愛しい手仕事に囲まれた、縦長の小さな住まい(前編)
ライフスタイル分野で活躍する、フォトグラファー・上原未嗣さんの自宅は、閑静な住宅街に佇む、築39年のマンションの一室。友人のフォトグラファーが住んでいた部屋を譲り受け、4年前、この34㎡の物件へ引っ越してきました。前編では、少し珍しい部屋の間取りや、家具選びの基準、DIYのポイントなどを詳しくご紹介します。
暮らしを培う、
縦長の小さな住まい
今の物件に決めた理由を教えてください。
リビング、ダイニング、寝室、それぞれの空間に仕切りがなく、3部屋が縦長につながる、見通しのいい間取りが決め手になりました。あと、押し入れがとても広く、収納スペースがたくさんあったので、生活感の出るものを極力しまって生活できるところも気に入っています。カメラマンという職業柄、仕事で使う機材もたくさんあるのですが、それもすべて押し入れに収納できるのは助かりました。
コンパクトな物件だからこそ感じられる利点を教えてください。
限られた空間の中で、不満点をDIYで補ったり、家具の配置を工夫したり、この空間でいかに楽しめるかをとことん考えられるところです。インテリアのいろんな知恵や知識が身について、暮らしをよりよくしたいという意欲が自然と湧くようになりました。今まで2、3回引っ越そうかなと思った時期もあったのですが、ここ2年ぐらい家にいる時間が増えて、模様替えをしながら住み良い家に試行錯誤していく中で、もうちょっと住んでみようと家を楽しめるようになりましたね。
コンパクトな住まいも、
背の低い家具で快適に
家具を選ぶ上で心がけていることを教えてください。
我が家はコンパクトな上に、北側がほぼ押し入れで、南側はほぼ窓。一般的な住宅と比べると壁が極端に少なく、壁付けしたい大きな家具を置きにくいので、必然的に背の低い家具を選ぶようになりました。また、縦長のワンルームのような造りで、その抜けの良さを遮らないためにも、背の高い家具は極力置かないようにしています。
最近購入したもので、お気に入りの家具はありますか?
ダイニングで食器棚として使っている、ハンス J. ウェグナーの戸棚です。北欧家具や雑貨を扱う長野の〈haluta〉で購入したもの。シンプルで洗練されたデザインは、日本のものが多い我が家でもしっくりと馴染みました。やや大きめなので、上部と下部をセパレートして使っています。この棚を迎え入れたのをきっかけに、我が家には少しずつ北欧のものが増えています。
自宅の中で、特に気に入っている場所があれば教えてください。
窓辺にあるハンス J. ウェグナーの食器棚の脇に椅子を置いて、考え事をしたり、読書をしたりする時間が好きです。ちょうど棚の上に肘が置けてリラックスできます。
住まいの不満点はDIYで解決
賃貸でも所々で住みやすくDIYされていますね! 洗濯機を目隠しするアイディアも素敵です。
我が家の洗濯機置き場は、ダイニングから見える位置にあるので、ホームセンターで購入した3枚のベニヤ板で囲って、できるだけインテリアに馴染むようにDIYしました。板と板の接合部には接着面を増やすために細い木の柱を入れています。接着剤は木工用ボンドを使用。普段から使いやすいように上の扉には磁石をつけて、板を簡単に開け閉めできるように工夫しました。
もともと取り付けられていなかったという引き戸もDIYされていますね。
入居した当初から、寝室とリビングを仕切る引き戸がついていなくて。ただ、取り付けられる溝はあるので、ホームセンターで購入した板を白く塗って、もともとあった壁の一部のようにして取り付けています。我が家は壁が少ないので、絵を飾ったり、家具を壁付けしたりするためにも作ってよかったなと思います。
衣服をしまっている押し入れスペースは布で仕切っていますね。
押し入れにも引っ越した当初からふすまがついていなかったので、手作りした布で目隠ししています。ホームセンターで買った木のブロックに彫刻刀で模様を削って、買ってきた白い生地にペンキでスタンプしました。突っ張り棒で取り付けているのですが、突っ張り棒が見えないように、外側にさらに板を立て付けて目隠ししています。
※本ページ掲載のお部屋は、Brilliaの分譲マンションに限らず、ご紹介しております。
Photo : Mitsugu Uehara / Text : Runa Kitai