INTERVIEW

長年培った審美眼で時代も国も自在にミックス! センスのいい、マテリアル好きの住まい(後編)

ものを見ることへの労力を人一倍惜しまず、パリやNYを中心に世界のファッションスポットを奔走しながら、自分の好きなものと真摯に向き合う、髙島屋ウィメンズファッション部門のクリエイティブディレクター・長尾悦美さん。インテリアのマテリアルを組み立てることはもはや趣味のひとつだと話す彼女は、ヴィンテージアイテムを軸に賃貸物件でも確固たるスタイルでひとり暮らしを謳歌している様子。後編では、ベッドルームや玄関まわりのインテリアを詳しくご紹介します。

リラックスできるベッドルームには、
お気に入りのマテリアルを取り入れて

ベッドルームの空間作りで心がけていることを教えてください。

リビングやダイニングと比べて、ベッドルームはナチュラルなイメージを心がけました。抜け感を作ることを大切に、壁はもので埋めすぎないようにしています。ベッドルームで唯一飾っているのが、友人のアーティスト〈E-WAX〉の作品。これは去年、〈YOSHIMI NAGAO by STYLE & EDIT〉と〈CITY SHOP〉のコラボTシャツを作るときに使わせてもらった思い出の写真で、自分への誕生日プレゼントに購入させてもらいました。

ベッドリネンはどのようなものを選んでいますか?

〈H&M HOME〉で購入したシーツと掛け布団カバーに、ヴィンテージショップで見つけた藍染めの布をかけています。〈H&M HOME〉のリネンファブリックはお手頃な値段で、充分可愛いものが揃っています。日本に実店舗はありませんが、オンラインで気軽に注文できますよ。

ついつい好きで集めがちなインテリアはありますか?

私は生粋のマテリアル好き。ベッドに置いている〈A.P.C.〉の大きなキルトクッションや、リビングに置いている〈TORO Vintage Clothing〉の〈MissoniHome〉のクッションのような、おもしろい生地のアイテムはついつい手に取ってしまいがち。服も家具もマテリアルから手に取って、好きだったら使える方向をどうにか考えます。

自分だけのヴィンテージを取り入れて、
お気に入りを長く愛せる、素敵な大人に

ベッドルームのアクセントになっているラタンラックは、どこで購入したものですか?

リビングテーブルと同様、大阪に店舗がある〈Want Antique life store〉で購入しました。引っ越すタイミングがちょうど自粛期間中だったので、家具はほとんどオンラインで購入。〈Want Antique life store〉はメンテナンスも行き届いていて、オンラインショップでも写真を細かく載せてくださっているのでおすすめです。

ジュエリーやデニムなど、見せる収納術も素敵です。

時間のない朝でもパッと身につけられるように、よく身につけるデニムやジュエリーは今の気分のものを厳選してラフに置いています。あまり使わないものは、蓋つきのケースや引き出しに入れて収納。ジュエリーコーナーに置いている鏡は、ひとり暮らしをはじめた18歳の頃から使っているもので、札幌のインテリア家具屋で購入しました。少しずつヴィンテージのような風合いに育ってきています。

ジュエリーはどのようなものを身につけていますか?

友人のブランドや旅先、ヴィンテージショップで出会ったものが多いです。ジュエリーで増やすものといえばピアスぐらいで、その他のものはあまりコロコロ変えないタイプ。肌の一部になるくらい、ずっと同じものを身につけている人ってかっこいいなと思うんです。ファッションもインテリアも、名作は好きですが、それだけだとつまらない。高い安いじゃなくて、そのときの思い出も含めて長く愛せるものを選んでいます。

ファッションとインテリア、長尾さんならではの共通するスタイルはありますか?

年代やブランドに関係なく、マテリアルのミックス感を楽しむのは、私のスタイルのひとつかもしれません。「~系」、「~テイスト」と括られるのはなんだか嫌いで……。仕事柄、海外のクリエイターさんたちのご自宅へお伺いできる機会もあるのですが、みなさん本当に好きなものに囲まれていて、暮らす人それぞれの心地いいと思うリズムが部屋にしっかりと宿っていることを肌で感じました。道端で拾ってきたガラクタのようなものでも、その人が好きだと思えばそれがとても素敵だったりする。そんな生きていく暮らしのセンスみたいなものに憧れます。

生活を豊かにしてくれるアートや植物は、
いつでもそばに

部屋のどの空間にも植物を飾っていますが、取り入れる上でマイルールはありますか?

花は生花を飾るようにしています。ドライフラワーは捨て時がわからず、知らぬ間にカビの胞子がついてしまったり、ズボラな私には向いてないと思って(笑)。また、観葉植物も欠かせない存在。最近迎え入れたのは、〈THE LITTLE BAR OF FLOWERS〉でひと目惚れした、カラテアオルナータカンデリアーナという植物。夜は葉が閉じて、朝になるとまた開く。生きている感じがとても気に入っています。

玄関まわりはどのようなインテリアにこだわりましたか。

ひとり暮らしにしては大きめの玄関。玄関ドアの正面にある棚はできるだけすっきりとディスプレイしたいので、ひとつでもインパクトのあるアートを飾っています。中央に置いたのは、ルーマニアの彫刻家・ブランクーシの『The Kiss』という作品のリプロです。

ご自宅にはアートも多いですね。

純粋にアートは好きで、ものを見る力を養うためにも普段からミュージアムへ出かけたりすることも多いです。特に思い入れがあるのは、もともと持っていたステラ・マッカートニーの母、リンダ・マッカートニーのポストカードを大江戸骨董市で買った額に入れて、私のパートナーにメッセージを書いてもらった創作アート。スペイン語で『人生は急がなくていい』、そんな意味の言葉をもらいました。

長尾さんにとって自宅とは、『自分の素になれる場所』。だからこそ、いつもそばには家族のように愛せるものを。それは1点もののヴィンテージオブジェだったり、海外に出かけたときに出会ったアートだったり、名作と呼ばれる家具だったり……。時代も年代も問わない様々な背景を持ったものたちが、長尾さん自身の思い出によって心地よい一体感を生み出していく。自分が好きなものをミックスすることではじめてスタイルは生まれ、自分の目でものを選ぶことは純粋に楽しいことなのだと気づかせてくれる、そんな素敵なご自宅でした。

※本ページ掲載のお部屋は、SEARCHページでご紹介している物件ではありません。