名作家具をミックスした、クリエイティビティを養う住まい
【今関龍介さんのコンパクトライフ 前編】
日々のスタイリングを紹介するInstagramのアカウントは、約11万人のフォロワーを誇る、新進気鋭のアパレルディレクター・今関龍介さん。ご自宅は、去年引っ越したばかりの、築18年・2LDKのマンションの一室。23畳の広々としたリビングには、名作家具とポップな雑貨がセンスよくミックスされています。前編では、この物件を選んだ理由や、家づくりのテーマ、インテリアの好みやお気に入りの家具について、詳しくご紹介。
スタジオ使いもできる、
海外アトリエをイメージした空間づくり
この物件に決めた理由を教えてください。
仕事柄、家でも頻繁に撮影するので自然光が入りやすい空間であることは決め手になりました。また、リビングの一角が丸みを帯びている面白い間取りだったり、キッチンとリビングが完全にセパレートしているところも、生活感が抑えられて気に入っています。
家づくりのテーマはありますか?
海外のデザイナーさんや職人さんのアトリエを参考にしながら空間づくりをしています。空間のイメージをガラッと変えてくれたのが白の床。もともと一般的なフローリングだったのですが、賃貸でも使用可能なタイルの床材を敷き詰めることで、フラットで無機質な印象を演出できたかなと思います。リビングは、ソファやローテーブルが置いてあるエリアをくつろぐエリア、大きな鏡のある広々としたエリアを撮影ができるスタジオエリアとして分けて過ごしています。
どこを切り取っても画になる空間ですね!生活感を抑えるアイデアはありますか?
コード類を目隠しするのに役立っているのが、ファッション界を拠点に活動する〈BLESS〉の延長コード。インテリアとしても楽しめて、実用性もしっかり兼ね備えています。
あと、文房具など細々したものの収納に役立っているのが、壁掛けできる収納ラック「ウーテンシロⅡ」のヴィンテージ。もともとは真っ白だったと思うのですが、いい感じに日焼けして、味のあるクリーム色になっているのがお気に入りです。
ミッドセンチュリーベースの、
ジャンルレスインテリア
インテリアはどんなものが好きですか?
洋服も古着が好きなように、家具もひとつ一つ表情が異なる古いものや、昔誰かが使っていたストーリーを感じられるものが特に好きです。最初はミッドセンチュリーモダンにはまって、スペースエイジやポストモダンも気になり出し、最近では現代のアーティストさんの作品も増えてきて、それを“全部のせ”にしたのが我が家です(笑)。服もテイストをミックスして着ることが好きで、インテリアも同じ感覚で、年代や国籍、ジャンル問わず集めています。
特にスペースエイジの家具は取り入れるのが難しいイメージがありましたが、うまくミックスされていますね!
床を白くしたり、家具の足をできるだけシルバーで揃えるのも、空間に馴染みやすい理由かもしれません。スペースエイジの家具は特に高価なものが多く、なかなか見つからないのが悩ましいところ。壁のVerner Pantonのファブリックパネルや、趣味で集めているスターウォーズグッズ、リビングの宇宙船のような〈Petite Friture-Vertigo〉のペンダントライトからもスペースエイジ感が滲み出てるかもしれません。
名作家具がもたらした、
ミニマリストマインド
インテリアが好きになったきっかけを教えてください。
ブランドを始めて、ハウススタジオへ行ったり、いい内装に触れる機会が増えたことは影響している気がします。もともとインテリア自体興味はあったのですが、家具ってやっぱり高価だからなかなか手が出せなくて…。でも、20代後半になって、少しずつ自分のお金でほしいものが買えるようになりました。デザインすることが仕事なので、インスピレーションにもなる、いいデザインには常に触れていたいという気持ちがあります。
お気に入りの家具をいくつか教えてください。
E&Yのローテーブル
〈E&Y〉という日本のブランドのもので、二俣公一さんがデザインを手がけています。天板の下にはハンモックのような大きなカゴが浮かんでいて、今は〈青山フラワーマーケット〉でみつけた流木のような植物などを飾っています。
C&B ITALIAのソファ
一番最近買った家具です。名古屋のヴィンテージの家具屋さんに行ったら、ちょうどその日が大型コンテナの到着日で。オンラインショップに出る前にこのソファを見つけました。でも、ちょうど僕の前にひとり悩んでいるお客さまがいたみたいで、しばらく待つことに。買えるのかわかるまでは毎日が気が気じゃなかったです(笑)このソファは、〈B&B ITALIA〉の前身となる〈C&B ITALIA〉時代のプロダクトで70年代のもの。マリオ・ベリーニの初期の作品であるアマンタシリーズのひとつです。背面のプラスチックとファブリックのコーデュロイの対比が面白く、ブラウンの色味がラウンジチェアと同色でバランスもいいなと思い即決でした。
USMハラーのキャビネット
オーディオ機器をディスプレイしているのは、ずっと憧れだった〈USMハラー〉のキャビネット。引っ越す前と引っ越した後でひとつずつオーダーで注文しました。
好きなインテリアショップはありますか?
いろんなところに行きますが、なかでも清澄白河にあるギャラリー〈stoop〉さんは好きです。セレクトが良いのと、店主さんがものの背景を教えてくれるので勉強になります。
もの選びの際に心がけていることはありますか?
古着もそうですが、買い逃したら同じものは買えないので、良いと思ったものはなるべく早く決断します。最近はミニマリストになろうと、選ぶものはより厳選するようになりました。
ミニマリストに興味が湧いたきっかけは?
妥協せず、良い家具を身の回りに置くようになってから、自然と物欲が無くなってきたのだと思います。どんどん上を求めるのではなく、それよりも今持っている家具を大切に、良いものを長く使い続けたいというマインドに変わってきました。ミニマリストというのも、その延長線にあって。持っているものを手放してみると、『これ失敗したな〜』と勉強することもたくさんありました。“大切なものをより大切にする”、そのミニマリストマインドはものに限らず、時間の使い方などにおいても好きだなと思います。
名作家具とポップな雑貨がセンスよくミックスされた、アパレルディレクター・今関龍介さんの住まい。後編では、個性豊かな椅子のコレクションやお気に入りの雑貨、香水、アクセサリーなど身につけているものまで、今関さんの偏愛コレクションを深掘りします。ぜひお楽しみに!
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai