
東京建物『Brillia』×『sonae』
日常を彩る、防災用インテリア
“住んでからの安心”を提供するために、これまでさまざまな防災対策を行ってきた東京建物は、今春、新たにインテリアアートとして楽しめる防災グッズ『sonae 備絵』とのコラボレーションプロダクトを発表します。この記事では、sonaeの概要やBrilliaの防災に対する考え方、sonaeとBrilliaがコラボレーションに至った経緯など、詳しくご紹介していきます。
“安心”を飾る、
防災アート『sonae 備絵』とは?
『sonae 備絵』とはどのような商品ですか?
藤村さん:sonaeはその名の通り「備える絵画」です。関東大震災から100年という節目である2023年9月に誕生しました。絵画のフレームの中には、いざというときに活用できる「防災トイレキット」が収納されており、災害時や断水時にはサッと取り出して使うことができます。普段はアートとして日常生活に彩りを添えながら、万が一に備えることができる、新しいタイプの防災グッズです。
sonaeができた経緯を教えてください。
藤村さん:私は23歳のときに、地元の熊本県益城町で熊本地震を経験しました。自宅は一部損壊し、余震が続いていたため、数日間は車中泊で過ごしていました。幸い、トイレは近くの避難所にある仮設トイレが使えたのですが、仕事へ向かう途中に立ち寄った公園の公衆トイレは、床一面に汚物が溜まり、とても使用できる状況ではありませんでした…。不衛生な環境を目の前にして、『この先、生きていけるのだろうか』と途方に暮れたことを今でもよく憶えています。
sonaeを手掛けるドリームホールディングスは福岡に本社を構える企業で、熊本地震の直後は熊本の協力会社へ物資支援を行うなど、復興支援に取り組んできました。会社には私以外にも熊本地震や九州北部の豪雨で被災した仲間がいて、自分たちの被災経験を通じて災害時のトイレ問題の重要性に気づき、「世の中の役に立つ商品を作りたい」という想いからsonaeの開発に至りました。

「アート」×「防災」というのは、意外性のある組み合わせですよね。
藤村さん:防災グッズは押し入れやクロゼットにしまうのが一般的ですが、いざというときに『どこにしまったのかわからない』、『収納した押し入れの扉が開かない』など、取り出せない状況になってしまっては本末転倒です。その点、アートとして飾れるsonaeなら、いざというときにすぐ取り出せるうえ、日常生活の彩りにもなります。トイレの防災はまだまだ認知されていない分野なので、アートという身近な形で取り入れてもらえたらと思っています。

『sonae 備絵』という簡潔でわかりやすいネーミングは、どのように考えられたのでしょう?
髙田さん:キャッチーで覚えやすく、商品コンセプトの伝わりやすさを重視して考えました。『〇〇トイレ』のような名前は分かりやすいものの、美意識に訴えかけるアートを扱う商品としてはふさわしくないと考え、スマートな印象を意識しました。また、使用シーンに応じて使い分けできるようにアルファベット表記の「sonae」と、漢字で意味が伝わる「備絵」を併記する形でロゴもデザイン。漢字の「備絵」は額縁に収まったアート(まさにsonaeのプロダクトの形)を象徴し、アルファベット表記の「sonae」はあえて小文字にすることで親しみやすさも意識しています。
採用している絵画について教えてください。
藤村さん:選ぶ楽しさを味わっていただけたらと、sonaeオリジナルの描き下ろしアートや、モネやゴッホなどの名作シリーズなど、作品数は豊富にご用意しています。ご自宅やオフィスなど、さまざまなシーンでご活用いただきたいです。
髙田さん:私は画家としても携わっているのですが、作品のコンセプトやビジュアルそのものから元気をもらえる、そんな絵を描けたらと思っています。
トイレキットにはどのようなものが入っているのでしょうか?
藤村さん:便座にかぶせて使う黒いビニールの蓄便袋と、排泄後に固める凝固剤、おしりふきとして使えるウェットティッシュが収納されています。凝固剤は日本製で抗菌・消臭効果のある活性炭入りのものを使用。凝固剤と蓄便袋は製造から15年、ウェットティッシュは5年間と、長期保管が可能です。

