コンパクトな間取りで、自分らしい暮らしを実現するには? 〜守 真史さん編〜(後編)
2021年2月に入居が始まる「Brillia目黒青葉台」。このモデルルームの一室をたくさんの色や柄で遊び心たっぷりにコーディネートしてくれたのは、インテリアスタイリストの守 真史さん。限られた空間を有効に使うための工夫を随所に施しながら、既成概念にとらわれない都会的なスタイルで、ここでの暮らしを豊かにイメージさせてくれる理想的なモデルルームが完成しました! 後編では、書斎とベッドルームのこだわりから、自分らしいインテリアを楽しむためのアイディアや、これからの住空間についてお話を伺いました。
家族のつながりを意識した、
キッチン横の書斎スペース
リビングダイニングは11畳とコンパクトな物件ですが、それに伴い工夫したことはありますか?
書斎スペースを拡張されたリビング空間=セカンドリビングとして設定しています。リビングと書斎で同じアクセントクロス(壁紙)を採用しているのは、ひと続きの空間として感じさせる工夫のひとつです。
確かにゆるやかなつながりを感じられますね! この書斎&セカンドリビングではどのような暮らしを想像しながらレイアウトを考えましたか?
このモデルルームは3人家族で住むことを想定した物件。キッチンというワークスペースの真横に、書斎のワークスペースをつなげることで、料理や仕事をしているときでも遊んでいる子どもの気配が感じられる、そんな家族のつながりを意識した空間に仕上げました。書棚は暮らしの変化に応じてアレンジ可能な、〈VITSOE〉のシェルフを選んでいます。書棚は自分が好きな本やオブジェを飾る、住み手の個性が特に現れるところ。玄関を入って廊下を通り、居室に入ったときに、まず最初に視界に入る場所に設えました。書棚をしっかりと使いこなすことで、住み手のオリジナリティが住まい全体ににじみ出てくるのではないかと思います。
自分らしいインテリアとは、どうすれば作れるものですか?
家具は道具であり、インテリアは背景です。大切なのはそこで自分がどんな時間を過ごしたいのかということ。そしてその時間を実現するための家具や雑貨類をイメージし、シーンを具体的に組み立てていく。その積み重ねの先に自分だけの豊かな生活のイメージが立ち上がっていくはずです。例えば洋服は、何回も何回も買い物をするなかで自分に似合うものや、好きなものがわかっていきますが、インテリアは買って試して、というトライアンドエラーを重ねることが簡単ではありません。限られた回数のなかで自分の欲しいインテリアを実現するのはとても難しいことだと思います。だからコンパクトな物件であっても、いきなり生活のすべてを満たそうとして家具を中途半端に買い揃えるのではなく、ひとつでいいから自分が心から満足できるものを選び、使うという体験が大切。ライフステージに合わせて将来的に広い家へ移っていくことも見越したとき、その体験をベースにしながら、より広い空間でも自分らしいインテリアを作り上げていくことができるのではないでしょうか。
部屋の“コーナー”にこだわることから、
居心地のいい自分らしい住まいを考える
ベッドルームはどのようなこだわりがありますか?
ベッドルームは眠る場所。リラックスさせて質の高い睡眠へ導くことができるように、あえて上からの照明はつけずに低い位置に灯りを置いています。赤で揃えた照明は、〈Kartell〉と〈FLOS〉のものをチョイス。ベッドルーム全体としては、モノトーンを基本にして色数を絞るかわりに、ゼブラ(ウッド)の壁紙やラグなど、柄の組み合わせで立体感を出しました。仕上げのクッションは、寝室ということで〈FORNASETTI〉の「お静かに」ポーズのもので遊んでいます。ベッドリネンは〈ZARA HOME〉。価格とデザインのバランスが良いので取り入れやすいと思います。
ベッドルームで特にポイントとなっている場所はどこですか?
部屋奥のコーナー部分です。コーナーをしっかりと設えると、部屋全体が活き活きとして見えてきます。また、コンパクトな部屋の場合、部屋の入り口から見た対角線上の一番遠いスペースに、照明やグリーン、アートなどポイントになるものを置くことで、空間を広く感じさせることができます。部屋作りは、空間全体と細部にバランスよく気を配ることがポイント。主要な家具を置いて終わりではなく、細部にも自分なりのこだわりを埋め込むことで、部屋の居心地は格段に良くなるものです。例えばコーナーの壁に飾っている写真は、私が旅先で撮った写真を白黒で印刷して、色鉛筆で少し色をつけたもの。これだけで自分だけのアートを楽しむことができますよ!
社会環境の変化に伴い、これからの住空間はどのように変化すると思いますか?
ここ1年ほどの間に、私たちは住む場所と働く場所が一気に曖昧になることを半強制的に経験しました。これまで無意識的に繰り返していた生活のルーティンが一旦崩されたことで、自分自身の生活について、自分らしい住空間のあり方について、あらためて深く考える機会を与えられたともいえます。そんな環境下で、これからはみんながそれぞれのオリジナリティに富んだインテリアに目を向けるのではないかと思います。それはある意味、インテリアへの向き合い方が成熟するということ。住まいのインテリアは、「~スタイル」や「~テイスト」とパターン化されがちですが、本来は自分が居心地良く過ごせるようにアレンジしていくことがインテリアの醍醐味だと思うのです。インテリア製品の選択肢についていえば、欧米では市場が大きくていろんなものを選べる環境がありますが、日本国内だけで選ぼうとすると、どうしても似通ったものになりがち。インテリアにかけられる予算がまだまだ小さいから、市場も小規模なんです。たくさんの人がオリジナルなものを探し始めれば規模が広がるし、これからもっとおもしろいインテリアが日本でも生まれるようになると思います。
オリジナルで造作した唯一無二のオブジェやアートをはじめ、ディテールまで思いを込めて作られたこのモデルルーム。コンパクトな空間でも自分らしく暮らしを楽しむためのヒントがそこかしこにちりばめられていて、すぐに実践できる実用性の高いアイディアも豊富に盛り込まれています。テイストの統一感を重視して生活感を排除した一般的なモデルルームとは異なり、さまざまなテイストが混ざり合い、すでに人が住んでいるかのような時間の積み重ねも感じることができるはずです。せわしない日々の何気ない時間に、ふと立ち止まって楽しさや心地良さを作り出す、そんな豊かな暮らしを当たり前に楽しむことができる魅力的な物件でした。
※本ページ掲載の物件の詳細は「Brillia目黒青葉台公式サイト(外部リンク)」へ
Photo : Shinji Serizawa / Text : Runa Kitai