LINEN & DECOR・菊川さんと考える、ウェルビーイングな暮らし(後編)
春夏は涼しく、秋冬は暖かい。一年中快適で、洗うたびに強度が増し、使い込むほどに柔らかくなる。暮らしのあらゆるシーンで役立つリネンはウェルビーイングな暮らしとも相性のいい素材。菊川さんが営むリネン専門店「LINEN & DECOR」では、時間をかけて育てていくリネンをタイムレスなデザインに落とし込んで提案しています。後編では、LINEN & DECORのこだわりや、リネンの魅力をメインにご紹介します。
菊川さんを突き動かした、
リネンは“柔らかな道具”
LINEN & DECORを始めた経緯を教えてください。
もともとインドアグリーンを育てるのが好きで、今は家庭菜園にもチャレンジ。近所のシェア畑も借りるようになって、気づけば30種類ほどの野菜を育てています。朝ごはんは、おいしいパンにバターを塗って、その日食べたい野菜を庭で収穫して挟んで食べるだけ。素材がおいしいのでそれだけで十分ご馳走です。
リネンはどんな特徴のある素材ですか?
リネンは人類が開発した最初のテキスタイルだと言われています。乾きやすく丈夫で通気性が良い、“道具”というのがふさわしい機能的な素材で、かつ自然な光沢とゆらぎは触れているだけで心まで癒してくれます。また、LINEN & DECORで扱うリネンは、涼しい地域で育つため農地へ水を人工的に供給する必要がなく、農薬もほとんど使用しないため、サスティナブルな素材でもあります。
仕事がはかどる、
アトリエでの過ごし方
アトリエの空間づくりのテーマを教えてください。
部屋は居住用マンションの造りをそのまま生かして、暮らしにリネンをどう取り入れるかが想像できる雰囲気づくりを心がけています。頭をすっきりさせた状態でものづくりをしたいので、アトリエは適度な余白を作ることも意識。わずかな色味の差を悩みながら選ぶため、家具やアートも無彩色のものを選んでいます。
そもそもこの物件を選んだのは、ベランダとドライエリアが素敵だったから。近くの公園から鳥が種を運んできたのか、ベランダには小さなけやきの木がすくすく育ち始めました。風の通る、気持ちのいい空間にしたいなと思っています。
働き方のマイルールを教えてください。
1つ目は年齢や性別を超えて、いろいろな人と仕事をすること。いろんな感性を養って、ものづくりに反映できたらいいなと思っています。2つ目は疲れたら一息入れること。水やりをしたり、コーヒーを淹れたり、リネンに包まれながらお昼寝したり(笑)。気分転換をこまめに挟んだ方が、より効率的に仕事ができる気がします。
リネンがもたらしてくれる、
日々の小さな幸せ
菊川さんご自身の暮らしのなかでは、どのようにリネンを取り入れていますか?
タオル、ベッドリネン、クッション、カーテン、キッチンタオル、エプロン、テーブルマット、普段の衣服など、生活のあらゆるところで活躍しています。
暮らしにリネンを取り入れるなら、まずどのアイテムがいいでしょう?
キッチンタオル
日々の暮らしの中で最も出番が多いリネンかもしれません。最初は一種類からスタートしたLINEN & DECORのキッチンクロス。使いやすさを考えて、今では長方形・正方形・ラージサイズ・スモールサイズ・厚手タイプと種類が増えました。正方形はお弁当包みに、ラージサイズは大きいお皿や数が多い食器を拭くとき、またスモールサイズは一人分の食器やグラスを拭くときに、厚手のリネンはオーブン料理のトーションや、水切りかご代わりに使えたりもします。色やデザイン、サイズ、厚みで使い分けたり、使い始めはグラスや食器拭き→手拭き→台拭きなど状態に合わせて用途を変えていくなど、人それぞれオリジナルの使い方も楽しんでもらえたらと思います。
ベッドリネン
少し高価だからとつい敬遠しがちですが、毎日使えて、何年、何十年と愛用できるものだし、サラッとした使用感とふんわりやわらかな肌触りで、睡眠の質もグッと高めてくれます。私個人的には、これほどコスパが良いアイテムはないのでは?と思っているほど(笑)。まずは顔の周りで幸せ度の高い、ピローケースから取り入れてみるのをおすすめしたいです。
菊川さん自身、リネンと出会ってどのように暮らしが変化しましたか?
私のリネンストーリーは、パリのインテリアブランド〈カトリーヌ・メミ〉のリネンとの出会いを機に始まりました。『無地でシンプルなデザインのベッドリネンが、なぜこんなにも存在感があって素敵なんだろう』と感動したのを覚えています。しかしメミのリネンはかなりの贅沢品。まずはパジャマやピローケースから使い始めました。サラリとした感触と少し厚みのある生地感。最初はパリッとした風合いだったのが、洗うごとに柔らかくクタッと変化していきました。そして、控えめな光沢がエレガントな雰囲気を醸し出し、空間を大人っぽく、格好良く格上げしてくれたのです。部屋の掃除をするようになったのも、アイロンがけが嫌いでなくなったのもこの頃からでした。毎日、そんな小さな幸せがゆるやかに続くこと。その豊かさに気づけたのだと思います。
とろけるようなやわらかい肌触りや、味わいのある風合い。ウェルビーイングな暮らしを彩るリネンは生き方をも変える力があるのだと教えてくれた、菊川さんのインタビュー。今回訪ねたアトリエは事前予約制ですが、毎月4日間ほどオープンデーも設けています。LINEN & DECORのアイテムを手に取ってみたい方、リネンのある暮らしを体感してみたい方、ぜひ訪ねてみてくださいね。
前編では、菊川さんの“ウェルビーイングな暮らしのつくり方”についてお話ししています。ぜひ前後編合わせてお楽しみくださいませ。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Mitsugu Uehara / Text : Runa Kitai