多様な色に囲まれながら、どこか安心感のある住まい
【ZUCKさんのコンパクトライフ 前編】
初めて見るのにどこか懐かしくてちょっと切ない、そんなイラストがクセになる、イラストレーター・ZUCKさんのご自宅は、築27年の2LDK・56㎡のマンションの一室。ZUCKさんのイラストの世界観がそのまま現実に飛び出してきたかのような、そんな賑やかな空間が広がっています。前編では、この家に引っ越した経緯や、コンパクト物件ならではの暮らし方の工夫、好みのインテリアについてご紹介します。
視覚に開放感を。オンオフをゆるやかに切り替える2LDK
今の物件に決めた理由を教えてください。
フィーリングと言ってしまえばそれまでなのですが、今の家は内覧したとき、すぐいいなと思いました。『ここが気に入った!』というよりは『嫌なところがあまりない』という印象。窓から手前のマンションが見えるものの十分距離があるので抜けも良く、自然光もしっかり入ります。あと、賃貸マンションにしては珍しい天井付けタイプのカーテンレールがついていて、広々感じられるのも気持ちがいいです。
コンパクト物件で暮らす上で、スペースづくりの工夫を教えてください。
仕事柄、1日中家にいることが多いので、うまく気分転換できるようにリビング、仕事部屋、寝室にはそれぞれ違う色のパンチカーペットを自分たちで施工しました。とても根気のいる作業でしたが、今となってはいい思い出です(笑)。部屋ごとに一面床を同じ色にすることで、空間が広く感じられている気がします。
実家感が心地いい、個性が滲み出るインテリア
自宅作りのテーマを教えてください。
これといったテーマは特にないのですが、2人が良いと思ったものを置くようにしています。私も妻も、わかりやすくおしゃれなものにはあまり興味がなくて、生活感を感じられる、どことなく“実家っぽい感じ”を目指しているのかもしれません。ジブリ映画の『耳をすませば』に出てくる、主人公・雫の家のような、ものが多くてがちゃがちゃしている空間が好みです。
インテリアはどのようなものが好きですか?
感覚的に選んでいるので言葉で表現するのが難しいのですが、しっかりとした造りだけど、見た目はやや “ちゃちく”見えるものが好きかもしれません。我が家にはおもちゃやぬいぐるみもたくさんあるのですが、ほっこりはしない、ギリギリかっこいいラインが好きです。パッと見たときのキャッチーさや親しみやすさに加えて、ちょっと影があるような。自分が絵を描くときも同様の感覚を意識しているかもしれません。
空間作りでは、ベーシックな大きな家具に、ビビッドな小物を合わせるのが好きです。例えば、ダイニングのアクセントになっている丸い鏡。これは、下北沢の古着屋〈FILM〉と幡ヶ谷の古着屋〈PALETOWN〉のコラボ店〈F.Pマート〉で見つけました。古いアメリカのものだと思います。ダイニングに吊るしている緑のライトはデンマークのガラスブランド〈HOLMEGAARD〉のもので、北欧ヴィンテージを扱う〈ten kara ten〉で購入。内側は乳白になっていて、ぼんやり灯る感じもかわいいのです。
特に思い入れのある家具を教えてください。
北欧家具のヴィンテージショップ〈talo〉で見つけた、〈altek〉のダイニングテーブルは青の色味も綺麗で気に入っています。当初はaltekの赤のラウンドテーブルを探しに行ったのですが、なかなか状態の良いものがなく諦めていたところ、ブルーのテーブルが目に留まりました。悩んで店員さんに相談したところ、奥からより状態の良いものを出して下さったのでそれに決定。天板はツルツルのラミネート加工が施されていて、傷はあるものの比較的状態が良く、テーブルを布巾で拭く度に、前のオーナーさんが綺麗に使ってくれていたのだなとありがたく思います。新しいものも好きですが、こういう昔の人が丁寧に設計して、長く使えるいいものにも惹かれますね。
どこを見てもカラフルなご自宅。はっきりとした色が多い印象ですが、空間をまとめる上で工夫していることはありますか?
僕も妻も普段から色を扱う仕事なので、自分の好みの色はわりとはっきり把握しています。なので、好きじゃない色はそもそも買わないことは意識しているかもしれません。我が家にはコテコテな色が多いですが、自分の好きな色同士ならけっこう相性がいいように思います。
キッチンでもかわいいものと戯れる
家で過ごす好きな時間を教えてください。
平日は、夕食後に必ずコーヒーを淹れて、Netflixなどを見ながらくつろぐ時間が好きです。休日は、出掛けることが多いのですが、たまに夕方から夜にかけて、だんだん暗くなるリビングで電気をつけずに一人で映画を見続ける時間も好きです。妻に見つかると目が悪くなるからと電気をつけられてしまいますが(笑)。
キッチンも他の部屋と同様、ビビットな空間ですね。
キッチン道具もひとつひとつ好きなものを揃えています。コーヒーのグラインダーやペーパーホルダーなど、古いものならではの柔らかさがありつつ、シュッとしたかっこよさもある、そんな古い工業製品のようなものが好きです。その他にも、イラストレーターの100%ORANGEさんからフリマで購入したバナナの鍋敷きや、フィンランドの老舗ブランド〈アーリッカ〉の雫のような形がかわいいチューリップもお気に入りです。
冷蔵庫の扉は個性的なマグネットで上から下までみっちり!賑やかなコーナーですね。
自分で作ったものや、旅先で買ったもの、拾ったものなどいろいろ混ざったお楽しみコーナーです。よく目に留まる上段には特に好きなものを選抜。なかでも、4人組バンド〈Homecomings〉のオリジナルグッズで制作したマグネットはお気に入りです。
完璧に整えられた統一感のある家には出せない、生活感と個性が滲み出るZUCKさんの正直な住まい。後編では、仕事場も兼ねているお家での過ごし方について詳しくお届けします!
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai