アートがもたらす、ポップな暮らし(前編)
『服を選ぶような感覚で、アートも好きなものを気軽に飾ってほしい』。そう語るのは、アートがより身近な存在となってほしいと多彩に活動の場を広げるギャラリー〈VOILLD〉を営む、伊勢春日さん。1LDK、40平米の彼女の自宅には、時代・国籍・ジャンル問わずさまざまなアートが賑やかに並べられています。まるでギャラリーのようにたくさんの刺激をもらえる、彼女の住まい作りについて詳しくご紹介。
何十軒と内覧してたどり着いた、
ちょっとおもしろい物件
この物件を選んだ理由について教えてください。
大きな出窓がついていて日当たりが良く、部屋の抜け感や気の良さそうな雰囲気、カウンターキッチンであることも決め手になりました。部屋の備え付けの建具には額縁のような枠がついていたり、部屋の広さのわりにキッチンが立派でありながら、お風呂はユニットバスだったり。ちょっと変わったおもしろい物件です。都心部とは思えないほど静かな場所にあって、仕事とプライベートをきちんと切り替えられるところも満足しています。ここは、何十軒と内見して、ようやく出会った物件。3年前、内覧したその日に即決しました。
自宅作りのテーマやマイルールを教えてください。
好きなものしか置かない、無駄なものは置かないようにしています。家具は極力シンプルで良いものを選びつつ、デコレーションは少しポップになるように意識。家に置いているアートはインパクト強めのものが多いですね。ものにも愛情を込めて丁寧に接することを大切にしています。
アート好きが考える、
コンパクトな住まいでの家具選び
家具を選ぶ基準を教えてください。
アートが映えるように家具はシンプルに、サイズ感と素材感を重視して選びました。ダイニングテーブルは、ガラスのものを。ガラスは圧迫感が出にくく、シミもつかず、お手入れも楽な素材。ネットで見つけたノーブランドのもので、不動産屋から図面をもらって、細かくサイズを割り出してから購入しました。椅子は、〈コンランショップ〉で購入したスタッキングができるものと、昔〈イケア〉で購入した、ロープ座面のスツールを愛用しています。
お気に入りの家具はありますか?
友人に作ってもらった合板とステンレス、アクリル版を組み合わせてオーダーした〈saiku〉の棚です。今年の夏に届きました。人生初のオーダー家具で、サイズ感や使いやすさも気に入っています。棚上の本は、ローレンス・ウェイナーという現代アーティストの作品集と、ミヒャエル・ボレマンスの油彩の本。本の表紙はインテリアのアクセントになって、入れ替えるだけで気分が結構変わります。
伊勢さん宅には、奥行きの浅い棚が多いですね。
コンパクトな住まいなので、棚はできるだけ奥行きのないものを選んでいます。アート作品を並べる際にも浅い棚は優秀。ついつい集めちゃう割になかなか上手く並べられない小ぶりなアートも、なんとなく並べるだけで上手くまとまります。我が家では、ダイニングテーブル横にある、奥行き15cmほどの棚に小さなアート作品を集合させています。ここには、ぬいぐるみ作家の片岡メリヤスさんの作品や、母からもらった幼少期の頃の写真も飾っています。
自宅ではどんなアートを飾っていますか?
他人から見ればガラクタのようなものからギャラリーで購入したものまで様々で、自分が好きなものを純粋に飾っています。すごくシンプルで、ただかっこいいというものよりは、ちょっと癖のあるものに惹かれる傾向がありますね。模様替えは頻繁にしていて、そのときどきで今見たいものを考えながら、その都度よく見える場所に並べ変えています。〈VOILLD〉で展示する作品と、自宅で飾っている作品に大きな差はないのですが、同じ作家さんの作品でも自宅ではよりマニアックで、尖っているものをチョイスしている気がします。
ソファ横にあるライトも素敵ですね!
コカコーラとペプシの缶を組み合わせた柱が良いですよね(笑)。〈magma〉という主に立体作品を手がけるアーティストの作品です。廃材をコラージュしてアートピースに仕立てるアーティストユニット。実際にライトもつくので普段から使っています。本棚上に置いているおもちゃを組み合わせたようなライトも、同じく〈magma〉の作品ですね。
家でのオフ時間は、どのように過ごしていますか?
最近購入したプロジェクターで映画やドラマを観たりしています。買おう買おうと思いつつ、ずっと後回しにしていたプロジェクター。買ったら生活がガラリと変わりました。スペックをかなり比較して値段的にも納得できた〈WiMiUS〉のものを購入。Netflixなどの動画メディアやスピーカーも内蔵されていて、昼でもしっかり画面が見えます。コンパクトなサイズ感で、いろんな場所に気軽に映像を投影できて便利です。部屋のインテリアにもすんなり溶け込むスタイリッシュなデザインも気に入っています。
広々キッチンで、趣味の料理を楽しむ
部屋の広さからは想像できないほど、キッチンがとても立派ですね!
コンロは三口、吊り戸棚もとても豊富です。料理はもともと好きなのですが、この物件に引っ越してきてからさらにキッチンに立つ時間が増えました。器も収納できるスペースがたくさんあるので、ついつい買っちゃいます。吊り戸棚のなかには、自作で仕切りを設けて、取り出しやすく工夫しています。
キッチンのインテリアで心がけていることはありますか?
キッチンはできるだけすっきりしようと思いつつ、少しだけ楽しい要素も。電子レンジの側面には、世界のお土産マグネットを集合。パエリアはバルセロナで、ロブスターはボストン、相撲のマグネットは東京タワーでゲット。「ちょっとお金おろしてきます」のメモは、現代美術作家の加賀美健さんからもらったもの。会ったときにちょうど私がお金を持っていなくて、おろして帰ってきたらこれが。思い出に飾っています(笑)。
器もたくさんありますね!
器は日本の作家さんのものがほとんどです。中目黒の〈SML〉はよく行きますね。器のセレクトも素敵で、店員さんも優しいので、ついついたくさん買っちゃいます。買ってきたお惣菜を家で食べるときも、素敵な器に盛るだけで格段に気分が上がりますよね。器は地方で購入することも多く、旅の思い出にもなっています。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai