古い家具が教えてくれる、
心豊かなスローライフ
【Sakuraさんのコンパクトライフ 前編】
幼い頃から欧米のレトロカルチャーに深く影響を受けてきたSakuraさんの住まいは、ほどよく味のある築35年のマンション。2LDK、60㎡の部屋には、ミッドセンチュリー家具やポップアート、レコードがうまくミックスされ、渋くノスタルジックなムードが漂います。前編では、この家に引っ越してきた経緯やインテリアの好み、意外な買い物の仕方やワークスペースについてなど、詳しくお届けします。
白で統一された、
自由度の高い住まいへお引っ越し
今の物件に引っ越した経緯を教えてください。
この家に住む前は築60年ほどの団地で暮らしていました。古い建物だったので冬の寒さが厳しく、去年の秋に引っ越そうと決意。今から3ヶ月ほど前に、この物件へ引っ越してきました。今の家は、南向きで日当たりもよく冬でもちゃんと暖かいです。また、内装が気に入っているので、インテリアを考えるのも楽しくなりました。
内装はどんな点が気に入りましたか?
特にいいなと思ったのは、私の部屋とリビングを仕切る、半透明の引き戸。仕事中は閉めていても圧迫感がないし、普段は開け放つことで広々感じられて快適です。あとは、窓枠や巾木などが、白で統一されていたり、建具がシンプルなデザインだったり、自分たちが持っている家具とも相性がよく好印象でした。
ヴィンテージ家具は、
出会いから楽しむ
インテリアはどのようなものが好きですか?
ミッドセンチュリーモダンやスペースエイジのインテリアが好きで、我が家の家具は50年代アメリカのものが大半を占めています。インテリアの趣向は両親の影響が大きく、幼い頃からこの時代の家具を愛用していました。
例えば、普段ライトとスピーカーを置いているサイドテーブルは、1953年〜1954に作られた、アメリカの家具メーカー〈HEYWOOD-WAKWFIELD〉のもの。『ステップエンドテーブル』と呼ばれる上下段からなる独特なデザインで、足の曲線美もたまりません。この時代の家具はクリエイティビティに溢れていて、使う楽しみがあります。
一方で、夫は装飾性のない無機質で比較的新しいインテリアも好み。お互いが居心地よく過ごせるよう、部屋全体は古くなりすぎず、新しいものにもかたよりすぎないよう心がけています。
特に思い入れのある家具をひとつ教えてください。
5年前、一人暮らしをしていた頃、たまたま入った早稲田の中古家具屋さんで一目惚れした、ガラス戸のサイドボードです。どうしても早く持ち帰りたくて、見つけた当日、自分で赤帽を手配して家まで輸送したのはいい思い出(笑)。ガラス戸をショーウインドーに見立てて、好きな写真集や画集を飾るのが好きで、気分で入れ替えています。棚上には、まだ現役で使えるレトロな電話や、よく使うアクセサリーを古い灰皿に入れて飾ったりしています。
家具はどこで購入することが多いですか?
以前は目黒の家具通りへ行くことが多かったのですが、ある日、いつもオーディオ機器を探しに行くリサイクルショップで家具エリアを覗いてみたところ、けっこうなお宝たちが眠っていて。それから、リサイクルショップを日々パトロールするようになりました(笑)。自分の審美眼を信じてじっくり探す時間や、意外なものに出会えたときの喜び、そんなアナログな買い物が楽しいのです。ちなみに、都内最大級のハードオフ八王子大和田店が私の行きつけです。
コンパクトハウスでのデスクワークにぴったり!
一人二役のヴィンテージ家具
お仕事は完全にリモートワークというSakuraさん。どんなデスクを愛用していますか?
デスクと戸棚を掛け合わせた『ビューロー』と呼ばれる家具を愛用しています。真ん中の天板を引き出せば、デスクになる仕様。収納力もばっちりなので、スペースに余裕のないお家でも取り入れやすいと思います。私が使っているのは、60年代スウェーデンの〈Brantorps Mobelfabrik〉のもの。両親から結婚祝いにもらった思い出の家具です。持っているモニターを置いてみたら、たまたまぴったりでした!
ちなみに、ワークチェアは自分で座面や脚、ファブリックを組み合わせてカスタムできる〈イトーキ〉の「vertebra03」。デザイナー・柴田文江さんが手がけた素敵なデザインに一目惚れし、1ヶ月前に導入しました。
デスクの上に置いている機械は何ですか?
今でも現役のカセットデッキです。父が中学時代から使っていたお下がり。カセットはオリジナルで作るのも好きで、カセットデッキにレコードやパソコンをつなぎ、好きな曲をミックスして録音しています。カセットは、デジタル音源にはない、味のある音が魅力ですよね。
ものを見る眼を養いながら、ヴィンテージとの一期一会を楽しむ、Sakuraさんのアナログで豊かな暮らし。後半では、音楽や映画など趣味の話や、60年代ごろのサブカルチャーの魅力、ものが多い彼女の収納事情についてもご紹介。ぜひお楽しみに!
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai