INTERVIEW

余白のある家で、世界各国の“とっておき”を飾る(前編)

5年前に大阪から東京へ引っ越し、この築48年のヴィンテージマンションを手に入れた、〈ビームス〉の横溝さん。L字型に広がるリビングダイニングには、洗練されたデザイナーズ家具と、世界各国のユニークな民芸品や骨董品が上手にミックスされています。部屋いっぱいに、ものがありながら息苦しさを感じさせない、見事にまとまりのある空間には、どんな秘密が隠されているのでしょうか。前編では、家づくりのテーマやダイニング、キッチン周りについて詳しくご紹介します。

好きなものを飾るために、
自由度の高い余白のある家にリノベーション

家づくりのテーマはありますか?

好きなものをミックスしながら楽しめる家にしたいと思っています。家にあるものは国も年代も異なるものばかり。それを上手に組み合わせて飾ることが楽しみのひとつです。何も置かずにきれいな部屋よりも、ものがあるけどまとまりのある家の方が私は落ち着きますね。

リノベーションではどのようなことにこだわりましたか?

我が家は、夫婦揃ってインテリアが好き。だから、どうしてもものが増えてしまうので、シンプルにひとつの平場をリノベーションで作ってもらったというイメージです。リビングダイニングの壁を抜き、フローリングは床置きでもインテリアが楽しめるように無垢のオーク材を入れてもらいました。また、備え付けの造作は極力つけていません。新しい家具が入ってきたとき、配置換えをすることもありますよね。気分が変わっても家は家具のように簡単に変えることができないし、備え付けのものがあると自由にインテリアが楽しめなくなる。だから、“完成させすぎないこと”も意識しました。ドアは市販のメラミン材の化粧板などテカテカした材質のものではなく、合板ですがシートを貼らない状態で取り付け。これは、工事費の節約にもなったし、気分が変われば自分たちで色を塗ることもできます。壁ももともとあった壁紙の上から白い塗装をしているだけで、ここも節約。インテリアにお金をかけたい分、内装はできるだけ節約しながら、余白を作れるように。自由度が高い分、住みやすい家にアップデートしていけるのが楽しいですね。

家具は長く使えるものを選んで、
循環させながら変化を楽しむ

特に思い入れのある家具について教えてください。

唯一、引っ越した後にこの家に合わせて購入した、〈ウェグナー〉のダイニングテーブル。インテリア好きの先輩を自宅に招いたとき、「ひとつくらいスケールアウトした家具を置くとメリハリが出るよ」とアドバイスをくれて。それまでは、今置いているダイニングテーブルの半分ぐらいのサイズのものを使っていたのですが、思い切って大きなものを買おうと決意。でも、なかなかこれというものが見つからなくて、3年かけてようやくこのテーブルを迎え入れました。エクステンションテーブルなので、真ん中を畳んでコンパクトに使用することもできます。私は料理が好きで、人を招いて食事することも大好きなので、結果的に大きなテーブルにしてよかったなと思っています。

ダイニングチェアはどのようなものをセレクトしていますか?

置ける数が限られているなかでも、いろんなものを使いたいと思って、〈イームズ〉のDCMや〈モーエンセン〉のシェーカーチェア、〈アアルト〉のCHAIR69を置いています。

家具を選ぶ基準はありますか?

20〜30代の頃は派手な色の家具が好きだったのですが、今は木そのものの風合いが活かされた家具を手に取るようになりました。家具は金額的に気軽に買い替えることができないし、出したりしまったりするのが難しい。そう考えるとあまり奇をてらわず、ベーシックで長く使えるものを選ぶようになりました。一方で、家のものは循環させることも前提に考えています。その場しのぎで買うことや、なんとなくのDIYはエコじゃないし、したくない。だから、しっかり人に譲れるものを選ぶことも基準のひとつになっていますね。

家具やインテリアでお気に入りのお店はありますか?

以前大阪に住んでいた頃によくお世話になっていたのが、〈Swanky Systems〉や、神戸の〈LIKELIKE〉。今は神奈川・厚木にある〈talo〉、東京・羽根木にある〈Out of museum〉などによく行きますね。

家具の配置で意識したことはありますか?

部屋の真ん中に空間を作るために、家具はすべて壁付けで置くという人が多いと思うのですが、あえて部屋の真ん中にも家具を配置することでその周りに奥行きを持たせて、空間にメリハリをつけることも意識しました。我が家では、ダイニングとリビングの間に、あえてベンチを置くことでゆるやかに空間を仕切っています。ベンチは、長野の〈松本民芸家具〉のもので、人を招いたときにも重宝。リビングには低い家具を置いてくつろげるように、ダイニングに向かって徐々に背の高い家具を置くことで視覚的にも静と動のメリハリを意識しました。

ダイニングとゆるやかにつながる、料理好きのキッチン

自宅の中で特に気に入っている場所を教えてください。

料理が趣味の私にとって、キッチンは特にお気に入りのスペースです。キッチンタイルはサンフランシスコの〈ヒースセラミックス〉のもの。日本では仕入れているお店がなかったので、現地で買い付けて個人輸入で持ち帰りました。税関の書類提出が大変だったのと重さが240キロほどあって、軽トラックで運ぶのに苦労した思い出がある分、非常に気に入っています(笑)。また、オリジナルで造作してもらった流し台や収納棚は、ビームス時代の後輩で建築士になった知人にお願いして作ってもらいました。

キッチン作りで意識したことはありますか?

コンパクトですが使いやすさは重視して、自然とダイニングとつながる空間になるように意識しました。もともとシンクは奥の壁沿いに設置されていたのですが、我が家は人を招くことも多くて、料理や洗い物をしながらでもゲストと気軽に話したいという思いから、今の場所にシンクを取り付けることにしました。後ろのホワイトの棚は〈String〉 のもので、自分たちで後から取り付けたもの。便利なユニットシェルフで、本棚などとしても使える優れものです。

お気に入りの世界各国の器と収納アイディア

料理好きというだけあって、器もたくさんありますね!

日本のものだと、大分の小鹿田焼や沖縄のやちむん、島根の出西窯、栃木の益子焼だったり。海外のものだとキッチンタイルと同じアメリカの〈ヒースセラミックス〉のものや、妻が好きな〈ASTIER de VILLATTE〉だったり。器もインテリアと同様、いろんなものが好きですね。ビームスの〈fennica〉というレーベルで器を取り扱っていることもあり、自然と若い頃から器はよく見ていました。窯元に見に行って、現地で購入することも多いです。

なかでもお気に入りの器はありますか?

赤絵が特徴的な沖縄の山田真萬さんの器、沖縄の菅原謙さんの器、サンフランシスコに工房がある〈ヒースセラミックス〉の器や、イギリスのスリップウェアの古いものなど。どれもお気に入りの器だからこそ、我が家ではたくさん使うようにしています。

食器収納のアイディアはありますか?

食器棚に入り切らない大きな器はインテリアの一部のようにしてベンチの上や、ダイニングテーブルの上に置いています。あとマグカップなど重ねにくいものは大きなカゴにまとめることで省スペースに。今使っている食器棚はデンマークの60年代のもので、チーク材が贅沢に使われていてお気に入りではあるのですが、食器はもう少し増やしたいところ。そろそろ新しいものに買い替えたいなと検討中です。

※本ページ掲載のお部屋は、SEARCHページでご紹介している物件ではありません。