうですね。ダイニングテーブルは10年以上愛用しているイギリスの〈ERCOL〉のもので、1~2人にちょうどいいコンパクトなサイズ感で重宝しています。最近同じく〈ERCOL〉のロッキングチェアも迎え入れました。
大好きを追求したらたどり着いた、
コーヒー道具とマグカップコレクション
安達さん、大のコーヒー好きなんだとか。
そうですね。雑誌でコーヒー特集の編集を担当してからどっぷりとハマってしまい、今ではすっかりコーヒー中毒者です(笑)。起き抜けにまずコーヒーを淹れるのが朝のルーティーン。両親ともにコーヒーが好きで、実家の朝もいつもコーヒーの香りが定番でした。
コーヒー道具や豆はどのようなものを使っていますか?
コーヒーメーカーはワークショップで教えていただいた〈ケメックス〉のものを使っています。美しい〈ケメックス〉でコーヒーを淹れる時間も大好きなんです。私が使っているハンドブロウタイプは、手吹きならではのフォルムとガラスの質感が気に入っています。豆は毎日ハンドミルで挽いていたこともありましたが、最近は〈カルディ〉や〈成城石井〉など気軽なお店で挽いてもらったものを。こだわりすぎないことも長続きの秘訣ですね。
マグカップもたくさん持っていらっしゃいますね。
毎朝のコーヒータイムの楽しみについつい増えてしまいました。旅先で購入するものも多く、ブルックリンのフリーマーケットで作り手さんから購入したハンドメイドのものや、リサイクルショップで「可愛い!」と一目惚れした0.99ドルのマグなど。一瞬のときめきに任せて買ったものでも、長く使っていくうちに思い入れや愛着が湧いてきます。
ほぼ隙間なく、みっちり整頓することで、
大好きな趣味の空間を作る
キッチンと同じメタルシェルフを寝室にも置くことで、家全体に統一感が出ますね。寝室のメタルシェルフは特に効率よく整頓されているように思います。
こちらの棚にはぎっしりと、ほぼ隙間なく収納して整えています。寝室のメタルシェルフには、バンカーズボックスやクリアケースを使って、洋服や仕事の書類を。中途半端に空いた隙間にはぴったりとハマるものを置いています。気に入っている可愛い箱や書類、文庫本、オブジェなどがぴったり。
上段にはパズルのようにカゴが積まれていますね。
軽いから落ちても危険ではないだろうと、棚の一番上はカゴ置場にしています。カゴは日本をはじめ、台湾やメキシコなど様々な旅先で手に入れたものも。その土地土地により素材もデザインも違っていて、とても魅力的。ついつい集めてしまいます。
ついつい集めてしまうものは他にもありますか?
最近はマグカップや箱、カゴの他に、本屋のトートバッグ、クマも増えています。集めているつもりはないのですが、好きだと無意識のうちに集まっています(笑)。気に入っている選抜メンバーは部屋の見えるところに飾って、その他のコレクションはクローゼットで大切に保管しています。
コンパクトな家に住んでいるけれど、できるだけ断捨離せずに好きなものに囲まれながら暮らしたい。面倒な片付けはしなくても、部屋はいつもほどほどに整っていたい。やりたくないことはしなくてもいい、そのための工夫を考える安達さんの暮らしはのびのびと軽やかで、ごきげんな鼻歌が聞こえるようでした。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai