賑やかだけど、クリーンに
遊び心を愛する、長めのいい住まい(前編)
服飾デザイナー・雪浦聖子さんご夫妻が暮らすのは、のんびりとした空気が心地いい、緑豊かな世田谷の住宅街。日当たりの良さと緑道に面した立地が気に入って、8年前この家へ引っ越してきました。収納を工夫しながらクリーンに保たれた部屋には、クスッと笑えるユニークなオブジェがひしめき合っています。
家の中心はダイニングの丸テーブル。
家具は大きすぎないシンプルなものをチョイス
部屋の中で一番長く過ごす場所はどこですか?
ダイニングテーブルですね。家の中心のように思っている場所です。夫はソファにもよくいますが、私は食事中はもちろん、食後や帰宅後にくつろぐ時間も、自宅でパソコン作業をするときもずっとここに座っています。テーブルは北欧の巨匠〈アアルト〉のもので、結婚当初から15年ほど使っています。丸いテーブルは方向性がなく、来客があったときにも座ってもらいやすいし、人数が増えたときも椅子を追加しやすいのでおすすめです。
家の家具はどのようなものを選んでいますか?
購入したその時々で好きなものを選んでいるので、わりといろんなテイストのものがあります。茶色の食器棚は以前表参道にあった〈H.P.FRANCE〉の家具屋で1万円(!)で買ったもの。手前の青いスチールのキャビネットは、部屋が木材の家具だけで埋め尽くされていたとき、なんだか物足りなくなって〈コンランショップ〉で思い切って買ってみました。家具はシンプルなデザインのものが多いので、10年以上長く使っているものばかりです。
コンパクトな家で雑貨もたくさん飾っているのに、なぜかすっきりとして見えますね。
窓が多いので抜けがいいのと、それほど大きな家具を置いていないからかもしれません。背の高い家具はあるのですが、圧迫感が出ないように細身のものを選んでいます。あと、収納は飾るものと隠すものでメリハリを意識するように心がけていますね。
ユーモアが暮らしのエッセンス。
好きなものを飾って楽しい空間に整える
居心地のいい部屋を作る上で特に大切にしていることはありますか?
好きなものを身の回りに飾ることを意識しています。あまりテイストに縛られることなく自分にとって楽しい空間になればと思っています。部屋のあらゆる余白に少しずつ好きなものを飾っているのですが、ちょっとした模様替えをするようにちょこちょこディスプレイを変えるのも日々のささやかな楽しみです。
ついつい手に取りたくなる、遊び心のあるものが目に留まりますね。
旅先で気になるものを買っていたらどんどん増えてしまいました(笑)。特にオブジェは買いがち。お土産屋さんで売っている王道すぎるものから、民芸品、用途がまったくわからないけどなんだか可愛い日用雑貨まで。その他にも、友人の作家やデザイナーが手がけたものも数多く並べています。国籍もテイストもバラバラですが、素材感や色はなんとなく意識しながら配置。家は整いすぎていないほうが自分らしさがあってなんだか落ち着きます。
ずばり、雪浦さんが好きなものってどんなものでしょう。
はっきり基準はないのですが、ちょっと”引っかかるもの”が好きですね。私のブランド『sneeuw』のコンセプトに掲げている『clean & humor』は、自宅の部屋作りとも通ずるものがあります。シンプルな中に、とぼけた仕掛けをちりばめることで、本人はもちろん楽しいし、誰かとの会話のきっかけにもなる。そんな日常を少しだけ浮き上がらせてくれるものを吟味しながら、楽しい部屋を作っていきたいですね。
シンプルな家電はぴったり収まる収納棚へ
週末は機能的なキッチンでまったり作り置き
生活感が出やすいキッチン周りですが、とてもすっきりとしていますね。
夫が作ってくれたキッチン棚のおかげかもしれません。持っている家電やキッチン用品がちょうどよく収まるように使い勝手良く設計されていて、収納量も多く重宝しています。
食生活で心がけていることはありますか?
仕事が忙しくて料理をすることが億劫になる日もありますが、食事は夫とゆっくり家で食べたいので、毎週日曜日に平日分のおかずを作り置きしています。その日スーパーで安かった食材を使って、10品くらい料理。保存容器は見た目も美しくて収納にも適した〈無印良品〉、〈野田琺瑯〉、〈アイザワ〉のものが定番です。日曜日の夜に時間に追われることなく2時間半くらいかけながら、ゆっくり作るのが好きですね。だから平日の夕飯はこれを器に移して、厚揚げなど簡単なものを焼いて並べるだけ。お弁当もおかずを詰めるだけなので楽チンです。作り置きはサボらないように毎週インスタグラムにも投稿(笑)。盛り付けや配置を気にしながら写真を撮るのはけっこう楽しいですよ。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai