INTERVIEW

名作家具に囲まれた、ほどよい緊張感が心地いい住まい
【田中遥さんのコンパクトライフ 前編】

ファッション、ライフスタイル分野を極めるフリーランスPR・田中遥さんの住まいは、築8年・2LDKのデザイナーズ賃貸物件。2年半前、会社員から独立したのを機に、穏やかに暮らしを楽しみたいと都市部から郊外へと引っ越してきました。ものを最小限に、すっきり整えられた部屋の中には、名作家具たちが凛と佇んでいます。前編では、この住まいを選んだ決め手や徹底された家づくりのテーマ、偏愛する家具の話についてなどをお伺いします。

2年半前、アメリカンライフを提案する
デザイナーズ物件へ

今の住まいの決め手は何でしたか?

ある程度の広さと内装の完成度が決め手になりました。ここはアメリカの都市近郊の家をイメージして設計された集合住宅で、植栽は〈SOLSO FARM〉が担当。建具や照明のスイッチなど、内装の細部にまでこだわりがあって、植栽は単なるデコレーションではなく、最低限守るべき距離感などの機能面も考慮されています。

改めて、今の家に引っ越して良かったなと思うことは何ですか?

静かでゆったりとした時間が流れること。都心から離れたことで、自然と夜飲みに行くことも減って、家族との時間をより大切に過ごせるようになりました。『都心に住まなければならない』という固定概念もなくなり、これからの物件選びの選択肢を広げられたのも良かったです。

空間づくりは日本人と相性のいい、
フレンチミッドセンチュリーをベースに

空間づくりのテーマを教えてください。

フレンチミッドセンチュリーをベースに、デザイナーズやヴィンテージ家具をすっきりと配置する、ミニマルなレイアウトを意識しています。我が家のLDKは縦に長い空間。これまでいろいろ試した結果、今はペットものびのび走り回れる、家具を壁付けするレイアウトに落ち着きました。

アメリカのミッドセンチュリーと比較して、フレンチミッドセンチュリーとはどのような特徴があるのでしょうか。

フランスのミッドセンチュリーは、アメリカとはまた違った独特のモダニズム文化があります。昔のフランス人はアメリカ人に比べると華奢で背が低かったこともあり、線が細く重心の低い家具が一般的。また、色の彩度も全体的に落ち着いていて、ポップさも抑えめなものが多い印象。個人的にはフレンチミッドセンチュリーの方が日本人や日本の住宅に合うのではと思っています。

自宅の中で、特に気に入っている場所はどこですか?

ダイニングスペースです。妻と食事をしたり、リモートで仕事をしたり、ライフスタイルの中で特に大事な場所。キッチンとダイニングは隔てる壁がないので、〈イームズ〉のパーテーションで仕切っています。流線的な動きが出せるのが使いやすいです。

ダイニングテーブルは、〈Cassina〉のLC10。ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンが共同デザインしたものです。ダイニングチェアはダイニングテーブルのデザイナーのひとり、シャルロット・ペリアンがフランスのスキーリゾート「レ・ザルク」の開発に携わったとき、彼が気に入ってセレクトしたと言われる「レザルクチェア」。引っ越す前にたまたま〈トーキョーリサイクル インプション〉に行ったとき、2脚搬入されたばかりのものを発見。このブラックレザーのタイプは個体数が少ないですし、そもそもヴィンテージチェアで2脚揃って見つかること自体あまりないので、これは運命だと思い即決。引っ越してからもリビングダイニングのアイコン的存在です。

ダイニングのペンダントライトも素敵ですね。

これはブラジルのデザイナーであり、写真家のマウリシオ・クラビン氏によってデザインされた「エクリプスフロアランプ」。複数のプラスチックバンドが蛇腹状に組み合わさった独特の構造で、形や傾きを変えることで、光の形や向きを変化させられます。足をつければ置いて使うこともできる優れもの。日本での取り扱いも最近始まりました。

家具探しは、
趣味というより日課

インテリアはどのようなものが好きですか?

基本的には雑食です。アメリカとフランスのミッドセンチュリーから好きになって、その後はポストモダンやイタリア、今はオランダのダッチヴィンテージが気になります。オランダのモダンデザインは、いろんな文化が混じり合って、ユニークな変化を遂げているんです。日本ではまだあまり知られていないジャンルかもしれません。

家具を選ぶ基準を教えてください。

家具はモダンで造形美が感じられるものに惹かれます。安くはない買い物なので、本当に気に入ったものを選ぶことはマストですし、さらに自宅へ置いた状態で高揚感が生まれるかどうかも大事だと思います。

加えて、我が家の場合はペットのミーアキャットに破壊されないかどうかも選ぶ基準のひとつ。ファブリックは基本的に破られたり、シミがついてしまうので我が家の家具はレザーが多め。チェアやテーブルの足はスチールなど、傷がつきにくい素材を選んでいます。どうしても汚れてしまうソファは頻繁に買い替えていて、今はレザーテープを貼りながら騙し騙し使っています(笑)。色は汚されても目立たない黒一択です。

リビングの角に置いているコーナーシェルフも存在感がありますね。

フランスのミッドセンチュリー期を代表するデザインユニット〈Antoine Philippon & Jacqueline Lecoq〉が手がけたものです。中の仕切りは欠損していたのですが、部屋のアクセントに良いなと思い、置くことに。大理石のブックエンドを合わせて楽しんでいます。

家具はどこで購入することが多いですか?

まず、オンラインで各ヴィンテージショップの新着情報をチェックしています。日本国内のヴィンテージショップはすべてブックマークしていて、1日3時間はリサーチしています(笑)。それぐらいしないと、ほしい家具はなかなか手に入らないんですよね。

一方で実店舗に行くこともあって、ダイニングチェアを見つけた〈東京リサイクル〉で掘り出し物を探すこともありますし、清澄白河の〈stoop〉というヴィンテージショップにもよく伺います。

無駄な装飾は無しに、偏愛する名作家具を楽しむことに、とことんこだわった田中遥さんの洗練された住まい。後編では、コレクションしている名作チェアや溺愛しているペットのミーアキャット、夫妻で大好きなファッションアイテムについてなど、田中さんの好きなものとの暮らしを紐解きます。ぜひお楽しみに!

大好きな椅子と服と、ミーアキャットとの暮らし 【田中遥さんのコンパクトライフ 後編】

※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。

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