INTERVIEW

余白のある家で、世界各国の“とっておき”を飾る(後編)

築48年のヴィンテージマンションを自由度の高いシンプルな箱にリノベーションして、世界各国の好きなものをバランスよくミックスしながら住まいのアップデートを楽しむ横溝さん。後編では、インテリアを楽しむための秘訣や収納の話、2つのリビングがある特殊な間取りについてもお話を伺います。

古今東西さまざまなものをミックスする、
インテリアの楽しみ方

どんなインテリアが好きですか?

自分が好きなものはいろいろで、なかなか一概には言えないのですが、『北欧家具』『アメリカのミッドセンチュリー』『世界の民芸』『クラフト品』などは好きですね。今家にあるものは、一気に揃えたわけではなくて、徐々に出会って集めてを繰り返していたら、自然とテイストがミックスされていきました。家に合わせてものを選ぶのではなく、気に入ったものに出会ったらまず買う。直感で持って帰ってきて、どこに飾るか考えるのも楽しい時間です。

家の中心にあるサイドボードには、どのようなものを置いていますか?

今は、メキシコのオブジェやアフリカのかご、チベットの経典、アメリカの木工作家、ジョージ・ピーターソン氏の木のオブジェ、東京で活動する須田二郎さんの木の器などを飾っています。民藝もあれば現代アートもある、ひとつのジャンルだけではなく、いろんなものをミックスして飾れるのがインテリアのおもしろいところ。季節ごとに少しずつ入れ替えをしながら楽しんでいます。このデンマーク製のサイドボードは、見栄えも良く、収納にも使えて非常に便利。また、絵画のようにして壁に飾っている、友人から旅のお土産でもらったハンド刺繍の布もお気に入りです。

インテリアを楽しむために心がけていることはありますか?

我が家は、夫婦揃ってインテリアが好き。どうしてもものが増えてしまうので、サイズの大きなものばかりを選ばないように気をつけています。小さなサイズのものを選んでものをたくさん置けるように工夫したり、大きな家具を置いたらその分周りには小さな家具を置いたり、スケール感のバランスを取ることは意識していますね。あとは、フローリングを無垢にして、床置きでもインテリアも楽しめるように工夫しました。

例えば、リビングの床置きスペース。アフリカの民芸品やメキシコの蝋燭台、柳宗理さんのバタフライスツールを組み合わせています。柳宗理さんはアフリカのものや民芸品が好きでよく集めていたそう。そんなエピソードも踏まえてここのインテリアは考えてみました。どうしても木のものが増えてしまうので、鮮やかな色を要所で入れたり、素材をミックスしたり、空間がのっぺりしないように飾りながらバランスよくまとめることも意識しています。

ご夫婦でインテリアの趣味に共通点はありますか?

二人ともに共通している価値観は、“味がないものよりは味があるものが好き”なところ。ただ正統派というものよりかは、少し遊び心があるような、洗練されすぎていないものが好きです。人によっては「ガラクタじゃない?」と思えるものにどこか惹かれたりすることもありますね。

インテリアのアイディアや知識はどのように養いましたか?

若い頃に、仕事で店舗のレイアウトを考えていたとき、ものをよく見せるために配置を繰り返し考えてきた経験が、今でも家のインテリアを考える上で役立っています。昔の建築家の人や家具デザイナーの方の家を洋書で見て、どんな植物を置いているのか、こんな組み合わせもありなんだ! など、気づきをもらいながら感覚を養いました。直感でいいなと思ったものも、背景を調べることによって、さらにその良さを感じることができますし、組み合わせの幅も広がりますよ。

備え付け収納がない住まいで、
ものを上手に収納する方法

どの部屋にも押し入れやクローゼットなど、備え付けの収納スペースがないですね。

もともと、収納スペースのある部屋もあったのですが、それもすべて潰してとにかく空間を広く取れるようにリノベーションしました。普段使っているものも部屋のアクセントになるという思いから、基本的にはしまわずに見せながら収納しているものが多いですね。

どうしても生活感の出やすい細々としたものを収納する上で、役立つ道具はありますか?

世界各国のかごはインテリアにも溶け込みやすいのでよく使っています。本棚横に並べている、北米やアフリカの小さなかごには電池やピンなど小さなものを収納。大きいかごはストールやバッグなどを収納するのに便利です。かごは軽いから移動もしやすいし、インテリアの一部として楽しめるところがいいですよね。

プライベートな時間を持てる、
セカンドリビングのある暮らし

セカンドリビングのある間取りが印象的ですね。

本棚のあるスペースをセカンドリビングとして活用することで、より暮らしの自由度が高まりました。おそらく、扉をつけて完全に空間を分けていたら物置きみたいになっていたと思います。ここでは、本を読んだり、ちょっとした仕事の作業をしたり、たまに妻がヨガをしたり。人が泊まりにきたときは、暖簾のように布を吊るすことで空間を仕切ってゲストルームのように使っています。この間取りにしたおかげで夫婦それぞれがストレスなくプライベートな時間を持てるので作って正解でした。

大きな本棚はどちらで手に入れたものですか?

本を収納できて、かつ上段にオブジェなどを飾れる、ちょうどいい高さの棚を探していたら、ヤフオクで見つけました。おそらくこれは、学校のロッカーや靴箱として使われていたもので、1万5千円(!)で購入。本棚に飾っている器は、〈ヒースセラミックス〉の器にアーティストのジェフ・マクフェトリッジ氏がハンドペイントした作品で、とてもお気に入り。彼は、カリフォルニアでミッドセンチュリースタイルの家に住んでいて、それが本当にかっこいいんです。

セカンドリビングでもダイニングテーブル上でも使っているバブルランプも素敵です。

ジョージ・ネルソンの古いバブルランプです。金属フレームに繊維状のプラスチックを吹き付けることで、優しく光を透過するシェードは、現存させるのが困難だといわれているなかで、我が家のバブルランプは穴も開いていない状態で、何十年とよく壊れずに現存していました。セカンドリビングにスタンドで置いているバブルランプは、スタンドとランプを別々で購入。スタンドはおそらく鳥籠をかける台だったものと思われます。

同じ花瓶がたくさん置いてありますね!

一輪挿しの〈ヒースセラミックス〉の花瓶です。たまたま安く販売していたのでまとめて購入して、友人たちに少しずつプレゼントしています。我が家のインテリアには、友人からもらったものがたくさんあるので、私たちも同じように、良いと思ったものを共有できたらいいなと思っています。

横溝さんが理想とする住まいは、“人が来てくれる家”。ほどよい生活感のある空間で、好きなものをとことん飾る横溝さん宅には、横溝さん夫婦らしさがしっかりと表現され、それが訪れる人への安心感につながっていました。自宅は自分の個性を知ってもらえる絶好の場所で、好きなものを飾ることこそが、暮らしを楽しむ秘訣そのもの。いつか気軽に人を呼べるようになるその日まで、自分たちらしい部屋作りを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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