髙田さん:sonaeはトイレキットが入っていることを理解したうえでご購入いただく商品なので、一般的な防災用品のようにわかりやすさに特化したデザインというよりも、sonaeのオシャレな世界観に寄せたスタイリッシュなパッケージデザインにしています。
平常時・災害時・災害後を網羅する、
Brilliaのきめ細やかな防災対策
Brilliaではどんな考えに基づいて、防災対策を行っていますか?
中山:Brilliaのブランド理念である「洗練と安心」には、長く年月を経ても色褪せないデザイン、高度な安全性、確かな資産性を保持する性能と品質で「洗練と安心の住まいを提供する」という想いが込められています。防災対策についても、「洗練と安心」を軸に取り組んできました。
これまでBrilliaでは、どのような防災対策を行ってきましたか?
中山:2011年には「住んでからの安心」を提供するため、Brillia独自の「防災対策ガイドライン」を制定しました。『そなえる、まもる、たすけあう』をコンセプトに、災害時のリスクを抑える独自の防災・減災対策でグッドデザイン賞も受賞しました。具体的な取り組みとしては、入居者向け防災説明会の開催、防災備蓄倉庫内の定期見直し、エレベーター内の備蓄品の収納、オリジナル防災マニュアルの各戸配布、防災リュックの標準装備を行っています。さらに、最近では被災を想定した防災カードゲームを開発し、希望する管理組合様向けに実施しています。
また、住宅設備機器の取扱説明書をスマートフォンやタブレットで閲覧できる「トリセツ+HOME」も標準採用しており、共用部の防災備蓄品の取扱説明書やマンションごとの「防災マニュアル」も閲覧できるようにしています。

防災を日常にする、
Brillia × sonaeプロジェクトが始動!
Brilliaは以前からアート活動にも力を入れていますよね。
中山:Brilliaが提供したいのは単なる住まいだけではなく「豊かな暮らし」です。その実現において、アートは欠かせない要素だと考え、これまでにもアートに関わるさまざまな取り組みを行ってきました。2021年にオープンした東京・京橋のBAG-Brillia Art Gallery-では、「暮らしとアート」をテーマにさまざまな企画展を開催し、アート作品の販売も行っています。
Brillia×sonaeのプロジェクトが始まった経緯を教えてください。
中山:sonaeのコンセプトである、普段はインテリアとして日常を彩り、災害時すぐ使える防災用品を備えたアートは、アート・防災を身近にできるきっかけになると思いました。当社は豊かな暮らしにはアートが欠かせないと思いアート活動を実施しているので、日常に取り入れるきっかけになるはず。sonaeの「アート×防災」の美学に親和性を感じて、この度お声がけさせていただきました。
藤村さん:sonaeのコンセプトに共感していただき、とてもうれしいです。Brillia が運営する住まいのメディア『Tokyo Compact life』のコンセプト文にある「暮らしの中で自分らしさを表現する」、「今とこれからをつなげていく暮らし」、「いろんな選択肢と可能性をあなたに」という言葉たちにも、非常に共感しています。
災害対策は「何かしなければ」と頭ではわかっていても、つい後回しにしてしまいがちです。まずは災害への意識を高めるきっかけとして、sonaeという選択肢があることをBrilliaの入居者様に知っていただけたらうれしいです。

Brillia×sonaeのコラボレーションを通じて、Brillia住民の皆さまにどんな暮らしを提供したいですか?
中山:sonaeが日常空間を彩りながら、いざというときに備えられる防災グッズとして、安心感のある豊かな暮らしの一助になればうれしいです。
実際に災害が起こり、トイレに行きたくても行けない状況に陥った場合、極限までトイレを我慢して過度なストレスを抱えたり、水分を取らないことで体調を崩してしまうなど、トイレトラブルは重大な健康被害につながります。避難生活が原因で亡くなってしまう方も多くいらっしゃるなかで、sonaeは命を守る助けになってくれるだろうと信じています。
藤村さん:防災対策にまだ関心のない方は、きっと意識が向いていないだけだと思うんです。いつか来るとわかっていてもいつ来るかわからないし、自分は大丈夫だろうと心のどこかで他人事化してしまう。そうした方にもsonaeのアートを入り口に、防災をもっと身近に捉えてもらえたらうれしいです。
髙田さん:『素敵な作品!』、『実はこの作品の裏には防災用品が…』、そんな風にsonaeがきっかけとなって、家族や友人、会社の人と防災について気軽に話せる場が生まれたら素敵ですよね。
中山:そうですね。いざ災害が起きたとき、スムーズに対応できるかは、日常的にどれだけ防災を意識し、生活の一部にできているかが重要だと思います。Brilliaでは、sonaeのような日常使いできる防災インテリアを取り入れるとともに、防災意識を高められる入居者間のコミュニティイベントなども積極的に行っていきたいと考えています。

集中豪雨による水害や頻発する地震…。いつ起きてもおかしくないとされる首都直下地震では、避難所の不足が懸念されています。また、自分や家族に怪我がなく、住居にも危険な損傷がない場合には、自宅で避難生活を送る「在宅避難」も推奨されていますが、被災状況によっては水道や電気などのライフラインが寸断され、生活そのものが困難になる可能性も否定できません。このような時代だからこそ、「自分の身は自分で守る」という意識を改めて見つめ直すことが必要ではないでしょうか。
“防災”と聞くと、専門的な知識や準備が必要で、少し難しく感じる方もいるかもしれません。そんな防災ビギナーの第一歩としても、ぜひ取り入れてみてほしいsonae。大切な人を守るために、そして自分自身の安心を育むために、今日から「備える」暮らしを始めてみませんか?
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Mitsugu Uehara / Text : Runa Kitai